なぜ円安なのに株安になるのか?

なぜ円安なのに株安になるのか? 株式劇場

ここ最近、為替(ドル円)は円安方向に動いていて、今日は152円台まで進んでいます。今年夏までは円安が進んでいたものの、その後、9月には円高方向へと転じていたのですが、「また元の円安方向に戻っていくのか…」という感じですよね。

ところで、今までは、為替が円安方向に進むと株高になる傾向がありました。円の価値が下がるわけですから、株価を円で計算した時に「ゲタを履く」構図で高くなる傾向があったのと思います。企業価値が高まったわけではないのに、株価が上昇している状態。それでも、株価が上がっていたので、すこしは救われた感があったものです。
しかし、今回は、円安方向へと進んでいるにもかかわらず、株価が上がるどころか下がっているのです。今までの「円安=株高」という方程式が崩れ、「円安株安」状態になってしまっているのです。円の価値が下がっているにもかかわらず、加えて、株価までも下がっているのですから、世界的に見た日本企業の価格は、大幅に下がっていることになります。

なぜ、円安なのに株安になっているのでしょうか?

円安なのに株安になっている理由は、「円安が進むと日本銀行が追加利上げを早めに実施するであろう」という憶測が世界的になされるから、というものが最も強い理由として考えられます。業種にもよりますが、利上げは、基本的には株価に逆風になる場合が多いですよね。なので、日経平均株価としては、下落方向に進みがちなのかと。

では、なぜ円安が進むと、日銀が追加利上げを早める可能性が高まるのでしょうか?

これは、ちょうど7月末頃にそうであったように、「円安を抑えるために利上げに踏み切る」という意味合いもあると思います。円安への牽制。ただ、もっと強い理由として、「円安が進めば物価上昇率が高まるため、追加利上げ実施のための条件が整うから」というものがあると思われます。ましてや、現政権の総理 石破茂氏は、もともと追加利上げに積極姿勢をお持ちの方ですし。石破氏は総理就任後、「今はまだ利上げする環境にはない」と発言して柔軟な姿勢を見せているものの、逆に言えば「環境が整えば利上げする」という意味でもあります。

いずれにしても、最近進行が始まった「円安株安」状態は、日本国にとっても、日本で暮らす人々にとっても、マイナスをもたらす現象であり、懸念材料です。

株主としての立場から見ますと、株価が下がることは私自身が保有している株の価格が下がるので、痛手ではあります。一方、これから買い増ししていく際には、買いやすくなるというメリットもあります。私のように配当金を長期で得ていくことを軸にしている株主にとっては、保有株を増やせることはありがたいことですよね。ただ、最近始まった「円安株安」の場合、日本円の価値が下がっているわけですから、いずれにしても、自分が得る日本円での資産価値が減るわけですから、残念な点ではあります。やはり、資産をドルで保有すべき局面に来ているのでしょうか?もしくは、発展著しい新興国?いずれにしても、日本企業を株主として応援しつつ、同時にリスクヘッジもしておくべきでしょうね。

過去の方程式が変わり、新たな構図が進みつつある日本。今後、我々日本人が取りうる施策は何がベストなのでしょうか?じっくり考えて、またお伝えしたいと思います。

(追記)そもそも、最近、なぜ円安になっているのか

9月中旬には、140円程まで円高方向へと進んだドル円。その後、じわじわと円安方向へと逆戻りし、今では152円台へ。なぜ、最近は円安方向へと進んでいるのでしょうか?

これは、アメリカの長期金利上昇を受けて、「日米金利差が拡大する」という思惑が働いていることが大きいでしょうね。
アメリカの長期金利は、4.2%強まで上昇しており、7月下旬頃の水準まで戻ってきています。FRBは9月に約4年半ぶりの利下げに踏み切ったわけですが、長期金利が逆に上昇しているという状態。その大きな要因は、10月初旬に発表となった米国雇用統計の数字が意外にも良かったことがあげられるでしょう。米国景気が意外と強いということが実証されたのです。さらに、大統領選でトランプ氏勝利の可能性が高まってきました。これを織り込んだ動きが見られていると思われます。トランプ氏の政策がインフレ的で、以前に彼が大統領を務めていた際も「長期金利上昇・ドル高・株高」の傾向がありました。今回の長期金利上昇の動き自体が、トランプ氏勝利を織り込んだ動きと連動している要素は大きそうです。

ということもあり、日本に目を向けてみますと、しばらくは円安方向で進む可能性が高そうです。つい先月には、一時140円くらいまで円高へと進んでいた頃が懐かしいですね。。あとは、日本の追加利上げがどのタイミングで実施されるのか、が争点になりそうです。今月30日・31日には日銀会合がありますが、ここでは一旦現状維持の方針が発表される可能性が高いですから、当面は円安は進みそうですね。

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PROFILE

【STOCK EXPRESS(ストックエクスプレス)】(略称:STOCK.EX)株主視点の経済ニュース考察を発信してまいります!
語り手は、SHUN
渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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