単発・短時間アルバイトの仲介アプリを展開する株式会社タイミー(Timee,Inc.)の株価が急落しました。9月12日の取引では、前場開始とともに大きく下げ、一時は1,696円まで下落。終値は1,708円と大幅安で引けました。前日比 -454円と21%の大幅下落となり、この3連休に突入したのです。
▼タイミー株価推移(2025年9月12日)

タイミー株価推移(2025年9月12日)
タイミー株価急落の背景には、9月11日引け後に発表された2025年10月期の業績予想修正があります。従来343億9,400万~357億円としていた売上高見通しを341億3,900万~343億円に引き下げました。これは前年同期比で依然として27%超の成長ですが、市場が期待していたペースには届かず、「成長鈍化のシグナル」と受け止められました。
売上高予想下方修正の理由
タイミー側は以下の要因を挙げています。
・物流業界における一部プロジェクトの収益貢献が本格化するのは来期以降にずれ込む見通し。
・飲食・小売業界の低迷。コスト抑制の動きが続き、需要回復の兆しが立っていない。
特に飲食業界は前年同期比で流通総額がマイナスに転じるなど、これまで成長を牽引してきた分野が逆風にさらされています。小売業界においても、一部大手企業がコスト削減を強めており、成長率が減速しています。
利益予想は上方修正も、投資家は「守りの利益」と懸念視
一方で、同社は広告宣伝費を中心とした費用が計画を下回る見込みを背景に、営業利益・経常利益の予想を上方修正しました。営業利益は67億7,300万~71億3,400万円(前期比59.5%~68%増)、経常利益も66億9,700万~70億5,800万円(同6.1%~12.7%増)と、いずれも増額となっています。
しかし市場の反応は冷ややかでした。理由は利益の質にあります。利益の押し上げ要因が成長投資ではなく、広告宣伝費の削減によるコスト抑制だったためです。投資家の多くは「将来の売上拡大に直結しない守りの利益」と受け止め、評価につながりませんでした。
投資家が嫌気した2つの視点
市場が株価を大きく下落させた背景には、成長企業に対するシビアな2つの視点があります。
1.成長ストーリーへの懸念
高いPER(株価収益率)で評価されてきた成長企業にとって、売上高の拡大は生命線です。今回の売上高予想引き下げは、投資家に「成長のペースが鈍化している」と強く印象づけました。
2.利益の質に対する厳しい評価
コスト削減によって積み上げた利益は、将来の成長投資を犠牲にしているとも解釈できます。市場が最も重視するのは、売上成長の結果として自然に生まれる「攻めの利益」であり、今回の修正はその点で評価を欠きました。
中長期の成長シナリオ
ただし、タイミーが成長余地を失ったわけではありません。決算説明資料では複数の成長戦略が示されており、以下の取り組みが注目されています。
・物流業界向け「受け入れ負荷軽減プロジェクト」
経験豊富なワーカーをサポーターとして育成し、現場全体を管理するフィールドマネージャーを配置することで、クライアント企業の受け入れ負担を軽減。すでに導入拠点では募集人数が前年同期比で1.8倍に増加するなど手応えを得ています。
・介護業界への展開
流通総額が前年同期比147%増と急拡大。深刻な人手不足を背景に、将来的な収益の柱として期待されています。
・インバウンド需要を背景としたホテル業界での成長
流通額が前年同期比21.2%増と堅調に推移。
・データを活用した新規事業「タイミーキャリアプラス」
勤務実績や評価データを活用し、信頼性の高い「タイミー履歴書」を基に人材紹介を行う仕組み。企業は書類選考や面接を省略して内定を出せる可能性があり、人材採用の効率化につながると期待されています。
懸念材料とリスク要因
一方で、投資家が注視すべきリスクも浮き彫りになっています。
・特定業界依存のリスク:飲食・小売・物流など、特定業界に依存するビジネスモデルの脆弱性。
・競争環境の激化:大手人材会社やIT企業が続々と参入し、シェア競争や手数料引き下げ競争が強まる可能性。
・法規制リスク:2025年9月から労働契約成立ルールが厳格化され、クライアントの利用抑制につながる懸念。
まとめ
今回の株価急落は、短期的な売上成長鈍化に市場が厳しく反応した結果です。利益予想は上方修正されたものの、その質に疑問符がついたことで評価は限定的でした。
ただし、物流・介護・ホテルといった新領域やデータ活用型の新規事業など、中長期的な成長戦略は確実に進展しています。今後の注目点は、これらの取り組みがどの程度早期に収益化につながるか、そして競争・規制環境の逆風を乗り越えられるかにあります。
タイミーといえば、昨年の大型IPOとして話題になった企業。投資家にとっては、タイミーが「短期的な調整局面」にあるのか、それとも「成長ストーリーの転換点」に差し掛かっているのかを見極める局面を迎えたのかもしれません。
9月13日の記事でお伝えしたオラクルの場合、RPOが高かったことで将来性を期待され、株価が爆上げしました。今回のタイミーの場合、目先の利益予想は上方修正したものの、将来性を懸念され、株価が爆下げしました。この2社の対比は”投資家がどこを見ているか”を見極める上で、とても参考になる事例だと思います。
念の為ではございますが、投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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