古野電気株式会社(6814)が1月9日の大引け後(15:30)に発表した2026年2月期第3四半期決算は、同社が単なる電子機器メーカーではなく、「日の丸造船」復活という国策テーマの中核を担う存在であることを改めて印象づける内容となりました。造船業界全体に追い風が吹く中で、船の安全性と効率性を支える舶用機器メーカーとしての強みが、数字の面でも鮮明になっています。以下にて詳しく見ていきましょう!
第3四半期決算は大幅増益、通期進捗も高水準
古野電気が発表した2026年2月期第3四半期累計(3〜11月)の連結経常利益は143億円となり、前年同期比で32.3%の増益を達成しました。通期計画である175億円に対する進捗率は81.8%に達しており、依然として高水準を維持しています。
一方で、進捗率は過去5年平均の85.2%をやや下回っており、会社計画は据え置かれました。会社側の計画に基づく試算では、12〜2月期(第4四半期)の連結経常利益は前年同期比4.6%減の31.7億円となる見通しです。ただし、直近3カ月である9〜11月期(第3四半期単独)では、経常利益が前年同期比25.3%増の41.5億円と順調に拡大しています。
売上高営業利益率は前年同期の10.3%から9.9%へとやや低下したものの、全体としては高収益体質を維持していると言えるでしょう。
「日の丸造船」復活と安全保障が追い風に
足元で古野電気が注目を集める背景には、日本の造船業を巡る環境変化があります。日本は貿易量の99%以上を海上輸送に依存しており、造船能力を国内に維持することは、もはや単なる産業政策ではなく、安全保障上の重要課題となっています。
こうした中、日米両政府は昨年10月に造船分野での協力に関する覚書に署名しました。AIやロボットを活用した生産性向上に加え、有事の際に日本の造船所で米軍艦艇を修理することも視野に入れた内容であり、造船業は経済と安全保障の両面で強力な後押しを受ける分野となっています。
株式市場で言われる「国策に売りなし」という格言が示す通り、投資マネーがこのテーマに向かうのは自然な流れと言えるでしょう。
造船会社ではなく「船の頭脳」を握る企業
この国策テーマの中で、なぜ古野電気がこれほど注目されるのか。その理由は、同社が船体そのものではなく、航海の安全性と効率性を左右する「頭脳」と「感覚」を提供する企業だからです。
船舶用レーダーや魚群探知機は、船にとって目や耳、そして判断を支える神経系のような存在です。古野電気はこの分野で圧倒的な地位を築いており、小型船向けレーダーでは世界シェア約4割、魚群探知機では約5割を握っています。世界中の漁船や商船の多くが、同社の技術を前提に安全な航海を行っていると言っても過言ではありません。
舶用事業が牽引する構造的な成長
今回の好決算は、一時的な特需ではなく、構造的な成長に支えられている点が特徴です。成長を牽引しているのは主力の舶用事業で、この分野だけで売上高は前年同期比11.7%増、利益は26.6%増と他事業を大きく上回りました。
背景には三つの要因があります。第一に、温室効果ガス(GHG)排出規制の強化を受け、LNG燃料船など環境性能の高い新造船への代替が進んでいることです。高性能な船ほど高度な航海機器やセンサーが必要となり、古野電気の付加価値が高まります。
第二に、世界各地の港で展開する保守・サービス事業の拡大です。機器を販売して終わりではなく、メンテナンスや部品交換による安定収益が、景気変動に強い収益基盤を形成しています。
第三に、米国を中心とした富裕層向けプレジャーボート市場の成長です。景気に左右されにくい需要が、収益の下支えとなっています。
長期ビジョン「NaviNEXT2030」が描く次の成長
古野電気は長期計画「NaviNEXT2030ビジョン」を掲げており、2026年からは最終段階となるフェーズ3に入ります。このフェーズは、これまでの研究開発投資が成果として結実し、企業変革が進む5年間と位置づけられています。
技術革新では、JAMSTEC(海洋研究開発機構)との共同開発によるAI海象予測技術や、ARナビゲーションシステムなどが象徴的です。また、100カ国以上に展開するグローバル拠点を生かし、データ分析に基づく高度なサービス提供も進めています。加えて、7年連続で健康経営優良法人に認定されるなど、人材投資にも注力しています。
増配が示す経営陣の自信
こうした成長への自信は、株主還元策にも表れています。同社は年間配当予想を前期の110円から150円へと大幅に引き上げる方針を示しました。これは将来の収益に対する経営陣の強い自信を示すものと言えるでしょう。
ハードからデータへ、次の成長余地
古野電気の強みはハードウェアにとどまりません。世界中の船舶から日々集まる航海データ、魚群データ、航路ログは、将来的に大きな価値を持つ可能性があります。これらをクラウドとAIで解析することで、最適航路の提案や漁場予測など、「海のデータ・プラットフォーマー」へ進化する余地も見えてきます。
国策という追い風、圧倒的な世界シェア、堅調な決算、そして明確な成長戦略。古野電気は今、舶用機器メーカーの枠を超えた存在として、投資家の視線を集めています。
古野電気の決算発表は金曜の大引け後でしたが、PTSでは早くも株価が反応しており 6..8%上昇しております。3連休明けの株価への影響に注目したいと思います。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Furuno Electric Gains Attention as Japan’s Shipbuilding Revival Boosts Marine Electronics Leader
Furuno Electric Co. (6814.T) is drawing renewed investor interest following strong third-quarter results and growing expectations for Japan’s government-backed shipbuilding revival. While major shipbuilders are often seen as the main beneficiaries, Furuno stands out as a critical supplier of high-value marine electronics that support safety and efficiency at sea.
For the nine months ended November, Furuno reported consolidated ordinary profit of ¥14.3 billion, up 32.3% year on year, reaching 81.8% of its full-year forecast. Third-quarter profit alone rose 25.3%, reflecting solid demand in the company’s core marine electronics business.
Furuno holds a dominant global position in marine navigation systems, with approximately 40% share in small-vessel radar and around 50% in fish-finding equipment. These products are increasingly essential as stricter environmental regulations accelerate the shift toward LNG-fueled and high-specification vessels, which require advanced navigation and sensing technologies.
Recurring revenue from maintenance and after-sales services, supported by Furuno’s global service network spanning over 100 countries, continues to strengthen earnings stability. The company has also expanded into high-end recreational boat markets in the United States, adding another growth driver.
Reflecting confidence in its outlook, Furuno raised its annual dividend forecast from ¥110 to ¥150. Looking ahead, the company aims to evolve beyond hardware by leveraging vast amounts of marine data collected worldwide, positioning itself as a long-term beneficiary of both Japan’s industrial policy and global maritime digitalization.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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