AI半導体需要が追い風、通期純利益は前期比2倍へ
半導体検査装置大手のアドバンテストが、投資家の注目を一段と集めています。1月28日に発表した2026年3月期の通期業績見通しでは、連結純利益(IFRS)が前期比2倍となる3285億円に達する見通しを示しました。従来予想から535億円の上振れで、市場予想平均(QUICKコンセンサス)の2838億円を大きく上回る内容となっています。
注目すべきは、上方修正が今期に入ってすでに3度目という点です。通常、業績修正は年に1回あれば多い部類ですが、アドバンテストは「需要の伸びが会社の想定を超えている」ことを数字で証明している格好です。AI半導体の需要拡大が、同社の検査装置販売を想定以上に押し上げています。
売上高1兆円超、営業利益率42%へ――“儲けの質”が変わった
同社は今期の売上高を前期比37%増の1兆700億円、営業利益を99%増の4540億円と見込んでいます。売上高は従来予想から1200億円、営業利益は800億円の上振れです。
ここで投資家が見逃せないのは「利益率の劇的な改善」です。AI向け検査装置は付加価値が高く、同社は売上高営業利益率42%を計画しています。これは前期から約13ポイント上昇する水準であり、単に売上が伸びているだけでなく、より高収益な領域へ事業構造が移行していることを示唆します。
決算発表後、PTSでは株価が東証終値比で一時約15%上昇する場面があり、マーケットの驚きの大きさがうかがえます。
テストシステム事業が牽引、SoCとHBMが二大成長テーマに
業績拡大の中心にあるのは、主力のテストシステム事業です。同事業の売上高は前期比42%増の9670億円を計画し、従来予想から1200億円の上振れとなりました。
特に好調なのが、複数機能を1つのチップに集約するSoC(システム・オン・チップ)向けです。SoC向け売上高は7220億円(64%増)と大幅な成長を見込んでおり、AIサーバー向け半導体の高度化が、検査工程の重要性を押し上げている構図が鮮明です。
さらに今回、市場関係者の想定を上回ったのがメモリー向けの回復です。従来は減収予想だったところから一転し、メモリー向け売上高を7%増の1690億円へ引き上げました。背景にはAIサーバーのデータ処理に不可欠なHBM(広帯域メモリー)の需給逼迫があり、半導体メーカーの増産投資が検査装置需要に直結しています。
2027年に向けた供給制約の克服へ、生産能力「5000台超」さらに加速
今回の発表でより中長期投資家の関心を引くのは、アドバンテストが「供給能力増強」に明確に踏み込んだ点です。
同社はSoC向け検査装置の生産能力を2027年3月末までに年5000台超へ引き上げる方針を示しました。しかし、同社は5000台を「最低ライン」と位置づけており、需要がさらに強ければ追加の能力増強も辞さない構えです。ダグラス・ラフィーバCEOは決算説明会で需要環境を「非常に強い」と表現し、5000台達成後は約2年で7500台、さらに1万台を目指す考えを示しています。
これは、AI半導体市場が単なる短期ブームではなく、設備投資の長期サイクルとして定着しつつあるとの見方を裏付ける発言とも言えるでしょう。
中国売上比率20~25%、「重要地域」として健全性を強調
地政学リスクが取り沙汰される中でも、中国事業の位置付けは依然大きいようです。ラフィーバCEOは、中国について「非常に健全な状況」と評価し、売上の20~25%を占める重要地域であると説明しました。
中国には数千社規模のファブレス企業が存在し、同社が掲げる“プラットフォームアプローチ”により、多様な製品を供給できている点が堅調な売上につながっているとしています。
為替前提は1ドル146円、円安も利益押し上げ要因
業績見通しの前提となる想定為替レートは、1ドル=146円へ見直されました。会社説明によれば、1円の円安・ドル高が営業利益を年32億円押し上げるとされており、足元の為替環境も収益に追い風となります。
株主還元も強化、自己株消却で需給改善へ
業績面だけでなく、株主還元の姿勢も鮮明です。同社は2月6日に発行済み株式総数の4.46%にあたる3414万1256株の自己株式消却を実施すると発表しました。これはEPS(1株利益)向上に直結する施策であり、成長投資と株主還元の両立を印象付けます。
投資家の視点:AI革命の「裏方インフラ」としての強み
AI革命では、GPUやAIサーバーなど表舞台の企業に注目が集まりがちですが、最先端半導体が成立するためには“検査”という工程が不可欠です。チップの高性能化・複雑化が進むほど、検査装置の重要性は高まり、装置単価も上昇しやすい構造があります。
アドバンテストはまさにその「AI時代のインフラ」を担う企業として、需要の波を利益へ転換できる局面に入っているとみられます。今回の3度目の上方修正と生産能力増強の発表は、同社が次の成長ステージに入った可能性を示す重要なシグナルと言えるでしょう。PTSで株価が高騰していることもあり、明朝の株価が楽しみです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Advantest Raises Profit Outlook Again on AI Chip Testing Demand
Advantest said on Jan. 28 it expects FY2026 (ending March 2026) net profit to double year on year to ¥328.5 billion, marking its third upward revision this fiscal year as demand for high-end semiconductor testing equipment remains stronger than anticipated. The forecast exceeds market expectations, reflecting robust investment tied to AI servers and data centers.
The company also lifted its sales outlook to ¥1.07 trillion (+37%) and operating profit to ¥454.0 billion (+99%), with operating margin projected to reach 42% thanks to a richer product mix of high-value AI-related testers. Advantest highlighted continued strength in SoC testing systems and improving momentum in memory testers driven by tight supply of HBM used in AI workloads.
To capture accelerating demand, Advantest plans to expand SoC tester production capacity to more than 5,000 units annually by March 2027, while signaling potential further increases. The company also announced the retirement of 34.1 million shares (4.46% of shares outstanding), underscoring its shareholder-return stance.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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