内閣府が小笠原諸島・南鳥島沖で進めるレアアース(希土類)を含むとされる海底泥の試験掘削を巡り、重大な進展が伝わりました。松本洋平文部科学相は2月1日、自身のX(旧ツイッター)で「水深6000メートルから揚泥することに成功したと一報があった」と投稿し、深海からの回収が実現した可能性が浮上しました。
同プロジェクトは内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環で進められており、JAMSTEC(海洋研究開発機構)の探査船「ちきゅう」を用いて、実際に深海底の泥を回収できるかを検証してきました。水深約6000メートルという極限環境での作業は世界的にも例がなく、今回の成功報道は日本の資源政策における転換点として注目を集めています。
世界初級の難易度――「水深6000m」の壁を越えた意味
今回のポイントは、単なる資源発見のニュースではありません。技術的に「回収できるかどうか」が最大のハードルだった点にあります。
一般的な海洋掘削は、石油・ガス開発であっても水深3000メートル級が一つの限界ラインとされます。ところが南鳥島沖はその倍に相当する水深6000メートルであり、連続的に堆積物を揚泥する試みは世界でも前例がないとされてきました。
掘削技術は石油開発の技術を応用しているとされますが、深度が深くなるほど水圧・機材耐久・揚泥の安定性など難易度は指数関数的に上がります。今回の揚泥成功が事実であれば、日本は深海資源開発において「実証フェーズ」を一段階進めたことになり、技術立国としての存在感を示す材料となります。
レアアースは“国家の戦略物資”――経済安全保障の要に
レアアースは電気自動車(EV)のモーター、風力発電、スマートフォン、さらには防衛装備品など、現代の基幹産業を支える不可欠な素材です。
一方で供給網は偏在しており、世界の生産や精錬能力は中国が高い影響力を持つとされます。輸出規制強化などが起これば、製造業のコスト上昇や供給不安が一気に顕在化するため、レアアース確保は経済安全保障そのものと言えます。
その意味で、南鳥島沖の資源開発が「技術的に可能」と証明されることは、日本の供給リスク低減につながるとの期待を生み、政策面でも追い風になりやすい構図です。市場では、国家プロジェクトが本格化する局面に入れば関連企業への発注や共同開発が加速するとの見方が強まっています。
関連銘柄に視線――東洋エンジニアリング、岡本ガラスに思惑
今回のニュースを受け、株式市場では関連銘柄への資金流入が意識されます。特に話題となっているのが、深海開発システム設計やサブシー領域に関与するとされる東洋エンジニアリング、そして深海環境モニタリング領域での技術関与が取り沙汰される岡本硝子です。
深海資源開発は「採掘できるか」だけでなく、「環境影響を評価し、国際的な規制をクリアできるか」が成否を分けます。したがって、掘削・揚泥技術だけでなく、環境モニタリング、センサー、耐圧機材といった周辺技術も含めて、裾野の広いテーマ株になりやすい点が特徴です。
また国家主導プロジェクトであることから、材料としての継続性が高く、今後も実証試験・評価結果・予算措置などの節目でニュースが出やすいとの見方もあります。
投資家の注目点――「公式発表」「次の実証」「商業化タイムライン」
投資家が注目すべきポイントは3つあります。
第一に、JAMSTECや内閣府などによる正式な発表内容です。SNS発信が先行しているだけに、回収量、連続性、泥の品位(濃度)、今後の工程が明らかになれば、テーマの確度が上がります。
第二に、日量ベースの揚泥能力や長期運用の安定性です。単発成功と商業化は別物であり、量産(大量採掘)に耐える仕組みが整うかが焦点となります。
第三に、商業化に向けたロードマップです。採算ラインに乗るには設備投資や精錬工程の整備も必要であり、数年単位のプロジェクトとなる可能性が高い点は留意が必要です。
「資源小国」からの転換期待、相場の新テーマに
南鳥島沖でのレアアース泥の揚泥成功は、技術的な難所を突破した可能性があるという点で、資源開発と経済安全保障の両面から注目されます。
今後、公式情報が積み上がるにつれて「日本が資源供給国になり得る」という新しいナラティブが市場に浸透すれば、関連銘柄だけでなく、日本株全体の評価にも波及する可能性があります。
短期的には思惑先行で値動きが荒くなる局面も想定されますが、中長期では国策テーマとして継続的な材料が期待され、投資家の関心は当面続きそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
ぜひ、ブックマークしてご購読くださいませ。
▼記事更新通知は 私のXにて♪
https://x.com/shun699
【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Japan’s Deep-Sea Rare Earth Breakthrough Draws Investor Attention
Japan may have taken a major step toward securing strategic mineral supplies. On February 1, Japan’s education and science minister Yohei Matsumoto posted on X that a trial project offshore Minamitorishima (Japan’s remote Pacific island) had reportedly succeeded in lifting seabed mud from a depth of around 6,000 meters. The mud is believed to contain rare earth elements, which are critical for EV motors, wind turbines, smartphones, and defense technologies.
The operation is part of Japan’s Strategic Innovation Program (SIP) led by the Cabinet Office, using JAMSTEC’s deep-sea drilling vessel Chikyu. If confirmed, the achievement would represent a world-first level of deep-sea recovery capability, as continuous extraction at 6,000 meters is considered extremely challenging compared with conventional offshore resource development.
The news is also fueling market speculation around related Japanese stocks, including engineering and monitoring technology players tied to deep-sea operations. Investors are watching for official announcements and future commercialization milestones, as Japan seeks to reduce reliance on concentrated global rare earth supply chains.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





コメント