日銀利上げでも株高が進む理由とは――投資家が読み解く市場の本音

日銀利上げでも株高が進む理由とは――投資家が読み解く市場の本音 政治と株価

12月22日の東京株式市場では、日経平均株価が前週末比で約1000円高となり、5万円台を力強く回復しました。直前の19日には日銀が追加利上げを決定しており、通常であれば株式市場には逆風となりやすい局面です。それにもかかわらず、なぜ株高が進んだのでしょうか。本記事では、今回の株高の背景を投資家目線で整理します。

▼日経平均株価推移(2025年12月16日~22日)

日経平均株価推移(2025年12月16日~22日)

日経平均株価推移(2025年12月16日~22日)

利上げ発表でも広がった「安心感」

最大のポイントは、日銀の利上げそのものよりも、植田和男総裁の記者会見で示された姿勢です。市場では、今回の利上げが「急激な金融引き締めの始まり」ではなく、あくまで慎重かつ段階的なものだとの受け止めが広がりました。特に、中立金利の具体的な水準について踏み込んだ言及がなかったことから、今後も利上げペースは緩やかに進むとの見方が優勢となっています。
この「ハト派的」と解釈されたメッセージが、金融政策を巡る不透明感を後退させ、株式市場に安堵感をもたらしました。結果として、利上げ発表後にもかかわらず、投資家のリスク回避姿勢は強まらなかったのです。

金利上昇をものともしないAI関連株の存在感

今回の株高を主導したのは、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、東京エレクトロンといったAI関連の主力株でした。長期金利が約27年ぶりの高水準となる場面でも、これらの銘柄はそろって大幅高となり、日経平均を600円以上押し上げました。
一般論では、金利上昇は将来利益の割引率を押し上げるため、ハイテク株には逆風とされます。しかし、AI分野に関しては、成長期待が金利上昇の影響を上回っているのが実情です。エヌビディアを巡る米国市場での好材料や、日本株が「エヌビディア3兄弟」と称される銘柄群への連想買いを呼び込んだことも、追い風となりました。

官民連携による国産AI構想が追い風に

加えて、国産AI開発を巡る官民連携の報道も、投資家心理を支えました。ソフトバンクなどが中心となり、来春にも新会社を設立し、経済産業省が5年間で1兆円規模の支援を行う構想が伝わっています。ロボットや機械をAIで制御する「フィジカルAI」を国内で育成するというビジョンは、中長期の成長ストーリーとして評価されました。
金融引き締め局面であっても、将来の産業競争力を高めるテーマには資金が集まりやすいことを、改めて示す形となっています。

実質金利は依然として低水準との見方

専門家の間では、「金利は上がったが、まだ株式市場の重荷になる水準ではない」との見方も根強くあります。長期金利と期待インフレ率から算出される実質金利は、日本の潜在成長率を下回っているとの指摘もあり、緩やかな金利上昇であれば株価調整は限定的だと考えられています。
この認識が共有されている限り、利上げ=即株安という単純な構図にはなりにくい状況です。

変動率低下が示す相場の安定化

実際、相場の先行き不安を映す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は低下傾向にあります。金融政策を巡る不透明感が後退したことで、相場の値動きは落ち着きを取り戻しつつあり、年末にかけては現物株がじり高となる展開を期待する声も出ています。

利上げ局面でも問われる「質」の見極め

今回の株高は、「利上げ=株安」という従来の常識が必ずしも当てはまらないことを示しました。重要なのは、利上げのペースや背景、そして企業の成長力です。特にAIのように世界的な成長テーマを持つ分野では、金利上昇を超えるリターンを期待する資金が集まりやすい状況が続いています。

日経平均が5万円台を維持できるかどうかは、今後の投資家心理を占う試金石となります。利上げ局面においても、冷静に市場の本質を見極める姿勢が、これまで以上に求められていると言えるでしょう。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

Why Japanese Stocks Rose Despite the BOJ’s Rate Hike

Japanese equities surged on Monday even after the Bank of Japan (BOJ) announced an additional interest rate hike last week. The Nikkei 225 jumped nearly 2%, returning to the 50,000 level, as investors interpreted the BOJ’s stance as more dovish than feared.

At the post-meeting press conference, BOJ Governor Kazuo Ueda avoided giving clear guidance on the neutral interest rate, reinforcing expectations that future rate hikes will be gradual. This eased concerns about an aggressive tightening cycle and reduced policy uncertainty, helping stabilize investor sentiment.

Market gains were led by AI-related stocks such as SoftBank Group, Advantest, and Tokyo Electron, which rose sharply despite higher long-term interest rates. Strong global demand for AI semiconductors and positive spillovers from Nvidia-related news in the U.S. outweighed the negative impact of rising yields.

Support also came from reports of a public-private initiative to develop domestic AI infrastructure in Japan, backed by substantial government funding. Investors viewed this as a long-term growth driver that justifies continued exposure to Japanese technology stocks.

Although Japan’s 10-year government bond yield hit multi-decade highs, real interest rates remain low relative to the country’s potential growth rate. As a result, investors see limited downside risk for equities as long as rate increases remain measured.

The decline in market volatility further suggests that fears surrounding monetary policy are fading. For overseas investors, Japan’s recent rally highlights that growth themes—particularly AI—can still attract capital even in a rising-rate environment.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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