アクティビストとの攻防を経て非公開化が現実に
自動車部品メーカーの太平洋工業は1月27日、経営陣が参加するMBO(マネジメント・バイアウト)に向けて実施していた株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表しました。これにより同社は、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場から上場廃止となる見通しです。当サイトでもたびたび記事でお伝えしてきた攻防がついに決着となります。
・第1章:エフィッシモが太平洋工業株を買い増し!保有比率10.45%に ~MBOとアクティビストの思惑が交錯~
・第2章:太平洋工業、株価はTOB価格を大幅に上回り、MBO成立見通しに不透明感!TOB期間を再延長
・第3章:太平洋工業、TOB価格を引き上げ!村上ファンド系との攻防で、株価は一時3,000円台を回復
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以下にて詳しく見ていきましょう!
TOB成立、創業家主導で議決権の過半数を確保
今回のTOBでは、創業家が出資する特別目的会社(SPC)が主体となり、議決権ベースで約55%を取得しました。買い付け期限である1月26日までに、応募株数は3,193万株と、成立条件であった下限の2,533万株を大きく上回りました。
3月下旬には臨時株主総会が開催され、非公開化に関する議案が付議される予定です。承認後は株式併合によるスクイーズアウトが実施され、全株式を取得したうえで上場廃止となる見込みです。
約半年に及んだMBO攻防、価格引き上げで決着
太平洋工業のMBOは、2025年7月の発表以降、市場の注目を集めてきました。当初のTOB価格は1株2,050円でしたが、市場価格の上昇や投資家からの反発を受け、買い付け期間は9度延長され、価格も2度引き上げられました。最終的には1株3,036円まで上昇し、ようやく成立に至りました。
この過程では、旧村上ファンド系でアクティビストとして知られるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが議決権の約18%を保有し、TOB価格の妥当性を巡る緊張感の高い局面が続きました。ただし、エフィッシモはTOBには応じなかったものの、非公開化議案には賛成することで合意しています。
上場廃止後は中長期経営を重視へ
太平洋工業は、非公開化の目的について「短期的な株価や利益に左右されることなく、安定的かつ持続的な企業価値向上を目指すため」と説明しています。自動車業界がEV化やサプライチェーン再編といった構造変化に直面する中で、非公開化によって迅速な意思決定と中長期視点の投資を進める狙いがあるとみられます。
投資家視点:MBOは日本市場の象徴的事例に
今回のMBOは、アクティビストとの攻防、TOB価格の再三の修正、長期化した買い付け期間など、日本の資本市場が抱える課題と変化を象徴する事例となりました。上場企業が非公開化を選択する動きは今後も続く可能性があり、投資家にとっては「出口戦略」や企業価値評価の重要性を改めて意識させるケースといえそうです。
太平洋工業が非公開化後にどのような成長戦略を描くのか、その成否は今後の日本企業のMBO動向を占う試金石となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Pacific Industrial Completes Management Buyout, Set to Go Private
Pacific Industrial announced that its management-led buyout (MBO) has been successfully completed, paving the way for the company to go private. A special purpose vehicle backed by the founding family secured more than 55% of voting rights after the tender offer attracted sufficient shareholder participation.
The buyout process, which began in mid-2025, was marked by prolonged negotiations and repeated price revisions amid pressure from activist investor Effissimo Capital Management. The offer price was ultimately raised to ¥3,036 per share, enabling the deal to close after nearly six months.
Following approval at an extraordinary shareholders’ meeting scheduled for late March, Pacific Industrial plans to delist and complete a squeeze-out of remaining shares. Management said the move will allow the company to focus on long-term strategy and value creation without short-term market pressures, highlighting a broader trend of Japanese firms opting for privatization.





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