2026年1月1日は、投資家にとって記憶に残る一日になるかもしれません。ソフトバンクグループ(SoftBank Group Corp)はこの日を効力日として、普通株式1株を4株に分割する株式分割を実施します。市場ではすでに大きな話題となっており、同社の次の一手をどう評価すべきか、投資家の視線が集まっています。ソフトバンクグループをはじめ、前記事にてお伝えした伊藤忠商事、三井化学、日本ヒューム、ブリヂストン、サッポロホールディングスなど、来年元旦早々に株式分割する大手企業が目立ちます。まあ、最近の株価高騰で、単元株の価格が高くなりすぎた企業が多いので株式分割する、という傾向もあるでしょうね。
以下にて詳しく見ていきましょう!
株式分割の概要――資産価値はそのまま、投資のハードルは低下
今回の株式分割は非常にシンプルです。2026年1月1日をもって、ソフトバンクグループの株式は1株が4株になります。例えば、仮に株価が1万7,000円で100株を保有していた場合、投資額は170万円です。分割後は保有株数が400株となり、理論上の株価は4,250円になります。資産価値そのものは変わりませんが、最低投資金額は約42万5,000円まで下がります。
この点こそが、株式分割の最大の狙いです。現状は単元株で約170万円もしているため、高額な株価が心理的な壁となり、これまで投資をためらっていた個人投資家も多いと思いますが、株式分割で単元株が40万円台となることにより参加しやすい水準になるからです。ソフトバンクグループ自身も「投資家層のさらなる拡大」を目的として明言しており、東京証券取引所が推奨する「最低投資金額50万円未満」という方針にも沿った動きといえます。
好業績のタイミングで実施される分割という意味
注目すべきは、株式分割が行われるタイミングです。2025年度上期決算では、純利益が過去最高となる2.9兆円を記録し、4年ぶりの黒字転換を果たしました。業績が大きく回復し、市場の評価が高まっている局面で「株を買いやすくする」施策を打ち出したことになります。
業績の裏付けがある状態で投資単価が下がれば、新規投資家の参入が増え、需給面から株価を押し上げる可能性もあります。いわば、最もおいしいタイミングでピザを細かく切り分け、「手に取りやすくした」ような状況です。
市場が本当に見ているのは、その先のAI戦略
もっとも、多くの投資家が注目しているのは、株式分割そのものではありません。その背景にある、孫正義会長兼社長が掲げる「AIへのオールイン戦略」です。
11月11日の記事(【ソフトバンクグループ 決算発表】AI投資が牽引し過去最高益!エヌビディア株売却で資金を確保!)でもお伝えしたように、ソフトバンクグループは、AI半導体の象徴的存在であるNVIDIAの株式を売却する一方で、OpenAIに巨額の投資を行いました。累計投資額は5兆円を超え、出資比率は11%に達する見込みとされています。この動きは、一見すると大胆、あるいは無謀にも映りますが、孫氏の狙いは「AIの波に乗ること」ではなく、「AIの未来そのものを定義する側」に回ることにあります。
ArmとOpenAI、そしてロボティクスが描くASI構想
この壮大な構想を支える重要なピースが、半導体設計大手のArmです。Arm v9やCSSといった最新技術は、AI時代に不可欠な高性能・省電力設計を可能にし、ロイヤリティ収入の拡大に貢献しています。さらに、孫氏が目指すのは人間の知能をはるかに超える「ASI(人工超知能)」の実現です。
OpenAIを「頭脳」、Armを「神経」とするならば、合意に至ったABBのロボティクス事業は「身体」に相当します。知能がデジタル空間にとどまらず、物理世界で自律的に活動する未来――製造、物流、介護といった分野でAIロボットが活躍する世界のOSを握ることが、ソフトバンクグループの究極的なビジョンです。
リスクは消えないが、財務体力は過去と違う
もちろん、光が強ければ影も濃くなります。過去にはWeWork問題など、大きな投資の失敗も経験しました。また、配当利回りが0.26%と極めて低いことからも分かるように、同社は配当重視ではなく、成長への賭けを投資家に求める企業です。AIバブルが崩壊するリスクも否定できません。
ただし、今回の局面が過去と大きく異なる点もあります。LTV(純負債/保有資産価値)は16.5%と健全な水準で、手元流動性も4.2兆円と潤沢です。大胆な投資を行うだけの財務的な体力は、十分に備わっています。
株式分割は「未来への参加券」が安くなるということ
結局のところ、今回の株式分割は技術的なイベントに過ぎません。しかし、このニュースは、好調な業績と壮大なAI・ASI戦略に再び強いスポットライトを当てました。
投資家が自問すべき本質的な問いは、「分割後に株価が上がるか」ではなく、「ソフトバンクグループが描くハイリスク・ハイリターンな未来像を信じられるかどうか」です。今回の株式分割は、その未来に、これまでより少ない資金で参加できる新たなエントリーポイントが用意された、と捉えることができるでしょう。
未来へのチケットは、少しだけ買いやすくなりました。その一歩を踏み出すかどうかは、投資家一人ひとりの判断に委ねられています。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
SoftBank Group to Execute 4-for-1 Stock Split on January 1, 2026
SoftBank Group announced it will carry out a 4-for-1 stock split effective January 1, 2026. While the move does not change the company’s overall market value, it will significantly lower the minimum investment amount, making the stock more accessible to a broader range of investors, particularly individuals.
The timing is notable. SoftBank Group has just posted record results, reporting a net profit of ¥2.9 trillion in the first half of fiscal 2025, its first return to profitability in four years. By splitting its shares at a time of strong performance, the company aims to expand its investor base and improve market liquidity.
Beyond the technical impact, investors are focused on SoftBank’s long-term strategy. Founder Masayoshi Son is pursuing an aggressive “all-in” approach to artificial intelligence, highlighted by large-scale investments in OpenAI and the continued growth of Arm, whose semiconductor technologies are central to AI development. Together with moves into robotics, SoftBank is positioning itself to play a key role in the future of advanced AI, including artificial superintelligence.
Risks remain. SoftBank’s strategy is high-risk and high-reward, with low dividends and heavy exposure to potential AI market volatility. However, the company’s balance sheet is currently strong, with low leverage and ample liquidity.
For global investors, the stock split should be seen not as a short-term trading signal, but as a new, lower-cost entry point into SoftBank Group’s long-term vision for the AI-driven future.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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