出光興産、全固体電池材料で「量産」へ踏み込む——トヨタEV計画を追い風に脱炭素収益源を育成

出光興産、全固体電池材料で「量産」へ踏み込む——トヨタEV計画を追い風に脱炭素収益源を育成 次世代エネルギー関連株

大型実証プラント建設を開始、全固体電池の事業化フェーズへ

出光興産株式会社(東証プライム 5019)は、次世代EV(電気自動車)の中核技術とされる全固体電池向け材料固体電解質」の量産に向け、千葉県市原市の千葉事業所内で大型実証プラントの建設を開始したと発表しました。完工は2027年中を予定し、生産能力は年間数百トン規模に達する見込みです。

今回の投資は、単なる研究開発の延長ではなく、出光が全固体電池材料を「事業」として本格的に立ち上げることを意味します。ガソリン需要の長期減少が視野に入る中、同社が脱炭素領域で次の収益源を確立する布石として、市場の注目を集めています。

トヨタの全固体EV(2027~28年)に材料供給、タイムラインが明確化

同プラントで製造される固体電解質は、トヨタ自動車が開発するBEV向け全固体電池に採用される予定です。トヨタは2027~2028年の全固体電池搭載EVの実用化を掲げており、出光の投資判断はこの計画と歩調を合わせたものとなります。

投資家目線で重要なのは、今回のニュースが「期待先行の技術」から「供給契約を伴う実装局面」へと移行した点です。とりわけ、出光が**大型設備建設という最終投資判断(FID)**に踏み切ったことは、量産化に向けた意思が固いことを示すシグナルと言えます。

固体電解質の原料は“石油精製の副産物”——出光ならではの競争優位

全固体電池は、従来のリチウムイオン電池が使用する液体電解質に代え、固体の電解質を用いることで、充電時間短縮・高出力化・安全性向上が期待されています。

出光の特徴は、その固体電解質が石油製品製造過程で副次的に発生する硫黄成分を原料とする点です。石油精製を祖業とする同社にとって、既存のプロセスで得られる副産物を高付加価値材料へ転換できれば、原料調達面での優位性に加え、資源循環型の成長モデルも描きやすくなります。

段階的スケールアップで量産技術を確立、NEDO支援も追い風

出光はすでに2021年・2022年に小型実証プラントを稼働させ、量産技術の開発とサンプル供給を進めてきました。今回の大型実証プラントは、その成果を踏まえた「次の段階」であり、段階的にリスクを抑えながらスケールアップしてきたことがうかがえます。

さらに、固体電解質の量産化に向けた技術開発は、**NEDO(グリーンイノベーション基金事業)**にも採択されています。政策支援を取り込みながら、脱炭素領域での競争力強化を進める構図は、長期投資家にとって評価材料となりそうです。

硫化リチウム設備も建設中、材料バリューチェーンを垂直統合へ

同社は固体電解質の中間原料となる硫化リチウムの大型製造装置についても建設を進めており、2027年6月完工予定としています。

固体電解質→硫化リチウム→原料硫黄という流れで見れば、出光は材料供給の上流から下流までを一気通貫で握る、いわば垂直統合型のバリューチェーンを構築しつつあります。これは品質管理やコスト競争力、供給安定性において強みとなる可能性があります。

投資家視点:石油会社の“次の柱”として全固体材料が浮上

今回の大型投資は、出光にとって「石油依存」からの転換を象徴する一手です。市場が注目すべきは、全固体電池が普及した場合、完成品メーカー(自動車・電池)だけでなく、材料供給側が長期にわたり収益を得られる構造が成立し得る点でしょう。

一方で、全固体電池は依然として技術課題・コスト課題が残り、普及速度は不確実です。ただ、今回のように具体的な供給先(トヨタ)と量産タイムラインがセットで示される局面では、材料メーカーの企業価値が再評価されやすい局面に入ったとも言えます。

出光興産は、石油精製で培った技術と資源を「EV時代の必須素材」へと転換することで、脱炭素社会における新たな主役候補として存在感を強めています。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

Idemitsu Kosan Starts Building Large-Scale Solid-State Battery Material Plant, Targeting Toyota EV Supply

Idemitsu Kosan has begun construction of a large demonstration plant in Chiba, Japan, to manufacture solid electrolytes—key materials for all-solid-state lithium-ion batteries. The facility is scheduled for completion in 2027 and is expected to produce several hundred tons annually.

The solid electrolyte output is intended for Toyota Motor’s battery electric vehicles (BEVs) using all-solid-state batteries, which Toyota aims to commercialize around 2027–2028. Idemitsu’s move signals a shift from the R&D stage to the early commercialization phase, as the company positions solid-state battery materials as a new growth pillar amid a long-term decline in gasoline demand.

Idemitsu is also progressing with a large-scale lithium sulfide production unit, a critical intermediate material, with completion targeted for June 2027. The project is supported under Japan’s NEDO Green Innovation Fund program, highlighting government backing for next-generation battery supply chains.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

 

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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