三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306、以下MUFG)が2月4日に発表した2025年10〜12月期(第3四半期)の連結決算は、国内金利上昇を追い風に堅調な内容となりました。連結純利益は前年同期比6%増の5206億円、2025年4〜12月期累計では同3.7%増の1兆8135億円と、増益基調を維持しています。通期計画に対する進捗率は86%超と高水準で、メガバンク最大手としての収益力の底堅さが改めて示されました。
市場では、利上げ局面で銀行株に資金が向かいやすい環境が続くなか、MUFGの決算は「金利上昇メリットを着実に取り込みつつ、非金利収益や海外収益の厚みで利益の質を高めている」と評価される内容だったと言えます。
以下にて詳しく見ていきましょう!
国内金利上昇で利ざや拡大、資金利益が底上げ
今回の決算で特に注目されたのは、国内金利上昇を背景に企業向け貸出を中心とした利ざやが拡大し、資金利益が増加した点です。顧客の資金需要はLBO(レバレッジド・バイアウト)を含め堅調で、国内貸出金残高は2025年3月末比で2.6兆円増加しました。
メガバンクは長年、超低金利環境により収益の伸びが抑えられてきましたが、足元では金利のある世界が銀行本来の収益構造を復活させつつあります。MUFGにとっては、国内貸出の増加と利ざや改善が同時に進む局面となっており、銀行業の王道である「貸して稼ぐ力」が再び存在感を増してきました。
また、昨年度に低採算の債券を入れ替えたことも寄与し、資金運用面でも収益改善が進んでいることがうかがえます。
モルガン・スタンレーの好調が利益押し上げ、海外収益の強み
MUFGの特徴は、国内最大の顧客基盤に加え、海外収益の柱を持つ点です。今回の決算でも、出資先である米モルガン・スタンレーの好調な業績が利益を押し上げたとされています。
世界の金融市場は、金利動向や景気見通しによって投資銀行業務の収益環境が大きく変化します。そうしたなかで、MUFGはモルガン・スタンレーとの資本・業務提携を通じて、グローバル金融ビジネスの成長果実を取り込める体制を構築しています。これは国内銀行中心の収益構造から一歩進んだ「国際分散型の利益モデル」として、投資家にとって評価ポイントとなりやすい要素です。
通期計画は据え置き、慎重姿勢の背景に「市場リスク」
MUFGは好調な進捗にもかかわらず、通期の連結純利益予想(前年比12.7%増の2兆1000億円)を据え置きました。背景には、金融市場の変動や地政学リスクなど不透明要因があるとしています。
一方で、CFOコメントとして、昨年12月の日銀利上げの恩恵により約250億円の上振れ余地があることも示されました。つまり、保守的に見積もりつつも、金利環境次第では上振れの可能性が残る構図です。
市場では「進捗率86%で上方修正がない」という点に驚きが出る場面もありますが、銀行業は市場環境次第で利益のブレが大きくなるため、慎重なガイダンスは一定の合理性があると言えるでしょう。
国債ポジション管理が焦点、評価損は約3000億円に抑制
金利上昇局面の銀行決算で避けて通れないのが、保有債券の評価損益です。MUFGの中核である三菱UFJ銀行は、12月末時点で約27兆円の国債を保有する主要プレーヤーであり、金利上昇による評価損リスクを抱えます。
今回の説明では、超長期債(30年債など)の残高を減らしてきたことに加え、中間期以降は長期金利が上昇局面に入る前に10年債についてもリスクを引き下げたことが奏功し、ヘッジ考慮後の評価損は約3000億円にとどまったとしています。
今後は金利上昇のピークを見極めながら、段階的にポジションを拡大し元の水準へ復元する方針も示されました。これは、短期的には慎重なリスク管理を優先しつつ、金利環境が落ち着けば運用収益の積み上げを狙う戦略とみられます。
投資家視点:金利上昇メリット+非金利収益で「利益の質」を評価
今回の決算は、MUFGが金利上昇メリットを享受できる体質にあることを示した一方、手数料収益や海外提携など、金利以外の収益源を強化している点も注目されます。
市場では「銀行株=金利頼み」と見られがちですが、MUFGは国内外の法人金融、投資銀行、資産運用、デジタル領域など多面的な収益機会を持ち、収益の分散が進んでいる点が強みです。
一方で、国債評価損リスクや世界経済の変調、地政学リスクによる市場混乱など、銀行特有の不確実性も残ります。したがって投資判断においては、金利環境だけでなく、リスク管理の巧拙や非金利収益の成長性を含めて評価する局面に入っていると言えるでしょう。
メガバンク最大手の底力、株価評価は「次の一手」に左右
MUFGの第3四半期決算は、利ざや拡大を軸とした収益改善と、海外提携を含む多面的な利益成長が確認できる内容でした。通期計画を据え置いたことで過度な期待は抑えつつも、進捗率の高さからは着実な達成可能性が意識されます。
今後の注目点は、国内金利上昇がどこまで続くか、国債ポジションの復元をどのタイミングで進めるか、そして非金利収益がどこまで伸びるかです。銀行株が再評価される局面において、MUFGは「金利上昇メリットの最大享受企業」として引き続き投資家の視線を集めそうです。

三菱UFJフィナンシャル・グループ本社ビルのMUFGロゴ表示/東京都千代田区丸の内一丁目4番5号。2024年11月29日/(C) 撮影:STOCK EXPRESS編集部 (Photographer: SHUN)
私も株主として同社の株を保有しており、本日の決算に注目しておりましたが、順調なようで安心しました。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
MUFG Posts Solid Q3 Profit Growth as Higher Japanese Rates Lift Core Earnings
Mitsubishi UFJ Financial Group (MUFG) reported a steady earnings increase for the October–December quarter, supported by rising domestic interest rates and resilient corporate loan demand. The company said quarterly net profit rose 6% year-on-year to ¥520.6 billion, while net profit for the first nine months of the fiscal year climbed 3.7% to ¥1.81 trillion.
Higher Japanese rates widened lending spreads and boosted funding-related income, with domestic loan balances increasing by ¥2.6 trillion since the end of March. MUFG also benefited from improved securities positioning and strong performance at its U.S. affiliate Morgan Stanley.
Despite the strong progress—reaching 86% of its full-year target—MUFG maintained its full-year net profit forecast of ¥2.1 trillion, citing uncertainty around financial markets and geopolitical risks. The bank said it has managed interest-rate risk in its large Japanese government bond portfolio, keeping unrealized losses to around ¥300 billion after hedging, and plans to adjust its bond positioning gradually depending on the rate outlook.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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