円安とインフレが加速する中、日本株市場は過去最高値圏で推移し、企業収益も史上最高水準に達しています。一見すると明るいニュースが並びますが、その裏側では、今、日本経済の構造そのものが大きく変化している真っ只中だと思われます。30年続いたデフレの終焉と引き換えに定着しつつあるのは、かつて経験したことのない「構造的円安・インフレ」の時代です。投資家にとって、これは単なる追い風なのか、それとも新たなリスクの始まりなのでしょうか。以下にて考察していきます。
過去の円安とは異なる「質の変化」
歴史を振り返ると、円安の意味は時代ごとに大きく異なってきました。1980年代の円安は輸出主導の成長を後押しし、1998年の円安は金融不安による信用低下を背景としたものでした。一方、現在の円安は、輸入依存の高さや産業構造の変化を背景とする「構造的円安」と位置づけられます。
企業の海外生産比率が高まったことで、円安による輸出数量の増加は限定的となり、その一方で為替差益は企業利益として内部に蓄積されやすくなっています。結果として、円安は企業収益や株価を押し上げる一方、輸入物価の上昇を通じて国民生活を圧迫するという、ねじれた構図を生み出しています。
インフレが企業業績を押し上げる一方で広がる格差
インフレの進行は企業業績にプラスに働いています。価格転嫁の進展や円安効果により、大企業を中心に利益水準は改善し、法人税収の増加にもつながっています。株式市場ではこうした動きを好感し、輸出関連株やインバウンド関連株が堅調に推移しています。
しかし一方で、賃金上昇が物価上昇に追いつかず、実質購買力の低下が続いています。円安とインフレの恩恵が株主や一部企業に集中しやすい構造となっており、家計や中小企業との間で体感景気の格差が拡大しています。株高=景気回復とは言い切れない状況が続いています。
金利差だけでは説明できない円安の背景
足元の円安は日米金利差の拡大が一因ですが、それだけでは説明しきれません。日本の低成長や生産性の伸び悩み、エネルギー輸入依存といった構造的課題が、長期的な円安圧力として作用しています。経常収支は黒字を維持しているものの、その中身は海外投資収益への依存度が高く、必ずしも円の需給改善にはつながっていません。
こうした環境下では、「そのうち円高に戻る」という従来の前提に立った投資判断はリスクを伴うでしょう。市場はすでに、新たな均衡点を模索し始めています。
投資家に求められる新たな視点
構造的円安とインフレが定着する局面において、現金や円預金の比率を過度に高めることは、実質価値の目減りにつながるリスクがあります。私は元々、株主として株の保有を軸として考えてきたので、今の時代に合っているかもしれません。投資は、リスク回避に繋がる有効な対策の一つだと思います。
投資家には従来以上に戦略的な資産配分が求められるでしょう。円安の恩恵を受けやすい輸出関連株や観光関連株といった成長資産を取り込みつつ、不動産や資源関連、金などインフレ耐性のある資産を組み合わせることも重要かもしれません。株高の表層だけでなく、その背後にある構造変化を見極めることが、今後の投資判断を左右する重要なポイントとなりそうです。
円安とインフレは、日本株にとって追い風であると同時に、新たな選別の時代の始まりを意味しています。市場環境の変化を正しく理解し、資産を守りながら成長を狙う姿勢が、これまで以上に問われています。歴史的転換点を迎えている今の日本にて、株主として行動することは実にエキサイティングだと実感しております。生活者としては大変な時代ではありますが、株主として変化を楽しみつつ、有効な策を練っていきたいと思います。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Japan Enters a New Phase of Structural Yen Weakness and Inflation
Japan’s equity market is hitting record highs as corporate profits benefit from a weaker yen and rising prices. However, investors are increasingly aware that the current yen depreciation is not cyclical but structural, reflecting long-term shifts in Japan’s economy rather than short-term currency fluctuations.
Unlike past episodes, today’s weak yen boosts corporate margins more than export volumes, while higher import costs pressure household purchasing power. Inflation is supporting earnings for large, globally exposed firms, but wage growth has lagged, widening the gap between corporate performance and consumer sentiment.
For investors, the environment favors companies with pricing power and global exposure, while highlighting the need for inflation-hedged and diversified portfolios as Japan adjusts to a fundamentally different macroeconomic regime.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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