エヌビディア決算前夜!AIバブルの“審判の日”か、あるいは 第2章の始まりか

エヌビディア決算前夜!AIバブルの“審判の日”か、あるいは 第2章の始まりか 株式劇場

明日11月20日早朝(日本時間)に予定されている米国のエヌビディア・コーポレーションNVIDIA Corporation)の決算発表を前に、世界の株式市場は強い緊張感に包まれています。 18日の日経平均株価は一時1620円安と歴史的な急落となり、終値は4万8702円と約1カ月ぶりに心理的な節目である4万9000円を割り込みました。これは日本だけの特殊要因ではなく、ニューヨークから東京まで「エヌビディア決算待ち」の世界的なリスクオフの流れが強まっていることを映し出しています。
なぜ、たった1社の四半期決算にここまで世界中の投資家が神経をとがらせているのか。背景を整理してみます。

日米株式を揺さぶる「エヌビディア警戒」

まずは米株式市場です。17日の米ダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比557ドル安の4万6590ドルで取引を終えました。S&P500種株価指数も3日続落し、中期トレンドの目安となる50日移動平均線を4月末以来およそ7カ月ぶりに下回りました。
「恐怖指数」と呼ばれる米VIX指数は一時23台半ばまで上昇し、前週末比で約18%の上昇となりました。暗号資産市場にも売りが波及し、ビットコイン価格は10月上旬の高値から約26%調整する場面も見られています。リスク資産全体で「警戒モード」が強まっている状況です。
その震源地とみなされているのが、世界最大の時価総額を誇るエヌビディアです。
市場では「19日の決算をきっかけにエヌビディア株が調整し、それがAI・半導体全体の相場転換点になるのではないか」という不安がくすぶっています。

56%増収・58%増益でも「物足りない」リスク

QUICK・ファクトセットによると、エヌビディアの2025年8〜10月期決算について、市場コンセンサスは次のようになっています。

・売上高:前年同期比56%増の約547億ドル
・純利益:同58%増の約304億ドル

通常であれば「驚異的な好決算」と言って差し支えない数字です。トヨタやアップル級の巨大企業がここまでの成長率を四半期ベースで継続することは、そう簡単ではありません。
しかし今回のエヌビディアには、2つの「高すぎるハードル」が存在します。

1.公式予想だけでは終わらない「ウィスパーナンバー」
アナリスト予想(コンセンサス)を上回っても、市場にはさらに高い“本当の期待値”(ウィスパーナンバー)が存在します。
「56%増は織り込み済み。もっと上を期待している」という投資家心理が強い場合、コンセンサス超えの好決算でも「材料出尽くし」と受け止められ、むしろ株価が売られる可能性があります。

2.成長率の“減速”への恐怖
エヌビディアはAIブームの最も熱狂的だった局面で、売上高が前年同期比100〜200%増という異次元の成長を記録してきました。
その成長率が200% → 100% → 56%と低下していく過程を、市場は「ピークアウトの兆しではないか」と敏感に見ています。「伸びてはいるが、最盛期ほどではない」というわずかな減速シグナルも、現在の高バリュエーション環境では売り材料になりかねません。

加えて、中国向け先端半導体の輸出規制という逆風もあります。中国はエヌビディアのデータセンター向け売上の2割超を占めるとも言われており、この穴をどこまで他地域の需要で埋められるかが注目点となります。

スマートマネーは「つるはし」から「金鉱」へ

今回の不安をさらに強めているのが、いわゆる“スマートマネー”と呼ばれる大口投資家の動きです。
パランティア共同創業者のピーター・ティール氏は、2025年7〜9月期に保有していたエヌビディア株約53万株を全て売却したことが判明しました。
ソフトバンクグループも、保有していたエヌビディア株を約9000億円規模で売却したと発表し、その資金をオープンAIへの巨額投資など「次のAI成長領域」に振り向ける方針を示しています。

ソフトバンクグループの後藤CFOは、この動きを「投資の循環」であると説明しています。すでに大きく成長し果実が熟した資産(エヌビディア)から利益を確定し、その資金をAIモデルやサービスといった新たな成長源泉に配分し直すという戦略です。
しばしば語られる比喩に「ゴールドラッシュでつるはしとシャベルを売る企業が儲かる」というものがあります。これまでのエヌビディアは、AI革命に必要な半導体チップという“つるはし”を供給する企業でした。

一方で、ソフトバンクや一部ヘッジファンドは、その“つるはし”の株を売り、その先にある「金鉱」=AIサービスやモデル(オープンAIなど)への投資を強めているとも解釈できます。
これは単なる個別の利益確定にとどまらず、
AIの価値の中心がハードウェアからソフトウェア・サービスへ移りつつある
というメッセージとして、市場心理にじわじわと影響を与えています。

