1月6日の東京株式市場で日立製作所の株価が急騰しました。日経平均株価が続伸し史上最高値圏で推移するなか、日立株は一時前日比5.9%高となり、約2カ月ぶりの高値を付けました。人工知能(AI)を軸とした成長戦略と、資本効率改善を両立させる経営姿勢が、改めて投資家の注目を集めています。
ゴールドマン評価引き上げが株価上昇の引き金に
株価上昇の直接的な材料となったのは、ゴールドマン・サックス証券が発行した産業エレクトロニクスセクターの最新リポートです。同社は日立について、AIインフラ整備、AIを活用したサービス提供、AIによる生産性改善という三つの追い風が同時に吹いていると評価しました。今後12カ月の目標株価を従来から100円引き上げ、6000円としたことが市場で好感されました。
日立は、上場子会社の売却を通じた事業ポートフォリオ改革を進め、ITやデジタル分野といった強みに経営資源を集中させてきました。こうした構造改革と成長投資の両立が、日本企業変革の成功例として再評価されています。
フィジカルAIが成長ストーリーの中核として期待
足元で特に注目されているのが、日立が掲げる「フィジカルAI」戦略です。これは、デジタル空間で思考する生成AIにとどまらず、工場、鉄道、発電所といった現実世界を認識し、実際に制御・実行するAIを中核に据える構想です。
日立は、創業以来培ってきたOT(オペレーショナル・テクノロジー)、1970年代以降に拡大してきたIT、さらに1960年代から続くAI研究という三つの領域を併せ持ち、「200年の歴史」と表現しています。この長年の現場経験に裏打ちされたドメインナレッジが、フィジカルAI分野における競争優位性の源泉とされています。
買収資産が成長に寄与、M&A戦略も評価材料
過去の大型買収が実際に成長に結び付いている点も、投資家評価を高めています。スイスのABBから買収した電力システム事業(現・日立エナジー)は、米エヌビディアとAIデータセンター向け電力供給システムの共同開発で合意しました。また、2021年に買収した米IT企業グローバルロジックは、顧客のデジタル変革支援で存在感を高めています。
一方で、日立建機やAstemoといった持ち分法適用会社の株式売却を進め、資本効率の改善も同時に進行しています。選択と集中を徹底する姿勢が、株主価値向上につながっているとの見方が広がっています。
NVIDIAやGoogleとの連携で実装力を強化
フィジカルAI戦略を支えるのが、NVIDIAやGoogle、OpenAIといった世界的テック企業との連携です。日立はNVIDIAと日本、米国、欧州で共同開発拠点を設け、デジタルツイン技術を活用した社会インフラ向けAIの開発を進めています。
また、Google Cloudとの協業では、マルチモーダルAIを活用した保守・点検業務の高度化に取り組んでいます。最先端AIの「頭脳」と、日立が持つ現場知識を組み合わせることで、単なる技術導入にとどまらない実用化を実現しようとしています。
好決算が裏付ける「強気シナリオ」
2026年3月期の中間決算では、売上収益が前年同期比5.3%増にとどまった一方、親会社株主に帰属する利益は61.8%増と大幅に伸びました。調整後EBIT率も着実に改善しており、フィジカルAIの主戦場となるエナジーや鉄道関連事業が収益を押し上げています。
市場では、日立の戦略がいよいよ利益創出フェーズに入ったとの見方が強まっています。AI投資とグローバル展開を進めながら、資本効率を高める好循環が続くかが、今後の株価を左右する焦点となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Hitachi Shares Jump as Investors Back Physical AI Strategy and Capital Efficiency Reforms
Hitachi Ltd. shares surged on January 6, outperforming the broader Tokyo market, as investors welcomed renewed confidence in the company’s growth strategy centered on “Physical AI” and disciplined capital allocation. The stock rose nearly 6% intraday, reaching its highest level in about two months.
The rally was partly driven by a Goldman Sachs report that raised Hitachi’s 12-month target price to ¥6,000. The firm cited three major tailwinds: expanding AI infrastructure investment, growing AI-enabled services, and productivity gains from AI adoption.
Hitachi has been reshaping its portfolio by divesting non-core assets and reinvesting in high-growth areas such as digital services, energy, and railways. Past acquisitions, including Hitachi Energy and U.S. IT firm GlobalLogic, are now contributing more visibly to earnings growth.
At the core of the investment narrative is “Physical AI,” which combines artificial intelligence with real-world operational technology in factories, power grids, and transportation systems. Leveraging decades of on-site expertise, Hitachi aims to differentiate itself from pure software players.
Strong partnerships with Nvidia and Google further support this strategy, enabling advanced AI deployment while preserving Hitachi’s advantage in domain knowledge. Recent earnings underscore the shift, with operating margins improving and profits growing far faster than revenues.
For global investors, Hitachi is increasingly viewed as a case study in how a traditional industrial company can transform itself into a high-value AI-driven enterprise while maintaining capital discipline.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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