1月30日の東京株式市場でカシオ計算機(6952)の株価が急騰し、一時前日比約16%高となる1508円50銭まで上昇しました。終値も1508円(同16%高)と、約4年ぶりの高値圏で引けています。この日の東証プライム株価値上がり率ランキング第3位にランクイン。背景にあるのは、前日に発表された好調な決算内容と通期見通しの上方修正、さらに自社株買いの発表です。市場では「構造的な復活」を印象づける内容として受け止められ、短期資金だけでなく中長期投資家の買いも集まりました。
▼カシオ計算機 株価推移(2026年1月27日〜30日)

カシオ計算機 株価推移(2026年1月27日〜30日)
以下にて詳しく見ていきましょう!
決算サプライズ:純利益は2.1倍見通し、コンセンサスも上回る
今回の株価急騰の起点となったのは、2026年3月期の連結純利益見通しです。カシオは従来予想から20億円上方修正し、前期比2.1倍となる170億円を見込むと発表しました。市場予想平均(QUICKコンセンサス151億円)を上回り、ポジティブサプライズとなりました。
加えて、2026年3月期第3四半期累計(2025年4~12月)の連結決算も堅調で、売上高は2080億円(前年同期比6.2%増)、純利益は154億円(同3.6倍)と利益成長の強さが際立ちました。単なる一過性ではなく、利益体質の改善が進んでいる点が、投資家の評価を押し上げた格好です。
事業の中核は時計:G-SHOCKとCASIO WATCHが二枚看板に
業績のけん引役は、主力の時計事業です。年末商戦期に「G-SHOCK」や「CASIO WATCH」の販売が伸び、新製品投入も寄与しました。会社側も「この2つのブランドを軸とした戦略が非常にうまくいっている」と説明しており、ブランド戦略が収益成長に直結していることを強調しています。
特に注目されるのは、地域別の伸びです。「CASIO WATCH」はデザイン性・機能性の評価を追い風に、インドや東南アジアで需要が急拡大しています。SNS活用を含む若年層へのアプローチや販促強化によるブランド価値向上が、販売数量の伸びにつながりました。
時計市場は成熟産業と見られがちですが、カシオは「製品投入→販促→ブランド価値向上→需要拡大」という好循環を回しつつあり、再成長ストーリーが描ける局面に入ったと言えます。
株主還元強化:50億円の自社株買いが評価を押し上げ
今回の発表で投資家が特に強く反応したのが、自社株買いです。カシオは発行済株式総数の1.67%にあたる380万株、金額で50億円を上限とする自己株買いを実施すると表明しました。期間は1月30日から3月24日まで、市場で買い付ける計画です。
業績上方修正だけでも材料性は強いところですが、自社株買いは「会社自身が株価水準を割安と判断している」というメッセージとして受け止められやすく、株価の下支え要因になりやすい点が特徴です。今回も、需給面の改善と投資家心理の好転を同時に生む材料となりました。
市場の視点:PER20倍台、成長戦略が継続できるかが次の焦点
株価が急伸したことで、バリュエーション面の議論も再燃しています。報道によれば、カシオの予想PERは20倍台で、セイコーグループ(19倍台)と同水準、シチズン時計(15倍台)より高い水準に位置します。
つまり、カシオは「デジタル時計を軸に成長できる企業」として一定のプレミアムを織り込まれ始めています。今後の焦点は、このプレミアムが維持されるだけの“次の成長の見取り図”を提示できるかどうかです。
市場関係者からは「独自のマーケティング施策の効果が大きく出ている」との声もあり、単なる円安・一時需要ではなく、ブランド運営力の成果として評価されている点はポジティブです。一方で、株価の持続的な上昇には、時計事業の成長がどこまで続くか、また収益源の多角化がどの程度進むかが問われます。
新規領域への布石:腕時計企業から“ライフスタイル提案”へ
今回の材料は決算と株主還元ですが、投資家の中には「カシオの変化」をより長期視点で捉える向きもあります。従来の“腕時計・電卓の会社”というイメージから、ブランド価値を軸にした企業へと進化しようとしている点です。
報道や解説では、カシオがAIロボット「モフリン」のような新領域にも取り組んでいることが紹介されており、これは短期業績への寄与というより「企業の方向性」を示す材料として注目されます。時計で稼ぎ、ブランドで勝ち、次の市場を育てる――この戦略が実現すれば、評価軸が変わる可能性もあります。
投資家としての展望:株価急騰は“単発材料”ではなく再評価の入口か
カシオ株の急騰は、単なる決算プレイではなく、「ブランド戦略の成功→利益成長→株主還元」という王道の好材料が揃ったことで起きた再評価の動きとみられます。
今後の注目点は、
1)時計事業の成長持続性(特にインド・東南アジア)、
2)マーケティング施策の再現性、
3)株主還元の継続姿勢、
4)新規領域の育成が中期成長ストーリーになり得るか、
の4点でしょう。
株価が上がった後こそ、投資家は「次の四半期で何を示せるか」を見ます。カシオは今回、復活の“数字”を示しました。次は復活の“継続性”を示せるかが、株価トレンドを決める局面となりそうです。

東証プライム株価値上がり率ランキング(2026年1月30日)
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Casio Shares Surge on Upgraded Profit Outlook and Buyback
Casio Computer (6952.T) jumped about 16% after the company raised its FY2026 (ending March) net profit forecast to ¥17.0 billion, up 2.1x from the prior year and above market expectations. The upbeat revision reflects strong sales momentum in its core watch business, led by G-SHOCK and CASIO WATCH brands, with particularly solid demand in India and Southeast Asia.
Casio also announced a share buyback of up to 3.8 million shares (around 1.67% of outstanding shares) worth up to ¥5.0 billion, further supporting investor sentiment. Markets are now watching whether Casio can sustain growth in its digital watch segment and continue expanding profitability through branding and marketing initiatives.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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