10月16日の米株式市場では、地方銀行(地銀)を中心に金融株が大幅に下落し、ダウ工業株30種平均は前日比301ドル安の4万5952ドルと続落しました。ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーションおよびザイオンズ・バンコーポレーションの2行が、不正疑惑を含む融資問題を相次いで開示したことが引き金となり、市場では米銀行業界全体への信用不安が広がっています。さらには、東京株式市場への不安へも広がりつつあります。一瞬、サブプライム問題が発端となって世界的に拡大したリーマン・ショックのことも頭をよぎりました。今、何が起きようとしているのでしょうか。以下にて分析していきます。
不正融資を巡る訴訟が波紋、相次ぐ貸倒計上
ウエスタン・アライアンスは16日、商業用不動産ローンにおいて借り手の不正を確認し、8月に訴訟を起こしていたことをSEC(米証券取引委員会)への提出資料で明らかにしました。同行株は同日11%下落しましたが、業績見通しは据え置くとしています。
一方、ザイオンズは傘下のカリフォルニア・バンク・アンド・トラストが「明らかな虚偽表示や契約違反」に関与する融資案件を発見し、約6000万ドル(約90億円)を貸倒引当金として計上したと発表。株価は13%安となりました。
この2行に限らず、米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループ(FBG)や自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの破綻に端を発する信用懸念も、市場の不安心理を増幅させています。JPモルガン・チェースはトライカラー関連で1億7000万ドルの損失を計上し、フィフス・サード・バンコープも最大2億ドルの減損見込みを示しています。
市場関係者の間では、「火のないところに煙は立たぬ」(スレートストーン・ウェルスのポルカリ氏)との見方が強く、他の地銀にも同様の問題が潜在しているのではないかとの懸念が広がっています。
東京市場も反落、利益確定売り優勢に
こうした米地銀株急落の流れを受け、17日の東京株式市場では日経平均株価が反落しています。前日までの2営業日で1400円超上昇していたこともあり、週末を前に利益確定売りが先行。円高進行(1ドル=150円台半ば)も輸出関連株の重荷となり、日経平均は前日比400円前後安の4万7800円程度での推移が見込まれています。特に銀行株の下落が顕著です。
▼三菱UFJフィナンシャルグループ株価推移(2025年10月16日〜17日)

三菱UFJフィナンシャルグループ株価推移(2025年10月16日〜17日)
ただし、下値では押し目買い意欲も強く、政治情勢の安定化期待や企業の自社株買い発表などが相場下支え要因となりそうです。リクルートホールディングスは前日、最大2500億円の自社株買いを発表しており、投資家の注目を集めています。
今後の焦点:米地銀決算と信用リスクの行方
米市場では11月にかけて地銀決算が相次ぐ予定であり、融資関連の不正・焦げ付き事案が他行にも波及するかが注目されます。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは「ゴキブリを1匹見たら、他にもいるものだ」と警鐘を鳴らしており、市場は当面、地銀セクターの信用リスクに敏感な展開が続きそうです。そして、株式市場全般に影響を与える可能性もあり、注視していきたいと思います。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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今度は、アメリカで自動車ディーラー向け融資を手がけるプライマレンド・キャピタル・パートナーズが、米連邦破産法11条の適用を申請しました。この企業も信用力の低い個人向け事業を展開していました。
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