11月17日の東京株式市場では、百貨店や外食、空運などインバウンド関連銘柄が軒並み急落しています。高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁に反発し中国政府が日本への渡航を控えるよう国民に呼びかけたことを受け、投資家のリスク回避姿勢が急速に強まったことが背景にあります。これまでインバウンド需要の回復期待から買われてきた銘柄群が、一転して売りの標的となっています。以下にて詳しく見ていきましょう。
百貨店株が6〜11%下落、空運・鉄道も連れ安
市場では、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋といった百貨店株が5〜11%安と急落しました。空運ではANAホールディングス、日本航空、鉄道では西武ホールディングスなど、訪日観光客の回復に依存するセクターが広範囲に売り込まれています。
▼三越伊勢丹HD 株価推移(2025年11月13日〜17日)

三越伊勢丹HD 株価推移(2025年11月13日〜17日)
前日比マイナス11.31%の急落。
▼高島屋 株価推移(2025年11月13日〜17日)

高島屋 株価推移(2025年11月13日〜17日)
前日比マイナス6.18%
中国は政府統計(1〜9月)で訪日外国人数の国別トップとなり、前年同期比42.7%増の748万人を超えるなど、インバウンド需要の牽引役となっていました。そのため、今回の渡航自粛の呼びかけは、関連企業の業績見通しに不透明感を生じさせる格好となりました。
中国関連株にも波及 良品計画・ユニ・チャーム・資生堂が軒並み安
売りはインバウンド関連だけにとどまらず、中国売上比率の高い銘柄にも拡大しています。良品計画は9%超安、ファーストリテイリングや資生堂、ユニ・チャームも3〜9%安と大きく値を下げました。
▼良品計画 株価推移(2025年11月13日〜17日)

良品計画 株価推移(2025年11月13日〜17日)
前日比マイナス9.4%の急落。
さらに、中国国内での出店を加速してきた外食チェーンにも売りが波及。スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIESが14%安、サイゼリヤも6%超安と、中国市場への依存度の高さが警戒されました。インバウンド企業以上に中国に巨額投資している企業の方がリスクは高い気もします。
サンリオ・ソニーなどIP関連にも影響拡大
サンリオやソニーグループなどのIP関連銘柄も下落しました。中国で人気の高い「ハローキティ」やアニメ「鬼滅の刃」について、「今後、中国市場で上映中止などの影響が生じる可能性がある」との懸念が売り要因となっています。
▼サンリオ株価推移(2025年11月5日〜17日)

サンリオ株価推移(2025年11月5日〜17日)
前日比 マイナス6.09%の下落。
まあ、サンリオの場合、今回の問題以前から株価が急落しておりますが…
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、「日中双方の主張がかみ合わず、関係悪化が長期化するとの懸念から、売りはインバウンドから中国関連銘柄全般に広がっている」と指摘しています。
ただし日本全体への影響は限定的との見方も
一方で、ソニーフィナンシャルグループの宮嶋貴之シニアエコノミストは、近年のインバウンド構造の変化に注目すべきだと指摘します。
・団体旅行 → 個人旅行へ
・モノ消費 → 体験(コト)消費へ
・国別比率も多様化
といったトレンドにより、「かつてのように中国人観光客がインバウンドの大半を占める状況とは異なる」とし、日本経済全体への影響は限定的になる可能性を示唆しています。
ただし、中国人比率が依然として高いサービス産業や特定地域では影響が大きくなる可能性があり、株式市場では引き続き銘柄ごとの選別が進む展開となりそうです。
投資家としての視点:短期は“リスク回避”、中期は業態別の需給再評価へ
今回の急落は、地政学リスクと政治要因による“イベントドリブン”の側面が強く、短期的には値動きの荒い展開が続く可能性があります。
ただし、中期的には以下の観点での評価が重要になります。
・中国依存度が高い企業と低い企業の業績耐性の差
・訪日客全体の回復トレンドが維持されるか
・代替市場(東南アジア・欧米)への需要シフト
・固定費の高い業態の回復力
今後は、インバウンド関連という一括りではなく、需要の多様化を踏まえた“個別企業ごとの再評価”が投資判断のカギとなりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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