米IT大手のオラクル(Oracle Corporation)の株価が9月10日の取引で、1日で41%も上昇し、同社史上最大の上昇幅を記録しました。創業者ラリー・エリソン氏は資産を大幅に伸ばし、イーロン・マスク氏を抜いて世界一の富豪となるなど、そのインパクトは米国市場のみならず世界に広がっています。日本市場においても「オラクル効果」が波及し、日本オラクル株も急騰する展開となっています。
▼オラクル株価推移(2025年5月〜9月12日)

オラクル株価推移(2025年5月〜9月12日)
”なぜここまでオラクルの株が急騰したのか”というと、きっかけは決算です。
好決算の背景:クラウドとAI需要の爆発的拡大
今年6月から8月期の売上はYOY(前年比)でプラス12%の149億ドルとなり、市場予想を大きく上回りました。特にクラウドインフラ事業(OCI)で、いわゆるIaaSの方が前年費で55%も上昇。今回決算で特に注目すべきはRPOが前年から359%も増え、4,550億ドルに拡大したことです。RPOとは将来の収益見通しを示す残存履行義務で、簡単に言うと将来の売上につがる受注残高のようなもの。オラクルの顧客が将来支払うことが見込まれる料金のことです。AI事業が単なる一過性のブームではなく、実需に基づく大型契約が積み上がっていることが数字で示されたわけで、投資家の信頼も高まったと言って良いでしょう。
オラクルの事業内容
そもそもオラクルとはどのような会社なのか、あらためて整理してみましょう。日本でもメジャーなので、名前は聞いたことがある方は多いと思いますが、実際にはどんな事業をしているのかイメージがふわっとしている方も多いかもしれません。オラクルはアメリカを代表するソフトウェアメーカーであり、特に強みは世界中の金融機関や政府機関、大企業が利用しているデータベースにあります。AI時代においてデータは企業活動の心臓ともいえる存在で、そのデータを動かしているのがオラクルなのです。
同社の事業は大きく2つの柱に分けられます。
・1つ目はデータベースや業務アプリケーションをクラウド経由で提供するソフトウェア事業です。こちらは売上の約7割を占め、安定した収益の基盤となっています。
・2つ目が今回特に注目されているクラウドインフラ事業(OCI)です。これはAmazonのAWSやMicrosoftのAzureに次ぐ「第3の選択肢」として存在感を高めており、AI向けデータセンターの構築で急成長しています。例えば、ChatGPTの運用を支えるNVIDIA製GPU(H100やH200)を活用できる特殊な環境を提供しているのもオラクルです。言い換えれば、「AIの脳みそを大量に置ける環境」を整えているということです。
まとめると、オラクルはこれまでの安定収益源であるソフト事業に加え、AI時代の新しい需要を取り込むクラウドインフラ事業を伸ばし始めています。今回の株価急騰は、この2本目の柱であるクラウド事業の成長ストーリーに投資家が改めて注目した結果といえます。
オープンAIとの巨額契約と「スターゲート計画」
オラクルは、ChatGPTの提供で有名な米オープンAI社と約5年にわたり3,000億ドル(約44兆円)規模のクラウド供給契約を締結しました。両社はソフトバンクグループなどと共に米国のAIインフラ整備計画「スターゲート」に参加しており、今後も大規模データセンターの構築を進めていく見通しです。
生成AIモデルの学習や推論には膨大な計算能力が必要ですが、オラクルはNVIDIAの最新GPUを搭載した専用環境を提供することで、生成AIの進化を支える重要な役割を担っています。
投資家心理を刺激する成長ストーリー
サフラ・カッツCEOは「今後も数十億ドル規模の案件を複数まとめる見通し」と述べ、RPOがさらに拡大し5,000億ドルを超える可能性を示唆しました。市場では「安定収益源であるソフトウェア事業に加え、AI時代の需要を取り込むクラウド事業が新たな成長の柱となる」との期待が強まっています。
この成長シナリオを背景に、AI関連インフラ需要の恩恵を受ける銘柄としてオラクル株が強烈に買われ、投資家心理を大きく押し上げているのでしょう。
日本市場への波及効果
米国株の急騰を受け、日本オラクル株(4716)も大幅高となり3連騰を記録しました。日本法人にとっても良好な事業環境が続くとの見方が広がっており、米オラクル株の上昇が日本市場にも資金流入を呼び込んでいます。
また、AIインフラ需要の拡大は、国内ではデータセンター運営や半導体製造装置関連企業にも波及する可能性があります。例えば、NEC、富士通、ソフトバンクG、東京エレクトロンといった銘柄が関連銘柄として注目されやすい状況です。
投資判断について
オラクル株急騰から得られる投資上のポイントは以下の通りです。
・関連セクターの恩恵
日本ではデータセンター建設やクラウド運営に関わる企業、またAI向け半導体需要を取り込む装置メーカーが恩恵を受けやすいと見られます。
・中期的な成長余地
オラクルはAWS、Azureに次ぐ「第三の選択肢」として評価が高まっており、AIインフラ需要が続く限り成長ストーリーは継続すると考えられます。
・注意すべきリスク
ただし、AI需要は短期的に過熱するリスクもあり、契約案件の進捗や競合他社の動向次第で株価変動も大きくなり得ます。また、金利動向によるハイテク株全体の調整局面も警戒が必要です。
オラクル株の急騰は、AI時代の新たな成長ストーリーを裏付けるものであり、クラウド市場における同社の存在感が一段と高まったことを示しています。日本株市場においても「オラクル効果」によるAI関連銘柄への資金流入が続く可能性が高く、今後も動向を注視する局面と言って良いでしょう。
念の為ではございますが、投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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