サンディスク好決算が「NAND連想買い」を誘発
キオクシアホールディングス(285A)の株価が大きく上昇しています。1月30日の終値は、前日比: +2,115(+10.99%)の21,360 円。この日の東証プライム株価値上がり率ランキング6位にランクイン。背景にあるのは、NAND型フラッシュメモリーで協業する米サンディスクが発表した2025年10〜12月期(2026年度第2四半期)決算のインパクトです。サンディスクは売上高が前年同期比61%増の30.25億ドル、純利益は7.7倍と急拡大し、市場予想を上回る内容となりました。特に注目すべきはデータセンター向け売上が前四半期比64%増と大きく伸びた点で、AIインフラ投資の拡大が“ストレージ需要”を一段と押し上げている構図が鮮明になっています。決算発表後、サンディスク株は時間外取引で15〜16%上昇し、同業連想としてキオクシアにも資金が流入しました。
以下にて詳しく見ていきましょう!
AI時代の主役は「GPU」から「ストレージ」へ?
市場ではこれまでAIブームの中心としてGPU(NVIDIAなど)が注目されてきましたが、足元ではデータセンター運用のボトルネックが“保存・転送”に移りつつあります。AIモデルの巨大化により、学習・推論に必要なデータ量が爆発的に増え、従来のHDD中心の構成では処理が追いつかない局面が増えています。
この状況下で需要が急拡大しているのが、エンタープライズSSDです。サンディスクのデータセンター向け売上の急伸は、AI投資の次の焦点がストレージに移り始めたことを示唆しており、NAND市況の先行きに対する投資家の見方を強気に傾けました。
キオクシアはまさにこの潮流の中心に位置します。NANDフラッシュの供給力と技術開発を握る同社にとって、サンディスクの“爆速成長”は発注増加=稼働率上昇に直結するため、株価が敏感に反応した形です。
合弁契約を2034年まで延長、最大の注目は「11.65億ドル受領」
さらに投資家の注目を集めたのが、キオクシアが発表したサンディスクとの合弁契約延長です。四日市工場(三重県四日市市)における合弁契約を2034年末まで5年間延長し、北上工場(岩手県北上市)と契約期限を揃える形となりました。
最大の変更点は、キオクシアがサンディスクから11億6500万ドル(約1782億円)を受け取ることです。従来、サンディスクは投資負担(設備投資の約4割)を担う形で協業してきましたが、「製造能力に対する対価」を支払う取り決めはありませんでした。
この条件変更は、キオクシアが製造・開発という“心臓部”を握る立場を背景に、交渉力を発揮した結果とみられます。メモリー産業は好況期に大きく稼ぐため、不況期でも最先端品へ巨額投資を続けなければならず、供給能力を確保できる企業が強い立場に立ちやすい構造です。今回の受領金は、まさにその構造を象徴するニュースと言えるでしょう。
「世界2位連合」継続、統合は当面見送りか
台湾トレンドフォースによると、キオクシアとサンディスクのシェアは2025年7〜9月時点で合計27.7%とされ、韓国サムスン電子に次ぐ「世界2位連合」を形成しています。市況変動が大きいメモリー分野において、規模と技術開発力を共同で確保する戦略は、引き続き合理的です。
一方で、両社は過去に経営統合も検討していました。キオクシアに44%出資するベインキャピタルが統合交渉を後押ししてきたものの、SKハイニックスの反対などで2023年10月に破談となった経緯があります。
今回、キオクシアは4月1日付で太田裕雄副社長が社長に就任する人事も発表しており、新体制で利害関係者との関係を再構築しつつ、統合を含む資本戦略をどう描くかが中長期の焦点となります。ただし太田氏は「株価が非常に上がっており、すぐ何か(統合の)アクションを取る必要性はない」としており、当面は協業深化が軸となりそうです。
投資家として注目すべきポイント:市況×交渉力×AI需要
今回の一連の動きは、キオクシアにとって単なる“同業の好決算による連想買い”にとどまらない意味を持ちます。
第一に、AI投資がストレージ需要を押し上げる局面では、NANDの需給が引き締まりやすく、価格決定力が高まります。第二に、合弁契約の見直しで示されたように、キオクシアは製造能力という希少資源を握る立場から、収益配分の改善余地を持ちます。第三に、協業体制を2034年まで延長したことで、設備投資・技術開発の長期計画が立てやすくなり、スーパーサイクル局面での収益最大化を狙える環境が整いました。
メモリー業界は景気敏感である一方、AIの普及は構造的な需要拡大を伴う可能性が高く、投資家にとっては「一過性か、スーパーサイクルか」を見極める局面に入っています。サンディスク決算が示したデータセンター需要の急拡大は、その判断材料として極めて重要です。
キオクシアは“AIストレージ時代”の中核プレーヤーへ
GPUが注目を集めるAI相場の裏側で、ストレージは静かに主役の座を狙っています。サンディスクの好決算は、その潮流が現実の数字として表れ始めたことを示し、キオクシアの存在価値を改めて浮き彫りにしました。
合弁契約延長と1782億円規模の受領金は、同社が単なる製造パートナーではなく、サプライチェーンの根幹を握る“交渉力ある中核企業”であることを市場に印象付けた形です。今後はNAND市況の回復局面で、同社がどこまで収益力を高められるかが株価の次の焦点となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Kioxia Shares Rally on Sandisk Blowout Results, JV Extension Adds Upside
Kioxia Holdings surged after U.S. NAND flash peer Sandisk posted a strong Oct–Dec quarter, with revenue up 61% year-on-year and net profit jumping 7.7x, beating market expectations. Sandisk also reported a sharp acceleration in data-center sales,
highlighting booming demand for enterprise SSDs driven by AI infrastructure investment.
Adding to investor optimism, Kioxia announced it has extended its joint venture agreement with Sandisk for the Yokkaichi plant through end-2034. A key change is that Kioxia will receive $1.165 billion (about ¥178.2 billion) from Sandisk—seen as evidence of Kioxia’s stronger bargaining power as it controls core production capacity.
The developments reinforce the view that NAND flash demand may be entering an AI-led upcycle, with Kioxia positioned as a key beneficiary through higher utilization and improved profit-sharing terms.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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