日本銀行の植田和男総裁は12月1日、18〜19日の金融政策決定会合で利上げ再開の可能性を明確に示す発言を行い、市場では「12月利上げ観測」が一段と強まりました。総裁は講演で「経済・物価の中心的な見通しの実現確度が高まっている」と述べ、物価2%目標の持続的な達成に向けた環境が整いつつあるとの認識を示しました。
この発言を受け、翌日物金利スワップ(OIS)市場では、12月利上げの織り込みが約8割へ急上昇。株式市場ではタカ派的なトーンが意識され、日経平均株価は前週比950円安と大きく下げました。
▼日経平均株価 推移(2025年11月27日〜12月1日)

日経平均株価 推移(2025年11月27日〜12月1日)
以下にて詳しく見ていきましょう!
市場の焦点:政府との調整は“整った可能性”
これまで高市早苗政権は金融緩和維持に慎重姿勢とみられていましたが、植田総裁は「政策金利を引き上げても緩和的な環境の中での調整であり、景気のブレーキにはならない」と説明。11月以降の首相・閣僚との面談でも理解が進んできたと述べ、政権との協調姿勢を強調しました。
木原官房長官も1日、「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべき」と発言し、利上げ判断自体を容認する姿勢をにじませています。
市場では「日銀が政府との調整を概ね済ませた可能性がある」(JPモルガン証券)との見方が広がっています。
利上げに踏み切る背景:実質金利の低さと、物価上振れリスク
日銀内では、極端に低い実質金利を放置することへの警戒感が上昇しています。
物価上昇率が高まる中で政策金利を据え置けば、金融緩和効果が過度に強まり、米欧のような高インフレを招きかねないとの懸念が背景にあります。
植田総裁は、「緩和度合いの調整が遅れると、大幅な利上げを余儀なくされ、市場の混乱を引き起こす」と警戒を示しました。
この認識は政策委員の複数メンバーとも共有されており、審議委員の中でも利上げ容認論が広がっている状況です。この動きを見ていると、どうやら”利上げ準備は整った”と言えそうな展開になってきましたね。
最大の焦点:春闘の賃上げ動向は“利上げの障壁にならない”可能性
利上げ可否のカギを握るのが“賃金と物価の好循環”の持続です。
日銀は来春の労使交渉(春闘)の初動を重視していますが、最低賃金の引き上げ、連合の賃上げ目標、経営側の賃上げ継続姿勢などから、「12月の時点で利上げに支障はない」との楽観的な見方も出ています。
さらに今回は前年よりも基調物価が高いため、「前回利上げ時ほど強い賃上げコミットメントは必要ない」との声も政策委員の中で聞かれています。
市場への影響:短期的には円高要因、株式にはボラティリティ増大
今回の総裁発言を受け、為替・株式市場では振れ幅が大きくなる状況が続いています。利上げ観測の強まりは円買い方向に働きやすく、会合に向けて円高圧力が高まる可能性があります。
一方で、株式市場では金利上昇への警戒感が意識されやすく、バリュエーションの高い銘柄を中心に調整色が強まる展開となっています。
前日の市場では、植田総裁のタカ派的なトーンが嫌気され、日経平均株価は前週末比950円安と大幅に反落しました。投資家のリスク回避姿勢が強まりつつあり、金融政策の転換点を控える中で、市場全体のボラティリティは一段と高まっています。
また、利上げが実施された場合、金融株には利ざや改善期待が広がる一方、輸出関連株には円高方向への振れが重荷となるなど、セクター間の明暗が分かれやすい状況も生まれています。私のメイン保有銘柄、三菱UFJは株価が上昇し、実に嬉しい展開です。
会合までに市場が不安定化すれば、日銀の判断そのものに影響を及ぼす可能性も否定できず、投資家は神経質な値動きに備える必要があります。
今後の注目ポイント:12月18〜19日の会合が“決定打”へ
日銀は、春闘の初期情報や企業の賃上げ意欲、海外経済の不確実性、そして市場の安定度を総合的に点検したうえで利上げ判断を行う方針です。植田総裁は「遅すぎず、早すぎず、緩和の度合いを適切に調整する」と述べており、政策正常化を段階的に進める意向がうかがえます。
市場ではすでに利上げを相当程度織り込んでいるものの、最終判断にはなお不透明感が残っています。仮に12月会合で見送られた場合、円安方向への振れ直しが急速に進む可能性もあり、引き続き金融政策の行方が為替・株式市場の主たる材料となりそうです。
日銀による利上げ再開の姿勢が強まる中、市場は早期利上げを前提に神経質な値動きを続けています。為替は円高圧力が意識されやすい一方、株式市場では調整局面入りのリスクも高まっています。12月会合は、今後の政策正常化の道筋を決定づける重要な分岐点となる可能性があり、投資家にとっても警戒姿勢が続く局面となっています。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Bank of Japan Signals Readiness to Resume Rate Hikes in December
Bank of Japan Governor Kazuo Ueda has indicated a strong willingness to resume rate hikes at the December 18–19 policy meeting, signaling growing confidence that Japan is on track to achieve its 2% inflation target in a sustainable manner. His remarks triggered a sharp rise in market expectations, with OIS pricing reflecting over an 80% probability of a December hike.
Ueda also suggested that the government—previously viewed as cautious about tightening—now appears more aligned with the BOJ’s stance. The central bank aims to prevent yen-driven import inflation while avoiding any disruption to government stimulus efforts.
Market reactions were swift. The yen strengthened on rising rate-hike bets, while Japanese equities sold off sharply, with the Nikkei falling about 2%. Investors are increasingly focused on whether the BOJ will judge wage-price dynamics as sufficient to justify tightening at this month’s meeting.
The December policy decision is shaping up to be a critical turning point for Japan’s monetary normalization. Investors should monitor yen movements, wage data, and market volatility as the meeting approaches.





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