通期純利益930億円へ上方修正、想定を超える業績回復力
JX金属は2月10日、2026年3月期の連結純利益(IFRS)予想を従来の790億円から930億円へと引き上げると発表しました。前期比では36.2%の増益となり、AIサーバー関連用途を中心とした情報通信材料事業の需要が想定以上のペースで拡大していることが背景にあります。市場コンセンサス(約980億円)にはわずかに届かなかったものの、素材セクターとしては異例の高成長が続いています。
第3四半期累計(2025年4〜12月)の連結最終利益は前年同期比72.9%増の795億円と大幅な伸びを記録しました。特に10〜12月期単独では最終利益が前年同期比3.9倍の366億円に達し、売上営業利益率も25.1%まで急上昇しています。これを受け、年間配当予想も21円から27円へと増額修正され、業績拡大と株主還元の両立姿勢を明確にしました。
AIサーバー需要が収益構造を一変、内発的成長が鮮明に
今回の決算で投資家が注目すべき点は、利益成長が銅価格や為替といった外部環境だけに依存していないことです。JX金属では、AIサーバー向けに不可欠な高機能材料が数量・収益の両面で急拡大しており、内発的な成長エンジンが本格的に回り始めています。
具体的には、高性能コンデンサ向けのタンタル粉末、耐熱・高導電性を兼ね備えた銅合金、そして半導体製造に不可欠なスパッタリングターゲットといった製品群が、いずれもAI向け需要を背景に大きく伸長しています。これらは発熱、電力効率、データ転送速度といったAIの「物理的限界」を克服するために不可欠な素材であり、JX金属は世界トップクラスのシェアと技術力を有しています。
この結果、従来は「非鉄金属市況株」として見られがちだった同社の評価は、AIインフラを根幹から支える材料テクノロジー企業へと大きく変わりつつあります。
磯原工場への積極投資、2030年を見据えた成長布石
同社は同日、光通信分野で需要が急増しているインジウムリン基板の生産能力を強化するため、磯原工場(茨城県北茨城市)に追加投資を行うと発表しました。従来の能力増強に加え、基板の大型化ニーズにも対応し、昨年発表済みの投資と合わせると、2030年時点の生産能力は2025年比で約3倍に拡大する見通しです。
データセンターでは、電気配線から光配線への移行が急速に進んでおり、その先には光電融合と呼ばれる次世代技術の本格普及が見込まれています。今回の設備投資は、単なる増産対応ではなく、将来の通信インフラにおける材料の標準を握ることを狙った戦略的な一手と位置付けられます。
資源・精錬事業の再定義、安定供給インフラとしての役割強化
一方、資源・精錬事業については、収益性だけを追う従来型モデルからの転換が進んでいます。原料調達や稼働体制の見直しを進め、フォーカス事業に不可欠な高品質素材を安定的に供給する「社内インフラ」としての役割を強化しています。
加えて、リサイクル原料の活用拡大などにより、資源ナショナリズムや環境規制といった中長期リスクへの耐性も高めています。これにより、価格変動の影響を受けにくい、より強固な事業基盤の構築が進んでいます。
投資家視点:AI時代の素材企業として評価転換が進むか
JX金属は、AI需要という構造的成長テーマを背景に、利益成長、積極投資、株主還元を同時に進める局面に入っています。短期的には市況や為替変動の影響を受ける可能性があるものの、中長期的には「AIインフラを物理的に支える素材企業」としての評価が市場に定着するかが、株価の方向性を左右するポイントとなりそうです。
素材企業の枠を超えた成長ストーリーを描けるかどうか。今後の受注動向やフォーカス事業の利益構成比の変化が、投資判断の重要な指標となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
JX Metals Raises Profit Outlook on Strong AI-Related Materials Demand
JX Metals said it has raised its forecast for fiscal year ending March 2026 net profit to ¥930 billion, up 36% from the previous year, driven by robust demand for advanced materials used in AI servers. Profit for the April–December period surged nearly 73% year on year, highlighting strong internal growth beyond commodity price gains.
Demand for high-performance materials such as tantalum powder, advanced copper alloys and sputtering targets has expanded rapidly, reflecting structural growth in AI data centers. The company also announced additional capital investment to triple production capacity for indium phosphide substrates by 2030, targeting next-generation optical and photonic infrastructure.
With earnings momentum and an increased dividend forecast, JX Metals is increasingly positioned as a key materials supplier for AI and digital infrastructure, rather than a traditional nonferrous metals producer.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.




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