
国内農業機械最大手であり、世界第3位のシェアを誇る株式会社クボタ(大阪市)は、農業用トラクターを中核に、建設機械や水環境関連設備を展開する総合機械メーカー。海外売上高比率は約80%に達し、近年はインドやアフリカなど新興国市場での拡大を目的に現地企業の買収を進めています。
▼クボタの海外売上高比率

クボタ 海外売上高比率
もっと日本国内が多いかと思いきや、海外比率が非常に高いですね。特に北米が多い。
人口増加や気候変動を背景とする農業生産性向上ニーズの高まりから、長期的な市場機会は大きいと思われます。
業績動向:2023年をピークに減速
2023年には過去最高益を記録したものの、直近では減速が鮮明となっています。2024年第1四半期決算(5月発表)では、主力の機械事業が前年同期比10%超の減収と大幅に落ち込み、特に北米市場で農業投資やインフラ需要が急減。パンデミック禍で在宅時間が増えたアメリカでは、芝刈り機や小型トラクターなどの家庭用トラクター需要が急増しましたが、一過性の需要であり、2022年以降は伸び悩んでいます。また、バイデン政権のインフラ投資で道路や建築物更新需要で建設機械の販売が伸びましたが、直近では在庫過多と需要の一巡で停滞。競合のジョンディアも同様に減益に陥っており、市場環境そのものが厳しい状況です。
さらに円高による為替差損も重なり、営業利益は前年の1,030億円から約40%減の600億円規模に縮小。製品価格の引き上げを実施したものの、需要低迷が価格効果を相殺する格好となっています。
水環境セグメントは堅調で、排水処理設備や冷却関連機器の需要増加が業績を下支えしました。しかし、同セグメントの売上構成比は10%前後にとどまり、収益の柱となるには時間を要します。依然として農業機械事業の業績に左右されやすい構造は変わらない状況です。
このような背景もあり、クボタの業績下方修正となっています。
株価と投資指標:歴史的な割安水準

クボタの株価推移(2023年〜2025年8月15日)
株価は2023年以降下落基調にあり、直近の配当利回りは3%未満(2.78%)と物足りない水準にとどまっています。ただし、PERは14.4%、PBRは0.9%と ともに過去5年間で最安値圏にあり、バリュエーション面では投資妙味が高まりつつあるとも言えます。株価は先月下旬、米国関税政策をめぐる報道を好感して一時9%近く急騰したものの、依然として割安感が残っています。
注目すべきは、世界最大級の資産運用会社であるブラックロックが7月15日にクボタ株を買い増した点です。推定買付額は約183億円で、発行済株式数の約1%に相当します。割安なバリュエーションに加え、長期的な農業需要拡大を見込んだ戦略的投資とみられます。

投資視点:金利サイクルと新興国展開が鍵
過去の株価推移を分析してみると、クボタ株は金融緩和局面で上昇し、金利上昇局面で下落する傾向が鮮明。農業機械は多額の資本投資と長期サイクルを伴うため、住宅市場同様に低金利局面で需要が喚起されやすい。現在は世界的な高金利環境下で需要が抑制されていますが、今後利下げ局面に入れば再び成長加速が期待されます。現在、アメリカでは利下げ方向に変化する可能性が濃厚となっており、これはクボタのアメリカでの事業にプラスに働くのではないでしょうか。ブラックロックもこうした背景に着目して買い増ししているのかもしれません。
また、インドやアフリカ市場における現地企業買収戦略は、トヨタ自動車が新興国向けトラック市場で成功を収めている構図と類似しています。世界的な食糧課題を背景に、クボタが「農業界のトヨタ」としてプレゼンスを高める可能性もあり、将来性は明るいかもしれません。
特に世界のトラクター市場の約41%を占めるインドは、クボタの最重要成長市場です。2021年には現地企業エスコーツ社を買収し、シェアを12~13%に拡大しました。しかし依然としてトップのマヒンドラが約40%を握り、価格競争力でも苦戦が続きますので、クボタが現地工場新設と低価格製品の投入によって巻き返しを狙っていけるかが鍵になりそうです。2030年までに目標シェア25%を掲げており、果たして達成できるかどうか注目していきたいと思います。
そして、日本では政府が「米増産」に舵を切り、同時に自動運転トラクターやドローン散布などスマート農業技術の活用を打ち出しています。クボタは国内で最も先進的にスマート農業に取り組む企業の一つであり、この政策は追い風となり得ます。
まとめ
短期的には北米市場低迷や為替影響が重荷となり、業績・株価ともに停滞が続く見通し。しかし、人口増加と農業生産性向上という不可逆的な需要トレンドに加え、低金利局面の再来や新興国展開が実を結べば、長期的なリターンが見込める可能性は高いと思われます。
現状の割安水準をどう評価するかは投資家次第ですが、ブラックロックの買い増しはその将来性への確信の表れとも受け取れます。クボタ株は、短期の逆風を超えて中長期の成長を狙う投資家にとって検討に値する銘柄となりそうです。
念の為ではございますが、投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。
8月18日 AM6:30
SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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<追伸>
本日8月18日の取引が始まると、クボタの株価は大幅に上昇。
1,800円台を突破しています。





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