日本株への波及:AI・半導体からの「資金循環」本格化か

日本市場でも、エヌビディアはここ1年半の株高を象徴する存在でした。
アドバンテストや東京エレクトロンなど、エヌビディア関連と目される半導体・製造装置株は、業績以上のペースで株価が上昇し、PERは高水準に達しています。
足元では、こうしたハイテク・グロース株から、ヘルスケア、エネルギー、生活必需品といった「出遅れ・バリュー株」への資金シフトが目立ち始めています。
CFRAや国内証券のストラテジストも「グロースからバリューへの資金循環が起きている」「過熱感の解消という意味では健全な調整」との見方を示しています。

今後想定されるシナリオは大きく2つではないでしょうか?

① ポジティブシナリオ:AI相場の“第2章”へ

・エヌビディアがコンセンサスとウィスパーナンバーをともに上回る好決算を発表
・需要見通しについても「供給が追いつかないほど強い」といった強気姿勢を示す

この場合は、市場に広がっている不安を数字が一気に打ち消し、
「AIブームはまだ終わっていない。むしろこれからが本番だ」という安心感が広がる展開が想定されます。

日本株では、
・アドバンテスト、東京エレクトロンなどの半導体関連
・AIインフラに絡むデータセンター投資関連
などがリバウンドし、日経平均も4万9000円台回復を試す可能性があります。

② ネガティブシナリオ:AIバブルの“天井確認”
・決算がコンセンサスやウィスパーナンバーにわずかでも届かない
・あるいは、中国向け輸出規制などを理由に、ガイダンスが慎重トーンになる

こうした場合、「ここがAIバブルの頂点だった」という市場コンセンサスが形成され、失望売りが殺到するリスクがあります。
AI・半導体から、食品、医薬品、電力・ガスといった生活必需品セクターや、金利上昇の恩恵を受ける銀行株などへのセクターローテーションが本格化する可能性があります。

FRB・マクロ指標・為替…重なる“外部要因”

エヌビディアだけがリスク要因ではありません。今週は、相場に影響を与えうる重要イベントが目白押しです。
・20日:政府閉鎖で延期されていた9月分の米雇用統計発表
・19日:10月FOMC議事録公表
・日本:7〜9月期GDP速報、10月全国CPI発表

米利下げ時期を巡る見方が揺れる中、これらの指標次第では長期金利や為替が大きく動く可能性があります。
国内でも新発10年国債利回りは1.7%前後と、約17年半ぶりの水準に達しており、積極財政や国債増発への警戒感が金利の上値圧力となっています。
為替市場では、前週にドル円が一時1ドル=155円台まで円安が進行しました。
弱めの日本のGDPや物価指標が出れば、早期利上げ観測が後退し、円安圧力が再び強まる可能性もあります。

個人投資家として確認しておきたいチェックポイント

短期的な値動きに振り回されないためにも、投資家としては次の点を冷静にチェックしておくことが重要だと考えられます。

① 決算の「数字」だけでなく「ガイダンス」
売上・利益が予想を上回るかに加え、データセンター向け需要、中国向けの影響、来期見通しにどの程度の強気/慎重さが示されるかが焦点になります。

② 成長率のトレンド
絶対値としての成長率だけでなく、前四半期からの加速/減速の方向性を確認することが大切です。

③ マクロ環境との組み合わせ
FRBのスタンス、米雇用統計や日本のGDP・CPIなど、金利や為替に影響する指標との組み合わせで、ハイテク株全体の評価が変わる可能性があります。

④ セクターローテーションの行き先
AI・半導体から資金が流出した場合、その受け皿がどのセクターになるのか(ディフェンシブ株、金融株、あるいはコモディティ関連など)を見極める視点も重要です。

1社の決算に揺れる市場と、投資家の視点

2025年11月18日時点で、世界の金融市場は明らかに分岐点に立たされています。その運命のスイッチを握っているのが、AIインフラの中心企業であるエヌビディアの決算であることは間違いありません。
同時に、たった1社の四半期決算が世界の株式・為替・債券・コモディティ市場にここまで大きな影響を与えてしまう現在の構造そのものが、「強く、しかし脆い」市場の姿を映し出しているとも言えます。

短期的な値動きは非常に荒くなる可能性がありますが、投資家としては
・目の前の一日の値動きではなく、
・AIという大きなテーマの中で、価値の中心がどこに移ろうとしているのか
を意識しながら、ポートフォリオ全体のリスク管理と時間軸を冷静に再確認していく局面ではないかと思います。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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