東京都の衝撃方針で株価急騰
2024年9月24日、東京都は新たな宅地開発において「電柱新設を原則禁止」とする方針を打ち出しました。電柱を立てずに電線を地中に埋める施策ですね。東京都の小池百合子知事は 2016年の都知事選で初当選した際の公約に無電柱化を掲げており、就任直後から積極的に取り組みを進めてきましたが、本腰を入れ始めておりますね。
このニュースを受けて、株式会社イトーヨーギョー(5287)の株価が急騰。9月26日には一時1,646円の高値をつけ、前日比20%超の上昇を記録しました。終値も1,525円と高水準で推移し、マーケットの注目を一身に集めました。
▼イトーヨーギョー 株価推移(2025年9月22日〜26日)

イトーヨーギョー 株価推移(2025年9月22日〜26日)
同社は電柱を地中に埋設するための「無電柱化」関連製品を手掛けており、条例制定による需要拡大が期待されています。市場では短期的なテーマ株として物色の対象となっています。
無電柱化の背景と市場規模
無電柱化推進の最大の理由は「防災」です。能登半島地震では750本の電柱が倒壊し、電力・通信網の寸断や避難の妨げなど甚大な被害を引き起こしました。災害リスク低減の観点から、電柱を地下に収容する動きが加速しています。国土強靭化施策でもある上、景観も良くなりますし、一石二鳥ですよね。
ただし、現時点での市場規模は限定的です。東京都の試算によると、宅地開発に伴う新規電柱抑制は年間850本程度。金額にして数十億円から140億円規模とされています。インフラ関連の中では小ぶりな案件にとどまる可能性が高く、中長期的な成長ドライバーになるかは未知数です。
イトーヨーギョーの強みと投資視点
イトーヨーギョーは無電柱化分野に積極的に取り組んでおり、コスト縮減型の新技術を提案するなど独自性を持っています。無電柱化の推進には、省スペース・低コストな手法の導入が必要とされておりますが、イトーヨーギョーではこのような低コスト・省スペースを実現する「小型ボックス活用法式」の無電柱化関連製品を供給している点が需要と供給的にマッチします。同社は、歩道のないような狭い道路に適応した「S.D.BOX」および「D.D.BOX Neo」、歩道のある道路に最適な「D.D.BOX Pleon」の3つのタイプを手掛けており、都市部などでは小型ボックスタイプが役立つことが想定されます。イトーヨーギョー社自身も8月8日発表の最新の決算短信にて、「当社無電柱化製品におきましては、国土交通省が新たに「無電柱化」の加速に向け、新たな目標を策定し、市街地の緊急輸送道路で2030年度までに工事の完了を目指す区間を、2026年度から5年間の次期推進計画に盛り込む予定となっており、「S.D.BOX」等の採用増加に期待が出来る状況となっております。」と発表しており、高い期待を持っているようです。
加えて、同社は時価総額が比較的小さいため、無電柱化関連需要が拡大すれば業績へのインパクトは大きくなりやすい点が投資妙味といえるでしょう。
一方で、今回の上昇は「期待先行」の色合いが強いとの見方もあります。証券アナリストからは「国土強靱化の一環として息の長いテーマではあるが、業績寄与は時間がかかる」との指摘もあり、短期的な値動きには注意が必要です。投資の世界での相場格言で「噂で買って事実で売る(Buy the rumor, sell the fact)」というものがありますが、現時点では、噂で買われている状態かもしれません。
無電柱化関連銘柄と投資戦略
無電柱化関連銘柄としては、イトーヨーギョーのほかにも以下の企業も注目されています。
・日本コンクリート工業(5269):電柱メーカー最大手なので、無電柱化は一見逆風にも見えますが、実は、地中埋設物のパイルなどのインフラ製品も供給している会社。無電柱化製品では「C.C.BOX」と呼ばれるコンクリート製の電線共同溝を手掛けており、地中埋設用の情報BOXやボックスカルバートなども手掛けています。
・旭コンクリート工業(5268)、ヤマックス(5285):時価総額が小さめでテーマ株として物色されやすい。
・日本ヒューム(5262)、ベルテクス(5290):共同溝や下水道関連の大手。中長期では国土強靱化関連で再注目の可能性。
▼日本ヒュームについては、9月2日の記事も参照を。
日本ヒューム、老朽化対策需要を背景に株価急騰!下水道関連株が一斉高
・タイガースポリマー(4231):地中埋設用の電線ケーブルの防護管も供給しており、無電柱化が進んでいくと需要が高まる可能性があるかもしれません。
・JX金属(5016):電線ケーブルに銅材料の供給をしており、傘下のタツタ電線が電線・ケーブルを供給しておりますね。
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投資戦略としては、短期では小型株中心にテーマ性を狙う一方、中長期では上下水道や耐震、防災といった大型インフラ分野と組み合わせて検討するのが現実的と考えられます。
東京都の電柱新設禁止方針は、イトーヨーギョーにとって追い風となり、株価は大きく動きました。もっとも、実需規模は限定的であり、短期的なテーマ性の域を出ない可能性もあります。
投資家にとっては、
・短期:テーマ株として値動きを狙う局面
・中長期:防災・国土強靱化という大きなストーリーの一環として位置付ける局面
この二面性を踏まえ、柔軟な投資判断が求められるでしょう。
念の為ではございますが、投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Ito Yogyo: Stock Surges on Tokyo’s Underground Power Line Policy
・Key Developments
On September 24, the Tokyo Metropolitan Government announced a groundbreaking policy: in new residential developments, the construction of overhead utility poles will be principally prohibited. This decision drove Ito Yogyo (5287), a company specializing in underground utility infrastructure, up more than 20% within two days, hitting a high of ¥1,646 on September 26 before closing at ¥1,525.
・Why It Matters
The initiative aims to accelerate “undergrounding” of power and telecom lines, primarily for disaster prevention. During the Noto Peninsula earthquake in January 2024, about 750 utility poles collapsed, causing severe disruptions. By moving infrastructure underground, Tokyo hopes to reduce risks and strengthen resilience.
・Market Impact
– The potential demand boost is real, but the market size is still limited. Official estimates suggest only ~850 poles per year could be affected, translating into annual demand worth tens of billions of yen (approximately $300M–$1B).
– The immediate impact may be modest compared to larger infrastructure themes such as water, sewage, and seismic reinforcement.
・Company Position
– Ito Yogyo (5287): Actively engaged in undergrounding projects and cost-reduction technologies. With a relatively small market capitalization, even limited demand could meaningfully impact earnings.
– Peers: Nippon Concrete Industries (5269) is Japan’s largest pole manufacturer, while smaller firms like Asahi Concrete (5268) and Yamax (5285) could also benefit. Larger players such as Nippon Hume (5262) and Vertex (5290) are more aligned with broader national infrastructure themes.
・Investment Takeaway
– Short-term: Ito Yogyo is trading as a “theme stock,” driven by headlines and expectations.
– Long-term: Actual revenue contribution will take time, and broader infrastructure policies (resilient infrastructure, disaster prevention, water/sewage) may provide more sustainable growth opportunities.
In short, Tokyo’s policy provides a near-term catalyst for Ito Yogyo, but investors should weigh the limited scale of immediate demand against the longer-term potential of Japan’s broader infrastructure modernization.
※Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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