三井E&S、GSが買い評価で大幅続伸!脱炭素エンジンと港湾クレーンで成長期待高まる

三井E&S、GSが買い評価で大幅続伸!脱炭素エンジンと港湾クレーンで成長期待高まる 株式劇場

株式会社三井E&S(東証プライム・7003)の株価が急伸しています。ゴールドマン・サックス証券が同社株の投資判断を新規に「買い」とし、目標株価を7,800円に設定したことが材料視され、足元では年初来高値圏での推移となっています。レポートでは、主力事業の業績拡大が株価に十分織り込まれていないと指摘しており、市場では「変貌した三井E&S」への見直し買いが広がっている状況です。11月28日 金曜日の終値は、前日比674円(+ 10.88%)の6,867円をつけました。

▼三井E&S 株価推移(2025年11月25日〜28日)

三井E&S 株価推移(2025年11月25日〜28日)

三井E&S 株価推移(2025年11月25日〜28日)

本日11月28日の伸びがすごかったですよね。

かつて三井造船の名で知られた同社は、巨大な商船を建造する典型的な重工業メーカーというイメージが強い企業でした。しかし、ここ数年で事業ポートフォリオを大きく見直し、2021年には防衛省向け艦艇事業、2022年にはタンカーや貨物船といった商船建造事業から事実上撤退しました。同時に、持分法適用会社であった三井海洋開発の株式を一部売却して資金を確保し、有利子負債を削減するとともにA種優先株式を召喚するなど、財務体質の立て直しも進めてきました。その結果、国内格付機関からは投資適格となる格付けを回復しており、「再生を見守られる段階から、持続的成長を期待される段階へ」と経営陣が語るように、企業としての性格は大きく変わりつつあります。

現在の三井E&Sを支えているのは、舶用推進システム事業物流システム事業の二本柱です。

二元燃料エンジン

舶用推進システム事業では、船舶向け大型エンジンで国内トップクラスのシェアを誇り、日本で建造される大型船の多くに同社製エンジンが採用されているとされています。この分野で同社が強い追い風を受けているのが、国際海事機関(IMO)による温室効果ガス削減目標の強化です。2050年までに海運業界からの排出を実質ゼロとする目標が掲げられたことで、燃料は重油からLNG、メタノール、アンモニア、水素など次世代燃料へと大きくシフトしつつあります。燃料が変わればエンジンも刷新が必要となるため、同社は「100年に一度」ともいえる大型の更新需要(アップサイクル)を取り込むポジションに立っているといえます。
三井E&Sは、LNGやメタノール対応の二元燃料エンジンをすでに実用化しているほか、将来の本命候補とされるアンモニアや水素を燃料とする大型2サイクルエンジンの燃焼試験にも成功しています。世界でも先行するこうした技術的優位性は、GSが「エンジンのアップサイクル長期化」を強気シナリオの中核に据える根拠となっており、環境規制強化という世界的なメガトレンドの中心に位置する企業として評価が高まっています。

港湾クレーン

一方、物流システム事業では、港湾でコンテナの積み下ろしやヤード内搬送に用いられるクレーンを手がけており、国内ヤードクレーン市場では圧倒的なシェアを持ちます。1960年代に日本で初めてコンテナクレーンを納入して以来、「Mitsui-Paceco」ブランドの岸壁用クレーンを国内外に多数納入してきました。足元では、安定した国内需要に加え、米国や東南アジアでの大型案件が業績を押し上げています。

特に注目されるのが、米国港湾におけるクレーン代替需要です。安全保障上の観点から中国製クレーンへの警戒感が強まるなか、米政府は「信頼できる国」からの調達を後押ししており、設備更新投資が本格化しつつあります。さらに、米国内で一定割合以上の部品を製造することを求める「ビルド・アメリカ・バイ・アメリカ法(BBA法)」への対応も進めており、同社にとっては中国勢の代替候補として大きなビジネスチャンスになりつつあります。また、人手不足が深刻な港湾現場では遠隔操作や自動化クレーンの需要が高まっており、同社はAIによる最適配置提案やドローン点検、さらには水素燃料電池を搭載したゼロエミッションクレーンの実証・商業運転など、DXと環境技術を組み合わせたソリューションの提供にも乗り出しています。

こうした事業環境の追い風を背景に、業績も好調です。三井E&Sは2025年11月12日、2026年3月期第2四半期(2025年4〜9月)の連結決算を発表しました。売上高は前年同期比14.1%増の1,655億円、営業利益は同114.9%増の198億円と、大幅な増収増益となりました。舶用推進システム事業では、脱炭素対応の二元燃料エンジンが伸び、売上高751億円(前年同期比11.5%増)、営業利益89億円(同111.2%増)と利益面での伸びが際立ちました。物流システム事業も米国・東南アジアの大型案件が寄与し、売上高310億円(同15.8%増)、営業利益67億円(同179.9%増)と大きく改善しています。

成長事業推進部門では、ドローン点検やAIを活用した新サービス「FALCONs」などデジタルソリューションの展開が進み、営業利益は前年同期比72.8%増の29億円と好調でした。周辺サービス事業も海外子会社を中心に売上を伸ばし、営業利益16億円(同240.7%増)と大幅な増益となっています。全体として、本業ベースでの収益力が着実に高まっていることが確認できる決算内容となりました。

同時に開示された通期の連結業績予想では、売上高3,400億円、営業利益3,000億円、経常利益3,100億円、純利益2,600億円へと見通しを上方修正しました。舶用推進・物流システムの両セグメントで好採算案件が順調に進み、アフターサービス事業も堅調に推移することで、収益性の改善が一段と進むとしています。為替前提は1ドル=145円へと見直されており、円安もまた業績押し上げ要因となっています。

GSはレポートの中で、2031年3月期にかけて営業利益が年率20%成長を遂げるとのシナリオを提示しています。次世代燃料エンジンの本格普及による高付加価値製品の拡販、港湾クレーンの自動化・DXを軸としたソリューションビジネスへの転換、さらにはSAF(持続可能な航空燃料)製造プラントや水素サプライチェーン向け圧縮機といった新事業の育成など、複数の成長エンジンが立ち上がりつつある点を評価している模様です。

株価はすでに年初から大幅に上昇していますが、GSは「業界の追い風を背景とした主力事業の好調な業績拡大が、なお株価に十分織り込まれていない」との見解を示しています。市場には依然として「造船会社」としての過去のイメージが残る一方で、実態としては脱炭素と港湾DXという二大テーマの中核を担うエンジニアリングサービス企業へと変貌している――このギャップこそが、同社株に対する投資妙味として意識され始めているようです。

国際情勢の緊張やサプライチェーン再編が続くなか、舶用エンジンと港湾クレーンという「物流インフラの心臓部」を握る三井E&Sは、単なる一企業を超えた戦略的資産としての側面も持ちつつあります。脱炭素とインフラ投資、経済安全保障という複数のテーマが交差する同社に対し、機関投資家・個人投資家の視線は一段と熱を帯びてきた印象です。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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