米軍が中東に大規模戦力集結、ホルムズ海峡リスク再燃――日本株は「原油高×リスクオフ」をどう織り込むか

米軍が中東に大規模戦力集結、ホルムズ海峡リスク再燃――日本株は「原油高×リスクオフ」をどう織り込むか 政治と株価

中東情勢が一段と緊迫、マーケットは「最悪シナリオ」を意識

中東を巡る地政学リスクが再び市場の中心テーマに浮上しています。報道ベースでは、米軍が空母打撃群を含む戦力を周辺海域に展開し、地域の抑止力を強める動きが伝えられています。こうした局面で株式市場が最も警戒するのは、軍事衝突そのもの以上に「エネルギー供給網の寸断リスク」です。

とりわけ、世界の原油・LNGの大動脈であるホルムズ海峡で混乱が生じれば、物流・保険料・航行コストの上昇を通じて、原油価格が“急騰しやすい地合い”に転じます。ホルムズ海峡は世界の石油消費の約2割に相当する量が通過し得る重要チョークポイントとされ、封鎖の有無にかかわらず「通航が滞るだけ」で市場心理を冷やしやすい点が厄介です。

日本は中東依存度が高い構造、円安局面では「二重苦」になりやすい

日本の原油調達は中東依存が大きく、ホルムズ海峡を含む中東ルートの不安定化は、エネルギーコスト上昇を通じて国内景気の下押し要因になり得ます。経済産業省の統計でも、日本の原油輸入に占める中東比率は長期的に高水準で推移していることが示されています。

ここに為替が絡むと、投資家が想定すべきシナリオはより複雑になります。一般に地政学リスク局面では「株安・リスクオフ」が先行しやすい一方、原油高が同時に進むと、輸入コスト増による交易条件悪化が意識され、企業収益への懸念が広がりやすくなります。さらに円安が重なれば、資源・原材料の円建て負担が膨らみ、内需型やエネルギー多消費産業には逆風が強まります。

日本株の焦点は「指数全体」より「セクター間の明暗」

今回のテーマは、日経平均やTOPIXが一方向に動くかというより、セクターごとの強弱が出やすい局面です。過去の中東危機でも、最初は不確実性の拡大で株式が売られ、その後「材料出尽くし」や「外交進展」で反発する場面がありました。ただし今回は、エネルギー価格のボラティリティが高まりやすく、投資家は“結果(開戦か回避か)”だけでなく、“原油の水準と期間”を見極める必要があります。

仮に衝突が限定的でも、航行の遅延や保険料上昇など「部分的な機能低下」が起これば、需給がタイト化して原油が上振れし、インフレ圧力が残る可能性があります。逆に外交合意が進めば、リスクプレミアムが剥落して原油が下落し、広範な日本企業のコスト面には追い風となる一方、資源関連には短期的な逆風となり得ます。

恩恵を受けやすい領域と、逆風を受けやすい領域

相場が荒れる局面で資金が向かいやすいのは、まず資源高の恩恵を受けるエネルギー関連でしょう。原油・ガス価格の上昇は、上流権益を持つ企業の収益期待を押し上げやすく、短期のヘッジ先として選好されがちです。前記事(INPEX、減益決算後に株価反落も反転へ!)にてお伝えしたINPEXなどはその典型例でしょう。
また、資源調達・トレーディング機能を持つ総合商社も、価格変動局面で注目されやすいセクターです。バフェットが称賛して以降、好調な株価が続いている三菱商事や三井物産などの大手総合商社。ますます上昇するのでしょうか。

一方で、影響が出やすいのはエネルギー多消費型産業です。化学紙パルプ鉄鋼セメントなどは燃料・電力コスト上昇が利益を圧迫しやすく、価格転嫁の速度が遅い企業ほど相対的に弱くなります。航空・運輸燃料費が直撃しやすく、需要の鈍化懸念とセットで売られる展開には注意が必要です。自動車についても、部材コストや物流費に加え、消費者マインドの悪化が重なると慎重姿勢が強まりやすいでしょう。

投資家が押さえるべき「3つの観点」

第一に、ヘッドラインの大きさよりも、原油の“水準”と“高止まり期間”を追うことです。短期の急騰でも、すぐに収束すれば企業業績への影響は限定的で、逆に長期化すればコスト増が広く波及します。

第二に、為替との組み合わせです。原油高と円安が同時に進む局面は、日本株にとって体感的な悪材料になりやすく、指数の下振れ圧力が増します。

第三に、イベント通過後の反応です。地政学リスクは「不確実性そのもの」が最大の敵になり、交渉進展や停戦観測などで“安心材料”が出た瞬間に、売られていた銘柄が急反発することがあります。ニュースに感情で反応するより、「どのシナリオに近づいたか」を淡々と点検する姿勢が、ボラティリティ局面ではリターンに直結しやすくなります。

中東情勢は、起きてほしくない事態ほど市場へのインパクトが大きくなりがちです。ただ、株式市場は常に“恐怖の最大値”を先回りで織り込もうとします。投資家としては、危機を煽る情報ではなく、エネルギー供給網と価格メカニズム、そして日本の構造的な中東依存という現実を踏まえ、冷静にポートフォリオの耐性を確認していく局面と言えるでしょう。これから10日間の期間でどのような展開になるのか、、ウォッチしておきたいと思います。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

U.S. Military Buildup in Middle East Raises Hormuz Risk; Implications for Japanese Equities

Rising geopolitical tensions in the Middle East are refocusing investor attention on energy security and Japan’s market sensitivity to oil shocks. Reports indicate a significant U.S. military buildup in the region, heightening concerns over potential disruption to the Strait of Hormuz — a critical chokepoint for global oil flows.

Roughly one-fifth of the world’s oil consumption passes through the Strait, and Japan remains heavily dependent on Middle Eastern crude imports. Any disruption — even partial — could push crude prices sharply higher, adding inflationary pressure and weighing on Japan’s trade balance. A simultaneous rise in oil prices and a weaker yen would amplify cost pressures for energy-importing industries.

For Japanese equities, the key issue is sector divergence rather than broad index direction. Energy producers and trading houses could benefit from higher commodity prices, while energy-intensive sectors such as chemicals, steel, airlines and transportation face margin risks. Automakers and other exporters may also be vulnerable if higher fuel costs dampen global demand.

Conversely, a diplomatic breakthrough that stabilizes supply expectations could trigger a pullback in oil prices, easing macro pressure on Japan’s economy but weighing on resource-linked stocks.

Investors are likely to focus less on headlines and more on the duration and magnitude of oil price movements. In this environment, portfolio resilience and sector allocation — rather than outright risk-on or risk-off positioning — will be critical for navigating volatility in Japanese markets.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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