三井金属株式会社(5706)が発表した2026年3月期の業績見通しが、市場に強いインパクトを与えています。従来は減益予想としていた通期純利益を一転、前期比19%増の770億円へと340億円上方修正し、過去最高益を更新する見通しとなりました。市場予想(QUICKコンセンサス457億円)を大きく上回る内容であり、AI関連需要の拡大や金属価格の上昇、円安効果が業績を押し上げています。
あわせて期末配当予想も30円増額し140円としました。年間配当は240円(前期180円)となる見通しで、累進配当方針のもと株主還元の強化姿勢を鮮明にしています。
通期業績を大幅上方修正、経常利益は57%増へ
26年3月期の売上高は前期比5%増の7500億円、経常利益は57%増の1200億円を見込んでいます。従来予想から売上高は350億円、経常利益は430億円それぞれ引き上げました。
想定為替レートは1ドル=150.3円へと円安方向に見直し、亜鉛や銅の価格前提も引き上げています。足元の金属市況の上昇に加え、在庫評価益の押し上げ効果も業績改善に寄与しています。
第3四半期累計(4~12月)の経常利益は前年同期比26.1%増の745億円。直近10~12月期では同70.7%増の353億円と急伸し、売上営業利益率も前年同期の9.8%から18.0%へと大幅改善しました。下期(10~3月期)の経常利益は従来予想378億円から808億円へと倍増する計算となっており、業績のモメンタムは明確に上向いています。
AIデータセンター向け銅箔が成長エンジンに
今回の上方修正の中核を担うのが、機能材料セグメントです。生成AIの拡大に伴うデータセンター投資の増勢を背景に、AIサーバー向け高周波基板用電解銅箔の需要が急拡大しています。
三井金属のキャリア付極薄銅箔(VSP)は、高速・高周波通信に対応できる低損失特性を強みとし、次世代GPUやAI半導体を支える重要部材となっています。販売量は当初の中期目標を前倒しで達成する見通しで、増産投資も加速しています。
AIインフラの物理的基盤を支える材料メーカーとしての存在感が急速に高まっており、同社は「伝統的金属メーカー」から「ハイテク材料企業」へと構造転換を進めている段階にあります。
金属事業も収益基盤を下支え
一方で、亜鉛や銅などの金属事業も堅調です。金属価格上昇と円安の効果により収益が改善し、在庫評価益も利益を押し上げました。AI関連という成長ドライバーに加え、資源・金属という安定収益基盤が支える「二本柱」の構造が業績の安定性を高めています。
4~12月期は純利益が前年同期比6%減の490億円となりましたが、これは子会社三井金属アクトの譲渡に伴う特別損失の計上によるものです。営業利益は28%増益であり、本業は着実に拡大しています。
レアアース研究拠点新設、次世代材料へ布石
さらに同社は、福岡県大牟田市に「九州先端材料開発センター」を新設すると発表しました。南鳥島沖のレアアース泥の精製も視野に入れ、国内サプライチェーン強化に貢献する方針です。
100億円を投じ、2028年度完成を目指します。レアアース分離技術の高度化に加え、半導体封止材向け負熱膨張材やEV電池材料の研究開発も進める計画です。AI・EV時代を見据えた素材戦略を着実に拡張しています。
株主還元強化と中長期ビジョン
三井金属は累進配当を採用し、DOE(株主資本配当率)3.5%を目安としています。今回の増配修正により、業績拡大と株主還元強化の両立を明確に示しました。
中期経営計画では2030年度に経常利益1000億円規模を目標とし、その大半を機能材料で稼ぐ構想です。AI関連銅箔の成長が続けば、この目標の前倒し達成も視野に入るとの見方も浮上します。
投資家視点:構造転換銘柄として再評価余地
今回の業績上方修正は、単なる市況回復ではなく、事業ポートフォリオの質的変化を映す内容といえます。AI革命のインフラを支える高付加価値材料と、金属資源事業の安定収益という二層構造が確立しつつあります。
円安・金属市況という外部要因に依存する面は残るものの、AI需要が構造的トレンドとして持続するならば、同社の利益水準は新たなステージに入る可能性があります。市場は三井金属を「市況株」から「成長材料株」へと再評価し始めている局面といえるでしょう。
本日の決算発表のタイミングが大引け後(15:30)でしたが、早くもPTSで株価が急騰しております。週明け月曜日の株価に期待が高まりますね。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Mitsui Kinzoku Raises Full-Year Outlook, Projects Record Profit on AI Demand and Weaker Yen
Mitsui Kinzoku Company, Limited (5706) has sharply revised up its earnings forecast for the fiscal year ending March 2026, now expecting net profit to rise 19% year-on-year to ¥77 billion, reversing its earlier projection of a decline. The new guidance exceeds market expectations and would mark a record high.
The company also raised its full-year dividend forecast to ¥240 per share, up from ¥180 in the previous year, in line with its progressive dividend policy.
Revenue is now projected to grow 5% to ¥750 billion, while recurring profit is expected to jump 57% to ¥120 billion, reflecting stronger-than-expected demand for AI-related materials, higher metal prices, and a weaker yen assumption of ¥150.3 per dollar.
Growth is being driven by robust demand for high-performance copper foil used in AI servers and data centers, particularly ultra-thin electrodeposited copper foil for high-frequency substrates. The company is accelerating capacity expansion to meet demand.
In addition, Mitsui Mining announced plans to invest ¥10 billion in a new R&D center in Fukuoka to develop rare earth refining and advanced materials technologies, strengthening its position in next-generation semiconductor and EV-related materials.
The earnings upgrade highlights the company’s transformation from a traditional metals producer into a key supplier of advanced materials for the AI era.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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