受注高1兆9400億円へ上方修正、原子力関連が最大の成長ドライバー
株式会社IHIは2月10日、2025年4~12月期の連結決算を発表。2026年3月期の受注高が前期比11%増の1兆9400億円になる見通しだと発表しました。従来予想から900億円の大幅な上方修正となり、過去最高を更新する見込みです。
今回の修正の背景には、原子力を中心としたエネルギー関連分野での需要拡大があります。世界的な脱炭素政策の進展や、データセンター建設の急増に伴う電力需要の高まりを受け、原子力発電の再評価が進んでいます。IHIは原子力関連設備や燃料再処理といった分野で高い技術力を持ち、こうした中長期トレンドの恩恵を直接的に受けています。
受注高は、将来の売上がすでに確定している「予約残」を示す指標であり、短期的な業績以上に企業の将来価値を測る重要な材料です。今回の上方修正は、IHIが今後数年にわたって安定した事業基盤を確保したことを意味しており、投資家にとっては極めてポジティブなシグナルと言えるでしょう。
業績見通しは据え置きも、収益構造の改善が鮮明に
2026年3月期の業績見通しについては据え置かれ、売上収益は前期比1%増の1兆6400億円、純利益は11%増の1250億円を見込んでいます。一見すると成長率は緩やかですが、その中身を見ると収益力の底堅さが際立っています。
航空エンジン事業では、民間航空機の運航回復を背景に、スペア部品供給や整備といったアフターマーケット事業が着実に拡大しています。これは一度エンジンを納入すれば、その後数十年にわたり継続的な収益が見込めるビジネスモデルであり、IHIの利益安定化に大きく寄与しています。
2025年4〜12月期の連結決算では、売上収益が前年同期比2%減の1兆1293億円となった一方、純利益は11%増の850億円と過去最高水準を更新しました。売上減少は前年の大型案件の反動によるもので、構造的な減速ではありません。むしろ、売上が減っても利益を確保できる体質へと転換が進んでいる点が、市場から評価されています。
短期業績よりも「受注残」に注目、株価は上場来高値圏へ
決算発表後、IHI株には強い買いが入り、一時前日比10%高となる場面も見られました。2月10日の終値は、前日比+212 (4.94%)の4,500円。売上や営業利益が市場予想を下回る局面があったにもかかわらず株価が上昇した背景には、投資家の視点が足元の数字ではなく、将来の収益確度を示す受注高に向いていることがあります。
特に原子力関連の受注増は一過性ではなく、エネルギー安全保障や脱炭素という長期テーマに支えられています。経営陣も、原子力を中心とした受注の増勢は来年度以降も続くとの見方を示しており、市場では数年先までの成長シナリオを織り込む動きが広がっています。
事業の選択と集中が進展、筋肉質な企業体質へ
IHIは近年、事業ポートフォリオの見直しを加速させています。収益性の低い事業や変動の大きい分野からは撤退・縮小を進める一方で、原子力、航空・宇宙、防衛といった国家戦略分野に経営資源を集中させています。
運搬機械事業の譲渡や、社会基盤分野での選別受注の徹底はその象徴です。売上規模を追う経営から、利益率と将来性を重視する経営へと舵を切ったことで、会社全体の収益構造は大きく改善しつつあります。
中長期投資の視点で評価高まるIHI、次の焦点は収益化フェーズ
足元の決算数字だけを見れば強弱が混在していますが、受注高という先行指標は明確に拡大基調を示しています。今後の焦点は、積み上がった受注残がいつ、どの程度の利益率で売上・利益として顕在化していくかにあります。
市場では、IHIが「重工業の老舗」から「高付加価値インフラ・エネルギー企業」へと進化している点を評価する動きが強まっています。原子力や航空エンジンという長期成長分野を軸に、同社の中長期的な企業価値向上への期待は引き続き高まりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
IHI Raises Order Outlook as Energy and Aviation Demand Strengthens
IHI announced an upward revision to its order intake forecast for the fiscal year ending March 2026, raising the estimate to a record ¥1.94 trillion, up 11% year on year. The revision reflects strong demand in the energy sector, particularly nuclear power projects, driven by global decarbonization efforts and rising electricity demand from data centers.
While IHI kept its full-year earnings forecast unchanged, profitability continues to improve, supported by steady growth in aircraft engine aftermarket services. Despite slightly weaker sales in the April–December period, net profit rose 11% year on year, underscoring a more resilient earnings structure.
Investors welcomed the stronger order outlook, pushing IHI shares to near record highs, as markets focused on the company’s expanding backlog and long-term growth visibility rather than short-term earnings fluctuations.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.




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