半導体検査装置大手のアドバンテスト（6857）が本日10月28日、2026年3月期の連結純利益（国際会計基準）を前期比70.6%増の2750億円へ上方修正すると発表しました。従来予想の2215億円から535億円の増額で、2年連続の過去最高益更新となります。今回の上方修正は今期2度目で、市場予想（QUICKコンセンサス：2479億円）を大きく上回りました。
AI向け半導体需要が業績を押し上げ
同社によると、2025年の半導体市場ではAI（人工知能）関連分野が成長をけん引しており、チップの複雑化や高性能化、生産数量の増加により、検査装置の需要が前年を上回る見通しです。これに伴い、高性能試験装置の販売が順調に拡大しています。
売上高は前期比22%増の9500億円、営業利益は64%増の3740億円を見込み、いずれも従来予想を大幅に上回ります。為替前提は1ドル＝143円、1ユーロ＝161円とし、前回予想から円安方向に見直しました。
中間決算も好調、純利益は2.4倍に
同日発表された2025年4〜9月期（上期）の連結決算では、売上高が前年同期比60%増の5267億円、純利益が2.4倍の1698億円となり、好調なAI関連需要が収益を押し上げました。中間配当は前年の19円から1株あたり29円へ増配となります。
中期経営計画も上方修正 稼ぐ力を一段と強化
アドバンテストは、2024年6月に策定した3カ年の中期経営計画（2024〜2026年度）の目標値も上方修正しました。AI関連の堅調な需要や供給体制の強化、市場シェア拡大を背景に、次のように見直しています。
・平均売上高：8350〜9300億円（従来：5600〜7000億円）
・営業利益率：33〜36%（従来：22〜28%）
・純利益：2070〜2480億円（従来：930〜1470億円）
・ROIC（投下資本利益率）：34〜39%（従来：18〜28%）
・EPS（1株当たり利益）：284〜341円（従来：127〜202円）
高付加価値製品の比率が上昇することで、「稼ぐ力の質的向上」が進むとしています。
1500億円規模の自社株買いを発表 株主還元も強化
あわせて、アドバンテストは総額1500億円を上限とする自社株買いを発表しました。期間は2025年11月4日から2026年10月28日までで、発行済み株式（自己株式を除く）の2.5%（1800万株）を上限とします。
同社は「総還元性向50%以上」を掲げており、今回の自社株買いは業績の上方修正と潤沢な手元資金を踏まえたものです。
今後の展望
AI需要を追い風に、アドバンテストは高収益体質をさらに強化しつつあります。業績・計画・株主還元の三拍子がそろい、中長期的な成長期待が一段と高まる展開です。為替リスクや半導体市況の変動には注視が必要ですが、AI関連分野の拡大が続く限り、同社の成長基調は堅調に推移する見込みです。下記チャートのように、ここ数日 株価が上昇してきましたが、決算が本日の大引け後に発表されたこともあり、PTSがさらに急騰。22時すぎの現在、19,186円をつけております。明日は２万円台に乗せるのではないでしょうか。
▼アドバンテスト株価推移（2025年10月23日～28日）
アドバンテスト株価推移（2025年10月23日～28日）
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。
STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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