南鳥島沖の“国家プロジェクト”が株式市場を刺激
2月2日の東京株式市場で、三洋貿易(3176)の株価が急騰しました。株価は一時1,987円まで上昇し、ストップ高。その後、前日比201円(+12.67%)高の1,788円で取引を終え、東証プライムの値上がり率ランキングでも上位(第5位)にランクインしました。今回の上昇は、単なる材料株の物色ではなく、日本の資源安全保障を左右し得る深海レアアース開発が、現実の成果として前進したことへの市場の反応とみられます。
背景にあるのは、南鳥島沖の深海底に存在するとされるレアアース(希土類)を含む泥の試験掘削です。地球深部探査船「ちきゅう」が水深約5,700メートルの深海底からレアアース泥の試掘に成功したと報じられ、関連銘柄に一気に資金が向かう展開となりました。
▼三洋貿易 株価推移(2026年1月28日〜2月2日)

三洋貿易 株価推移(2026年1月28日〜2月2日)
以下にて詳しく見ていきましょう!
1月22日のリリースが再評価 “コスモス商事”の納入実績
三洋貿易が注目された直接の要因は、同社グループのコスモス商事が「ちきゅう」に対して採鉱機、揚泥管、浮力体、さらに遠隔操作無人探査機(ROV)を納入している点です。コスモス商事はこの納入について1月22日にリリースを行っており、今回の試掘成功報道を受けて「実際に使われた機材を供給した企業」として改めて評価が高まった格好です。
深海資源開発は、技術的な難易度が極めて高い分野です。水深6,000メートル級ともなれば、強烈な水圧、暗闇、低温といった過酷環境の中で、採掘から揚泥、監視までを統合したシステムを安定稼働させる必要があります。こうした領域で“納入実績”を持つ企業は限られ、市場では「参入障壁が高い=将来の収益機会も大きい」との見方が強まりやすい局面です。
ニッチトップ専門商社としての存在感 「静かな強み」が株価に反映
三洋貿易は、いわゆる総合商社とは異なり、特定分野で世界トップ級の製品・技術を扱う「ニッチトップ専門商社」としての色合いが濃い企業です。今回の深海レアアース開発のように、一般には馴染みが薄い一方で国家戦略に直結する領域では、こうした専門商社が“縁の下の主役”となるケースが少なくありません。
とりわけ子会社コスモス商事が、海洋開発や掘削関連で培ってきた専門性は、深海開発の現場で実装できる強みとして評価されます。今回の株価急騰は、こうした「普段は目立たないが、国家プロジェクトでは不可欠」という企業価値が、一気に可視化された局面とも言えるでしょう。
投資家視点:今回の急騰は“通過点”か、それとも天井か
もっとも、投資家が冷静に整理すべき点もあります。今回の上昇は、深海資源開発という超長期テーマに対する期待先行の面が強く、短期的には材料出尽くしによる反動や、ボラティリティの拡大も十分想定されます。
一方で、このプロジェクトは単発のイベントではなく、ロードマップ型で段階的に進む国家戦略です。過去には水深約2,500メートルでの揚泥試験成功があり、今回さらに水深6,000メートル級での試掘成功が報じられました。今後は本格的な採鉱試験や商業化判断へ向けたニュースが断続的に出てくる可能性があり、関連銘柄の物色は一過性で終わらないシナリオも考えられます。
“資源安全保障×深海技術”が新テーマに 関連株物色の広がりも
レアアースはEV、風力発電、半導体、防衛装備など、先端産業に不可欠な戦略物資です。供給網が特定国に偏在している現状を踏まえると、日本の排他的経済水域(EEZ)内で資源確保の可能性が高まることは、経済安全保障の観点からも大きな意味を持ちます。
市場ではすでに、深海資源開発に関わる企業群が「次世代の資源関連テーマ」として再編されつつあり、今回の三洋貿易のストップ高は、その象徴的な動きとなりました。今後も「ちきゅう」関連の続報や政策支援の強化が出れば、深海開発という新たな国策テーマが株式市場で一段と存在感を増す展開が期待されます。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Sanyo Trading Hits Limit-Up as Japan’s Deep-Sea Rare Earth Project Gains Momentum
Sanyo Trading Co. (3176) surged to the daily limit on Feb. 2, closing up 12.7% at ¥1,788 and ranking among the top gainers on the Tokyo Stock Exchange Prime Market. The rally followed reports that Japan’s deep-sea drilling vessel Chikyu successfully conducted a test excavation of rare earth-rich mud off Minamitorishima Island at around 5,700 meters below sea level.
Investor attention centered on Sanyo Trading’s subsidiary, Cosmos Shoji, which disclosed on Jan. 22 that it supplied key equipment to Chikyu, including mining machinery, lifting pipes, buoyancy systems, and remotely operated underwater vehicles (ROVs). With the government-led project viewed as critical to Japan’s economic security and supply chain resilience, the successful test has fueled expectations of further progress and broader commercialization potential in deep-sea resource development.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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