市場が見据えたのは「成長の減速」と「次のエンジン」
スキマバイト(スポットワーク)サービス大手の株式会社タイミー(Timee,Inc.)は、2025年12月11日に2025年10月期の連結決算を発表しました。売上高、営業利益ともに過去最高を更新する好決算となりましたが、発表後の時間外取引では意外にも株価が下落する場面が見られ、翌12日の前場で一時的に上昇するも、その後株価は低迷。終値は前日比51円マイナス (-3.65%)の1,345円となりました。市場が評価したのは、足元の好調な実績ではなく、その先に示された「成長の姿」だったのではないでしょうか。
▼タイミー株価推移(2025年12月9日〜12日)

タイミー株価推移(2025年12月9日〜12日)
以下にて詳しく見ていきましょう!
売上・利益ともに最高更新、収益力の高さが鮮明に
2025年10月期の連結業績は、売上高が342億円となり、前期比27.6%増と高い成長を記録しました。営業利益は67億4700万円で、こちらも前期比58.9%増と大幅な伸びを示しています。売上高営業利益率は19.7%に達し、収益性の高さが際立つ内容でした。
また、登録ワーカー数は1274万人を超え、プラットフォームとしての規模も着実に拡大しています。業績、利用者数の双方が伸びる形となり、数字だけを見れば極めて評価の高い決算内容と言えます。
市場が反応した来期見通し、成長率鈍化への警戒感
一方で、株価が下落した背景には、同時に発表された2026年10月期の業績予想があります。会社は来期の売上高について、前期比15.6%〜20.3%増の396億〜412億円を見込むと発表しました。引き続き成長を維持する計画ではあるものの、27.6%増だった今期と比べると、成長率が一段落する見通しとなっています。
純利益は53億〜62億円と、前期比で微減から19%増までの幅を持たせた予想となりました。税負担の増加が利益を圧迫する見込みで、1株当たり利益(EPS)についても下限では前期実績をわずかに下回る可能性が示されています。成長企業にとって、成長率の鈍化や利益横ばいは、市場に慎重な見方を生みやすい要因となりました。
飲食・小売の逆風、従来モデルの転換期へ
会社側が慎重な見通しを示した背景には、主要顧客である飲食業界や小売業界の環境変化があります。コスト抑制姿勢が強まり、飲食業界はマイナス成長、小売業界も成長の鈍化が続くと想定されています。これまでの成長を支えてきた分野で逆風が吹き始めていることが、来期予想に影を落としました。
ただし、これは成長の終わりを意味するものではありません。タイミーは、こうした環境変化を見据え、新たな成長を生み出すための戦略転換を明確に打ち出しています。
介護・物流・人材紹介、新たな成長ドライバーへの挑戦
同社が掲げる戦略の柱の一つが、介護福祉業界への本格進出です。人手不足が深刻なこの分野で、営業人員の倍増や集中的なマーケティング投資を行い、資格を持ちながら現場を離れている「潜在有資格者」の掘り起こしを狙います。施設内の清掃や配膳など周辺業務から関係を構築し、段階的に現場への浸透を図る考えです。
物流業界では、単なる人材マッチングにとどまらず、倉庫オペレーション全体を受託する「スキマワークス」を推進します。現場運営に深く関与することで、顧客単価の向上と長期的な関係構築を目指します。
さらに、飲食業界向けにはスポットワークを入り口とした長期アルバイト採用支援を展開します。働きぶりを確認した上で採用につなげる仕組みは、企業の採用コスト削減に貢献し、すでに実績も出始めています。
加えて、正社員への道を開く人材紹介サービス「タイミーキャリアプラス」も成長の鍵を握ります。勤務実績や評価データを基に作成される「タイミー履歴書」により、現場での実績が正当に評価される仕組みを構築し、建設業界など新たな分野への展開も進んでいます。
無配継続、M&Aを含む成長投資を優先
配当については、2026年10月期も無配を継続します。八木智昭CFOは、既存事業の強化やM&Aを含む成長投資を優先する考えを示しています。短期的な株主還元よりも、中長期の企業価値向上を重視する姿勢がうかがえます。
市場は「次の成功モデル」を見極める局面に
今回の株価下落は、業績悪化を反映したものではなく、成長モデルの転換期に対する市場の慎重な姿勢を映したものと言えます。飲食・小売という従来の成長エンジンが減速する中で、介護、物流、人材紹介といった新たな分野がどれだけ早く収益の柱として立ち上がるのかが、今後の評価を左右します。
1200万人を超えるワーカーの勤務データという強力な資産を、どのように社会的価値と収益に結び付けていくのか。タイミーは今、大きな転換点に立っており、その戦略の成否が中長期の株価動向を左右する局面に入っています。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Timee Posts Record Results, Shares Fall on Slower Growth Outlook
TOKYO — Timee Inc., a leading Japanese spot-work (gig staffing) platform, reported record earnings for the fiscal year ended October 2025, but its shares fell in after-hours trading as investors focused on a slower growth outlook for the coming year.
Revenue rose 27.6% year on year to ¥34.2 billion, while operating profit surged 58.9% to ¥6.75 billion, both all-time highs. The operating margin reached nearly 20%, highlighting the company’s strong profitability. The number of registered workers exceeded 12.7 million, underscoring the platform’s expanding scale.
Despite the strong results, market sentiment turned cautious following the company’s fiscal 2026 guidance. Timee forecast revenue growth of 16–20% and net profit of ¥5.3–6.2 billion, ranging from a slight decline to a 19% increase year on year. The outlook reflects slower growth in its core restaurant and retail sectors, as clients continue to curb labor costs, as well as higher tax expenses.
To offset these headwinds, Timee is accelerating expansion into new growth areas. The company is making a full-scale push into the nursing care sector, targeting underutilized licensed workers, while deepening its logistics business through higher-value operational outsourcing services. It is also evolving its restaurant offerings toward long-term hiring support and expanding its data-driven recruitment service, “Timee Career Plus,” which leverages on-the-job performance data.
Timee will remain non-dividend-paying, prioritizing growth investments including potential M&A. Investors are now closely watching whether these new initiatives can emerge as the company’s next growth engines as its traditional markets mature.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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