日本株市場で、ひときわ強い注目を集めている企業があります。特殊ガラスメーカーの岡本硝子株式会社(おかもとがらす)です。同社株は、南鳥島沖で進められる世界初のレアアース連続採掘試験に関連するニュースをきっかけに、PTS市場で約10%急騰しました。単なる短期材料にとどまらず、日本の資源戦略そのものに関わるテーマとして、市場の視線が集まっています。私も8月31日の記事(岡本硝子――全固体電池の“隠れ本命”素材メーカー)などでもお伝えしてきたように、以前からの注目している企業。以下にて詳しく見ていきましょう!
深海が変える日本の資源戦略
日本は長年「資源のない国」とされ、特にレアアースについては中国依存が経済安全保障上の課題とされてきました。しかし、東京から約1,900km離れた南鳥島周辺の排他的経済水域の海底約6,000mには、世界需要の数百年分に相当するレアアースが存在するとされています。
この海底資源の実用化に向け、日本政府は2026年1月から世界初となるレアアース連続採掘の実証試験を開始しました。海底泥を安定的に船上へ引き上げることができるかどうか、日本の未来を左右する挑戦が本格化しています。
「江戸っ子1号」が担う戦略的ポジション
今回、岡本硝子が市場で脚光を浴びた最大の理由は、同社の深海探査機「江戸っ子1号」が、この実証試験における環境モニタリングシステムとして採用された点です。
深海資源を商業的に採掘するには、環境への影響が極めて小さいことを国際機関や規制当局に示す必要があります。そのためには、信頼性の高い環境データの継続的な取得が不可欠です。「江戸っ子1号」が提供するモニタリング技術が国際的な標準として認知されれば、今後世界で進む深海採掘プロジェクトにおいて、岡本硝子の存在感は一段と高まる可能性があります。

江戸っ子1号 イメージ
世界初の連続採掘試験と技術的意義
今回の試験では、エアリフト方式と呼ばれる採泥技術が採用されています。圧縮空気を使って海底泥を海水ごと引き上げる手法で、高圧環境でも安定性が高いとされ、1日あたり約350トンの回収を目標としています。
この技術が実証されれば、深海資源開発は研究段階から実用段階へと進むことになり、日本の資源政策にとって歴史的な転換点となります。
足元の業績と先行投資の位置づけ
岡本硝子の2026年3月期第2四半期決算は、売上高約19億円、経常損失約3億円と、表面的には厳しい内容です。ただし、これは既存事業の整理と新規分野への先行投資が重なった結果と見られます。
同社は財務体質の改善にも取り組んでおり、自己資本比率の向上など、将来成長に備えた基盤づくりを進めています。
放熱基板事業というもう一つの成長軸
深海関連だけでなく、岡本硝子は半導体向けのチッカアルミニウム基盤、いわゆる放熱基板の量産も開始しています。AIサーバーや電気自動車の普及により、高い熱伝導性を持つ材料への需要は拡大しており、この分野は中期的な収益源として期待されています。
株価水準に込められた市場の期待
2026年1月9日時点で、同社株価は約421円、PERは500倍を超える水準にあります。一見すると割高感は否めませんが、これは足元の利益ではなく、南鳥島レアアース開発や新素材事業がもたらす将来価値を市場が先取りして評価している結果といえます。
今後想定される三つのシナリオ
今後の展開としては、実証試験が成功し評価が一段と高まる強気シナリオ、事業が着実に進展し中期的に株価が見直される中立シナリオ、あるいは採掘の遅延や既存事業の不振が重なるリスクシナリオが考えられます。
投資家としての展望
岡本硝子は、深海レアアースという国家戦略級テーマに加え、次世代半導体材料という成長分野も抱えています。一方で、小型株ならではの値動きの大きさや、技術・環境面の不確実性も無視できません。
短期的な値動きに一喜一憂するよりも、深海資源開発の進捗と新事業の立ち上がりを見極めながら、中長期視点で冷静に向き合うことが、投資家に求められる姿勢と言えそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Okamoto Glass Emerges as a Key Player in Japan’s Deep-Sea Rare Earth Strategy
Okamoto Glass is attracting strong investor attention after its shares surged on news related to Japan’s deep-sea rare earth development near Minamitorishima Island. The company’s deep-sea exploration vehicle, “Edokko No.1,” has been selected as an environmental monitoring system for the world’s first continuous rare earth mining test, scheduled to begin in January 2026.
Japan has long depended on imports for critical minerals, particularly rare earth elements used in electric vehicles and renewable energy. The Minamitorishima seabed is believed to contain rare earth resources equivalent to hundreds of years of global demand, including valuable heavy rare earths. Successful development could significantly strengthen Japan’s economic security.
The strategic importance of Okamoto Glass lies not only in mining participation, but in environmental monitoring. Reliable environmental data is essential for commercial deep-sea mining approvals. If Okamoto’s monitoring technology becomes an international standard, the company could gain a pivotal position in future global deep-sea resource projects.
While Okamoto Glass currently reports losses due to restructuring and upfront investment, it is also expanding into thermal management substrates for semiconductors and AI-related applications. Investors are valuing the company based on long-term growth potential rather than near-term earnings.
Looking ahead, market expectations hinge on the success of the deep-sea mining trial and steady progress in new material businesses. Despite high valuation levels, Okamoto Glass is increasingly viewed as a rare small-cap stock linked to Japan’s national resource strategy and next-generation technologies.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.




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