― 事業整理と高機能材料集中で「稼ぐ力」の回復を目指す ―
三菱ケミカルグループ(4188)の株価が高値水準で推移しています。1月16日の終値は1,016円と前日比16円高(1.57%)となり、直近では上昇基調が続いています。化学市況の低迷が続く中でも、同社株は構造改革の進展と中期的な収益改善期待を背景に、投資家から再評価されつつあります。
▼三菱ケミカルグループ株価推移(2026年1月5日〜16日)

三菱ケミカルグループ株価推移(2026年1月5日〜16日)
市況低迷下でも株価が底堅い理由
主力製品であるアクリル樹脂原料「MMA」の市況は依然として冴えないものの、足元の株価を支えているのは、事業環境ではなく経営施策の変化です。2024年4月に就任した筑本学社長の下、三菱ケミカルグループは「選択と集中」を軸にした抜本的な構造改革を本格化させてきました。
従来は、石油化学から高機能材料、医薬、産業ガスまで幅広い事業を抱える巨大コングロマリットとして、市場からは「収益構造が分かりにくい」「利益率が低い」といった評価を受けがちでした。新経営体制はこうした課題に正面から向き合い、事業ポートフォリオの大幅な見直しに踏み切っています。
4,000億円規模の事業整理が急ピッチで進展
三菱ケミカルグループは、ケミカルズ事業を中心に売上高ベースで約4,000億円規模の事業撤退・売却を掲げています。すでにペットボトル事業からの撤退や、電解液事業の米英拠点売却などを決定し、2025年12月までに約3,800億円分を実行済みです。計画の9割以上を短期間で進めた点は、市場からも高く評価されています。
さらに、祖業の一つである製鉄用コークス事業についても売却や生産能力削減を進めるなど、これまで聖域とされがちだった分野にもメスを入れています。低収益事業を切り離し、経営資源を将来性の高い分野へ再配分する姿勢が鮮明になっています。
コスト構造改革で27年3月期から効果顕在化へ
同社は構造改革の一環として、生産拠点の最適化や人員削減にも踏み込みました。2025年には希望退職を実施し、26年3月期には約320億円の一時的な損失を計上する見通しです。一方で、27年3月期には約160億円の労務費削減効果が見込まれており、中期的には収益体質の改善につながるとみられています。
加えて、価格施策の強化にも注力しています。MMAでは市況の影響を受けやすい状況が続いているものの、フィルムや半導体関連材料では値上げを進め、収益確保を図っています。これらの施策を通じ、2030年3月期までに約1,400億円の増益効果を目指しており、26年3月期時点でも当初想定を上回る進捗が見込まれています。
高機能材料を収益の柱へ、成長投資も継続
構造改革と並行して、三菱ケミカルグループは高機能材料事業を次の成長エンジンに据えています。炭素繊維を用いた部品、半導体材料、高機能フィルムなどを重点分野と位置付け、積極的な投資を継続しています。
特に炭素繊維・複合材分野では、汎用品中心の事業構造から、付加価値の高いパーツ事業へと転換を進めています。これまで赤字が続いてきた炭素繊維事業も、生産能力削減による固定費圧縮と、川下工程へのシフトによって、27年3月期以降は増益寄与が期待されています。米国で拡大する自動運転タクシー向け需要など、新たな用途の広がりも追い風となりそうです。
低PBRが示す「再評価余地」
株価指標を見ると、同社のPBRは足元で約0.75倍と、東証プライム平均を大きく下回っています。総合化学メーカーであることによる市況影響の大きさや、コングロマリット・ディスカウントが意識されているためです。
しかし、SMBC日興証券は「構造改革が奏功し始め、経営陣への市場評価が高まりつつある」と指摘しています。27年3月期には営業利益が大幅に改善するとの市場予想もあり、稼ぐ力の回復が明確になれば、株式市場での評価見直しにつながる可能性があります。
改革は道半ば、次の焦点は石化とMMA
もっとも、石油化学やMMA事業の改革はなお途上にあります。市況の影響を受けやすいこれらの事業を、いかに安定して稼げる体質へ転換できるかが今後の課題です。三菱ケミカルグループは2026年3月末までに、石化関連事業について改めて方針を示す計画であり、その内容が次の株価材料となる可能性もあります。
低収益事業の整理と高機能材料への集中という明確な戦略の下、三菱ケミカルグループは長年の課題だった収益構造の転換に挑んでいます。改革の成果が数字として表れ始めるかどうかが、今後の株価動向を左右する重要なポイントとなりそうです。
私自身、昨年、同社の株を800円台前半で保有したのですが、一旦 860円くらいの時に売却してしまいました(汗。その後も株価が上昇モードなので、また買い戻そうと思っております。配当も高いですし、私のメイン保有銘柄の三菱グループでもあるので、長期保有銘柄でもあるので。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Mitsubishi Chemical Group Gains as Restructuring Boosts Profit Outlook
Shares of Mitsubishi Chemical Group are trading near recent highs as investors increasingly focus on progress in the company’s large-scale restructuring. Despite weak chemical market conditions, the stock has been supported by steady execution of asset sales, business exits, and cost-cutting measures.
The company has already completed most of its planned ¥400 billion in divestments, streamlining its portfolio and reallocating resources toward higher-margin businesses. Management expects restructuring benefits, including workforce reductions and price measures, to become more visible from fiscal 2027.
Mitsubishi Chemical is also strengthening investment in high-performance materials, such as carbon fiber components and semiconductor-related materials, positioning them as future growth drivers. With profitability improving and valuation still low, investors see potential for further re-rating as earnings recovery gains traction.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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