ニューヨーカーやブルックスブラザーズなどのブランドを手掛ける老舗アパレルメーカーの株式会社ダイドーリミテッド(東証S 3205)が2月27日大引け後(18:00)に発表した一連の開示を受け、同社株は私設取引システム(PTS)で一時前日比21%超安と急落しました。配当方針の大幅な転換に加え、株主優待の一部削除、さらにはビットコインへの投資開始を同時に打ち出したことで、投資家の評価が大きく割れる展開となっています。
以下にて詳しく見ていきましょう!!
100円配当方針を転換、期末配当を50円へ半減
ダイドーリミテッドは2026年3月期の期末一括配当を、従来計画の1株100円から50円へと大幅に減額修正すると発表しました。前期実績も100円であったことから、事実上の半減となります。
同社はこれまで、連結経常利益の30%を基準とする業績連動型配当を基本方針としつつ、一定期間の増配方針を掲げていました。2024年7月には「株主価値の最大化」を掲げ、一定期間にわたる配当強化や自己株取得の実施を打ち出し、2025年3月期は1株100円配当を実施していました。
しかし、2024年7月以降に発生した予見しえない資金流出や、イタリア子会社の減損損失計上に伴う分配可能額の大幅な減少が影響。これらを踏まえ、2026年3月期の配当を50円へと見直す決断に至ったと説明しています。
市場では「3年間100円配当」との強いメッセージを受け止めていた投資家も多く、今回の方針転換は信頼性の観点からネガティブに受け止められた模様です。
株主優待も一部削除、還元姿勢に疑問符
今回の発表では、株主優待制度の一部削除も明らかになりました。原材料価格の上昇や物流コスト増などを背景に、従来の優待内容を維持することが難しくなったとしています。
配当減額と優待見直しが同時に打ち出されたことで、個人投資家を中心に失望感が広がりました。実際、PTSでは一時21.7%安と急落し、還元銘柄としての位置付けを評価していた投資家の売りが集中したとみられます。
新中期計画を策定、M&Aに86億円投下へ
一方で、同社は同日、新たな中期経営計画の策定も発表しました。最終年度である2028年3月期に売上高650億円、営業利益40億円、ROE20%、株価2,000円、時価総額550億円を目標に掲げています。
新中計では、国内外を含むグローバル市場をターゲットに事業・ブランドを展開する「プラットフォーマー」への進化を掲げ、3年間で86億円をM&Aに投下する計画です。キャッシュカウ事業で創出した資金を高成長事業へ再投資し、「花形事業」を生み出すサイクル構築を目指すとしています。
ブルックスブラザーズなど既存ブランドの成長に加え、中国小売事業からの撤退や不動産の整理など構造改革も進行中で、2025年度は13年ぶりの営業黒字化が目前と説明しています。
株主還元方針も見直され、今後はDOE(株主資本配当率)4%、配当性向30%以上を基準とし、中長期的な企業価値向上を重視する方針へと転換しました。短期的な高配当から、成長投資重視型へと軸足を移した格好です。
ビットコイン最大10億円購入、資産運用の多様化へ
さらに注目を集めたのが、ビットコインの保有・運用開始の発表です。最大10億円を3月2日から4月30日にかけて取得する予定で、余剰資金の一時的運用および資産ポートフォリオの分散を目的としています。
今後は市況や資本政策を踏まえ、追加取得や一部売却も検討するとしています。上場企業による暗号資産投資は増加傾向にあるものの、アパレル企業としては異例の動きと受け止められ、投資家の間では評価が分かれています。
減配と同時に暗号資産投資を発表したことについて、「財務健全性を優先するならば現金確保を優先すべきではないか」との声もあり、説明責任が今後問われる可能性があります。
市場の視線は「成長投資の成果」へ
今回の発表は、短期的には株主還元の後退という強いインパクトを与えました。しかし同社は、新中計による成長戦略を通じて企業価値を飛躍的に高める方針を明確にしています。
市場の評価は今後、営業黒字化の確度、M&A戦略の成果、そしてROE20%達成への道筋にかかっています。減配ショック後の株価水準が、新たな成長ストーリーを織り込む水準なのか、それともさらなる不信感が広がるのか。
ダイドーリミテッドは今、還元重視企業から成長投資企業への転換という大きな岐路に立っています。投資家にとっては、短期のインカム狙いから中長期の企業価値向上ストーリーへと視点を切り替えられるかどうかが、判断の分かれ目となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
DAIDOH LIMITED Shares Plunge Over 20% in PTS After Dividend Cut and Bitcoin Investment Announcement
Tokyo-listed apparel company DAIDOH LIMITED (TSE: 3205), known for brands such as New Yorker and Brooks Brothers, saw its shares tumble more than 20% in after-hours trading (PTS) on February 27 following a series of unexpected announcements.
The company revised its FY2026 (ending March 2026) year-end dividend to ¥50 per share, down sharply from its previously announced ¥100 plan and from ¥100 paid in the prior year. The move effectively marks a 50% dividend cut and a reversal from its earlier commitment to maintain elevated shareholder returns over a multi-year period.
DAIDOH cited unforeseen cash outflows since July 2024 and a significant reduction in distributable reserves due to impairment losses at its Italian subsidiary. The company stated it is shifting its focus from short-term shareholder returns to long-term growth under a newly revised mid-term management plan.
Under the new plan,DAIDOH targets revenue of ¥65 billion, operating profit of ¥4 billion, and ROE of 20% by FY2028. The company also plans to invest ¥8.6 billion in M&A over three years to restructure its business portfolio and accelerate growth.
In addition to the dividend cut, DAIDOH announced a partial reduction in shareholder benefits due to rising costs, further dampening investor sentiment.
Separately, the company revealed it will begin holding and managing Bitcoin, with planned purchases of up to ¥1 billion between March 2 and April 30. Management said the move is intended to diversify its asset portfolio and temporarily manage surplus funds. Future additional purchases or partial sales will be considered depending on market conditions.
The simultaneous announcement of reduced shareholder returns and a new cryptocurrency allocation raised concerns among investors regarding capital allocation priorities.
While management emphasizes a transition toward growth investment and long-term value creation, the sharp market reaction highlights skepticism over execution risk and strategic consistency. Investors will now closely monitor the company’s progress toward sustained profitability and its ability to deliver on ambitious ROE targets under the new plan.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.




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