2025年10月6日、アイネット(東証プライム:9600)の株価が急騰しました。終値は前日比+476円(+23.23%)高の2,525円となり、東証プライム市場の上昇率ランキングで第1位となりました。市場では、オリックスによる株式公開買い付け(TOB)発表が買い材料となっています。
▼アイネット株価推移(2025年10月2日〜6日)

アイネット株価推移(2025年10月2日〜6日)
オリックスがTOB実施、完全子会社化を目指す
オリックス株式会社は10月2日、ソフトウエア開発やクラウドサービスを手掛けるアイネットに対してTOBを実施すると発表しました。買付主体はオリックス傘下の「OFI・01株式会社(東京都港区)」で、買付価格は1株あたり2,530円。2日終値(1,649円)に対して53.52%のプレミアムを付けています。
買付予定株数は約1,525万株で、買付総額は約386億円にのぼります。買付期間は2025年10月3日から11月17日までの30営業日、決済開始日は11月25日です。公開買付代理人はSBI証券が務めます。
オリックスは現在、アイネット株を保有していませんが、TOB成立後は全株式を取得して完全子会社化し、上場を廃止する方針です。少数株主に対してはスクイーズアウト(強制買い取り)を実施する予定です。
アイネットはTOBに賛同、株主に応募推奨
アイネットは同日、取締役会においてTOBに賛同し、株主に対して応募を推奨する旨を発表しました。同社は「オリックスグループとの連携により、データセンター・クラウド・DX・宇宙関連などの事業拡大を加速できる」として、経営基盤の強化を狙います。
オリックスの戦略:IT・デジタル領域を中核投資に
オリックスは近年、情報技術(IT)やデジタル分野を中長期的な戦略投資領域と位置づけています。今回のTOBによるアイネットの完全子会社化は、その戦略の一環として実施されるものです。
オリックスは、アイネットが持つデータセンターやクラウド、DX支援、宇宙事業のノウハウを自社グループの事業基盤・顧客ネットワークと融合させ、グループ全体の企業価値向上を目指す考えです。
アイネットの沿革
アイネットは1971年に「フジコンサルト」として設立され、サービスステーションの事務合理化を目的としたシステム開発を手掛けました。1991年に日本コンピュータ開発と合併し現社名に変更。1997年に東証2部へ上場後、2006年に東証1部へ昇格、2022年には東証プライム市場へ移行しています。
現在では、金融業やエネルギー業界向けのシステム開発、クラウドサービス、データセンター事業などを展開しており、安定した収益基盤を築いています。
株式市場の反応
TOB価格2,530円に対して本日終値は2,525円とほぼサヤ寄せの水準に達し、市場ではTOB成立を織り込む動きが鮮明です。出来高も急増しており、投資家の関心が高まっています。
今後の見通し
TOBが成立すれば、アイネットはオリックスグループの一員として上場廃止となり、非公開企業として再スタートを切る見通しです。オリックスによる資本力と事業支援を背景に、デジタルインフラ分野での成長加速が期待されます。
アイネット株の急騰は、オリックスによるTOB発表が主因です。高いプレミアム付きの買付価格や上場廃止の見通しを受け、市場では短期的な価格調整局面にあるものの、中長期的にはオリックスグループとの協業による事業シナジーが注目されています。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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