三菱電機(6503)が、AI需要の急拡大を背景にデータセンターや通信基地局で使用される光デバイスの増産を本格化しています。同社は2028年度までに2024年度比で生産能力を3倍に引き上げる計画で、これまでの「2026年度に1.5倍」という水準から大幅な上方修正となりました。電気自動車(EV)市場の伸び悩みによってパワー半導体の需要がやや停滞するなか、投資を光デバイスへ振り向けることで、強い成長が見込まれるAIデータセンター向け分野を伸ばす構えです。以下にて詳しく見ていきましょう!
AIデータセンター向け需要が光デバイス市場を押し上げ
光デバイスは、光と電気の信号を相互変換する技術を持つ半導体で、高速通信が必須となるデータセンターの基盤を支える重要部品です。とりわけAIデータセンターでは、GPU基板間の高速接続などで大量の光デバイスが必要とされており、今後も世界的に増産計画が相次ぐ見通しです。

インドの調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイツによると、AIデータセンターの市場規模は2024年の約150億ドルから2032年には940億ドルまで拡大すると見込まれています。こうした高い成長性を踏まえ、三菱電機は光デバイス事業を次の成長の柱と位置づけ、生産能力増強に大きく舵を切りました。
高利益率の光デバイスが業績を下支え
光デバイスは世界シェアの約5割を占める三菱電機の強みの一つで、収益性の高さも際立っています。同社のセミコンダクター・デバイス事業では、2025年4~9月期の売上高が前年同期比4%減の1,406億円となった一方、営業利益は6%増の247億円と増益を確保しました。これは、EV向けパワー半導体が伸び悩む状況下でも、光デバイスが堅調に推移したことが大きな要因です。
さらに、会社側は2026年3月期の営業利益を4,300億円と予想しており、前期比9.7%増で過去最高益を連続更新する見通しです。光デバイス事業は、その達成に向けた重要な支えとなる可能性があります。
競合各社も増産に動く、業界全体でAI特需に対応
光デバイス市場の成長性は極めて高く、住友電気工業や日本ルメンタムといった競合も生産能力の積極拡大に動いています。住友電工は2026年度に生産能力を24年度比で2倍に、米ルメンタム傘下の日本ルメンタムは2027年に24年度比で約6倍に増やす計画です。日本ルメンタムは相模原市の工場でウエハーの大口径化やエンジニアの増員を進め、24時間稼働で増産に対応する体制を整えています。
光デバイスは日本勢が世界シェア7割を握る得意分野であり、性能向上や省電力化の研究でも主導権を持つとされます。AI技術が高度化するにつれ、毎秒400〜800ギガビット級の高速光デバイスの実用化が近づいており、こうした国際競争の中で日本企業の存在感はむしろ強まっています。
次世代通信基盤「IOWN」が追い風に、三菱電機の研究蓄積にも期待
AIデータセンターの急増に伴い、世界的に電力消費の増大が課題となっています。この問題への有力な解決策として注目されているのが、NTTが推進する次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」です。IOWNは、通信だけでなく情報処理の領域にも光技術を導入することで大幅な省電力化を目指すもので、実現すればデータセンターのエネルギー負荷を大きく軽減できると期待されています。
三菱電機は光デバイス分野で30年以上の研究実績を持ち、IOWNに代表される光電融合の技術開発にも取り組んでいます。こうした技術面での蓄積は、同社が今後もデータセンター関連市場で主導権を握るうえで大きな追い風となる可能性があります。
株価は上昇基調、AI関連材料で投資家の関心高まる
光デバイス増産の報道が出た12月2日には市場で買いが入り、三菱電機株は上昇しました。翌3日の終値は4,339円となっており、4月の安値を底に上昇基調が続いています。AI関連のテーマ性が高いことから、今後も投資家の関心を集める展開が予想されます。
投資家として注目すべきポイント
今回の増産計画は、「EV減速からAI特需へのシフト」という大きな構造変化を象徴しています。三菱電機が2028年度にかけて生産能力を着実に高められるか、そして光デバイス事業がどこまで収益を押し上げるかは、中長期的な業績に大きな影響を与えるでしょう。また、データセンター市場の拡大ペースやIOWNをはじめとする光電融合技術の進展も、同社の株価にとって重要な外部要因となります。
光デバイスは今後も成長が期待される分野であり、その中心に位置する三菱電機は、AI投資の恩恵を長期的に享受する可能性が高い企業の一つです。投資家にとっては引き続き注目すべき銘柄といえるでしょう。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Mitsubishi Electric to Triple Optical Device Production as AI Data Center Demand Surges
Mitsubishi Electric announced plans to triple its production capacity of optical semiconductor devices by fiscal 2028, compared with fiscal 2024 levels. The company is shifting part of its investment away from slowing EV-related power semiconductors toward rapidly expanding demand for AI-driven data centers, where optical devices play a critical role in high-speed data transmission.
Global demand for AI data centers is projected to soar from about USD 15 billion in 2024 to USD 94 billion by 2032. Mitsubishi Electric holds roughly a 50% share of the global market for data center optical devices, and strong profitability in this segment has helped offset weakness in EV power semiconductors.
Industry competition is intensifying, with major Japanese players such as Sumitomo Electric and Japan Lumentum also expanding capacity. Japan currently accounts for around 70% of global optical device supply.
The company is also exploring next-generation optical-electronics technologies, including NTT’s IOWN platform, aiming to reduce power consumption in increasingly energy-intensive data centers.
Mitsubishi Electric’s share price has been on an upward trend, supported by expectations of record operating profit for FY2026 and growing interest in AI-related infrastructure demand.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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