2025年10月9日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に反発し、終値は前日比845円45銭高の4万8580円44銭と過去最高値を更新しました。円安基調や米ハイテク株高が追い風となる中、主役となったのはソフトバンクグループ(SBG)です。同社株の急騰が指数を大きく押し上げ、市場全体の上昇を演出しました。
▼日経平均株価(2025年10月6日〜9日)

日経平均株価(2025年10月6日〜9日)
私の保有株はそれほど上昇していないのですが(汗、ソフトバンクGのような一部の企業が引き上げているのでしょうね。以下に詳しく見ていきましょう。
ソフトバンクG、ロボット事業買収でAI分野を拡大
今回の株高をけん引した最大の要因は、ソフトバンクグループがスイスの重電大手ABBのロボティクス事業を買収すると発表したことです。買収金額は総額約53億7500万ドル(約8187億円)で、2026年中の完了を目指すとしています。AIを搭載したロボット、いわゆる「フィジカルAI」分野への本格参入として市場の期待を集め、同社株は一時13%超上昇、上場来高値の2万3335円を記録しました。フィジカルAIについては、10月3日の記事(富士通とエヌビディアが戦略提携を拡大—「フィジカルAI」実装を加速へ)でもお伝えしたように、今、実にホットなテーマですよね。「フィジカルAI」は、生成AIに続く大きな波として盛り上がっていきそうです。さらにABBは産業用ロボット大手で、安川電機、ファナック、KUKAと並ぶ世界4強の一角。ソフトバンクGは、この分野に積極投資し、覇権を取っていこうとしているのでしょう。さらに、孫正義会長は「人知を超えるASI(人工超知能)技術のプラットフォーマーを目指す」と明言しており、AI分野の重点投資分野として「ロボット」のほか、「半導体」「データセンター」「電力」、と4分野を掲げています。
結果的に 本日は、この1銘柄だけで日経平均を500円以上押し上げた計算となり、まさに“ソフトバンク相場”といえる展開でした。みずほ証券は7日に目標株価を2万8000円へと引き上げるなど、証券各社も評価を見直しています。
▼ソフトバンク株価推移(2025年10月6日〜9日)

ソフトバンク株価推移(2025年10月6日〜9日)
高市トレードとAIブーム、相場を交互にけん引
今週は自民党新総裁に高市早苗氏が就任し、「積極財政」や「金融緩和」への期待から“高市トレード”が注目されてきました。この日はAI関連が主役に交代。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは「高市トレードとAIブームという2つの株高ドライバーが交互に機能しており、物色先が豊富なため過熱感があっても株高が続きやすい」と分析しています。
市場の過熱感と偏りへの警戒も
一方で、市場には過熱感も見られます。日経平均は200日移動平均線から21%上方乖離しており、一般的に加熱ゾーンとされる20%を超えています。実際、TOPIX(東証株価指数)は0.68%高にとどまり、ソフトバンクGのような一部大型株に買いが集中する「偏った上昇」が指摘されています。
三木証券の北沢淳氏は「AI人気や高市トレードを背景に、指数を買う動きが強まり、構成比の高い銘柄に資金が偏った」と述べています。これは一見力強い相場に見えても、実態としては少数の銘柄が全体を押し上げる歪な構造といえます。
投資家として、指数に惑わされず冷静な判断を
現在の株高は、ソフトバンクGなど一部銘柄の急騰によって形成されています。そのため、「なぜ自分の保有株が上がらないのか」と焦る投資家も少なくありません。しかし、こうした相場は潮の流れが速く、投機的なマネーが一方向に偏りやすい危うさをはらんでいます。
市場全体の上昇に惑わされず、個々の企業の業績・財務体質・経営姿勢・株主還元方針を見極めた投資判断が重要です。焦って乗り換えたり、感情的に売買を繰り返したりすることは、結果的に損失につながるリスクがあります。冷静な視点を持ち、長期的な企業価値に基づく投資を心がけましょう。
今後の注目イベント
今週は、ファーストリテイリングやセブン&アイ・ホールディングスの決算発表、そして米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の講演が予定されています。短期的な過熱感の中でも新しい買い材料が出る可能性があり、日本株がどこまで高値を維持できるかが注目されます。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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