10月に入り、東京は過ごしやすい気温になってきました。今年の夏は記録的な猛暑で、9月も真夏が続いているような状態でしたから、ちょっとホッとしたような気持ちです。
今年の夏は、為替(ドル円)も大きな動きがありましたよね。円安が急速に進んだことも記憶に新しいところです。2024年年明け当初は140円くらいでしたが、その後、気温と同じくらいの勢いで円安が進み、7月初旬には160円を突破。”このままどこまで進むのだろうか?”と思う勢いでした。日銀が大規模な介入をしましたが、焼け石に水という状態に。ところが、日銀の利上げの憶測が流れ始めた7月中旬以降、円高方向へと転じはじめ、7月31日の日銀の金融政策決定会合で利上げが決定された際に、一気に円高へ。150円程まで進みました。その後も、米国の利下げへの動きも重なり、日米の金利差が縮小していく方向性が見えると、さらに円高が進み、140円程になりました。その後もドラマは続き、岸田首相が退任を表明し、自民党総裁選が繰り広げられると、”誰が総裁になるのか”によって大いに影響を受けるので、市場も右往左往した状態に。一時は高市早苗氏が有力だとわかると、彼女が金融緩和路線を主張していたからか、円安へと動き始めました。ところが一転、石破茂氏の総裁就任が決定すると、一気に円高方向へ。市場は、彼が利上げに積極的だと読んでいたからでしょう。円高・株安が進み、”石破ショック”などとネーミングする方も現れたくらいです。
しかし、10月に入り、相場は再び「円安」へと戻り始めているのです。その要因について考えてみると、私は2つあると考えており、それぞれの背景には共通したものがあるように思います。
【最近の円安要因(1)】
石破氏は、自民党の新総裁、そして総理就任後、意外にも「金融緩和継続」という柔軟な姿勢を見せ、10月2日の日銀 植田総裁との会談後には「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語り、利上げを急がない発言をしたのです。これに市場は敏感に反応。為替は円安へと戻り、株価も上昇し始めたのです。
まあ、衆議院議員総選挙が近いこともあり、市場の目を意識して、株安にならないよう配慮されているのでしょう。
【最近の円安要因(2)】
10月4日に米国労働省が発表した、9月の雇用統計が、予想以上に良い内容でした。非農業部門雇用者数は、前月比25万4,000人増で、予想の14万人増を大幅に上回り、過去半年間で最大の伸び。失業率は、4.2%の予想に対し、4.1%と改善。平均時給は前年比4.0%上昇し、予想の3.8%を上回りました。しかも、7月・8月の雇用者も上方修正されたのです。あれほど不安視されていた米国経済が好調であることがわかったこともあり、FRB(米連邦準備理事会)が年内に大幅利下げを実施する可能性は極めて小さくなったと言えるでしょう。今回の雇用統計発表前までは、0.5%利下げの可能性も高いと思われていましたが、年内は0.25%利下げでしょうね。
米国の利下げが緩やかになり、日米金利差が急には縮まらないことがわかると、円安要因になりますよね。
まあ、米国の雇用統計の発表内容に関しましても、大統領選が近いこともあり、政府としても経済状態を良く見せようという思惑も働いているような気がします。
【最近の円安要因(1)(2)に共通する背景】
ということで、要因(1)も(2)も、日米共に”選挙直前”ということが大きく影響を与えているように思います。なので、現状、円安が進んでいるからといって、今後も長期に渡って円安傾向になるとまでは言えず、選挙後に再び円高へと転じる可能性もあると言えるでしょう。そこまで見越して考えていきたいと思います。
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