【ベライゾン決算発表】加入者回復とAIインフラ参入で成長局面へ!

【ベライゾン決算発表】加入者回復とAIインフラ参入で成長局面へ! 米国株

調整後EPSは市場予想超え、Googleと10億ドル超契約――通期予想と自社株買いも上方修正

米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(NYSE・NASDAQ:VZ)が2026年7月24日に発表した2026年第2四半期(4~6月)決算は、売上高こそ前年同期をわずかに下回ったものの、携帯電話とブロードバンドの加入者増加、過去最高の調整後EBITDA、力強いフリーキャッシュフローがそろう内容となりました。

調整後1株利益は市場予想を上回り、同社は2026年通期の業績見通しを2四半期連続で引き上げました。さらに、Googleとの10億ドル超のダークファイバー契約を明らかにし、従来の通信事業に加えて、生成AIを支えるデータセンター接続網が新たな成長分野として浮上しています。

市場が注目したのは、単なるコスト削減による利益改善ではありません。長く課題とされてきた携帯電話加入者数が明確に回復し、解約率を抑えながら顧客獲得コストも削減するという、収益性を伴った成長が確認された点です。ベライゾンの公式決算発表によると、モビリティ・ブロードバンドサービス収入は前年同期比2.8%増加し、下半期にはさらに成長が加速する見通しです。

ベライゾンといえば、6月下旬から7月上旬にかけて一時株価が下落しておりましたが(7月2日の記事参照)、最近では上昇に転じております。私も同社の株を長年保有しており、今回の決算発表内容について注目しておりました。以下にて詳しく見ていきましょう!!

売上高は0.7%減も、調整後EPSは市場予想を上回る

2026年第2四半期の売上高は前年同期比0.7%減の342億~343億ドルとなりました。携帯端末の買い替え件数が約27%減少し、機器収入が約20%、金額にして12億ドル超減少したことが全体の売上高を押し下げました。
ただし、端末販売の減少は必ずしも通信サービスの競争力低下を意味しません。顧客がスマートフォンを長期間使用する傾向が強まったほか、ベライゾン自身も端末補助金に依存した販売促進を抑え、採算性を重視する方針へ転換しています。
一方、中核事業であるモビリティ・ブロードバンドサービス収入は約234億ドルとなり、前年同期比2.8%増加しました。機器販売という変動性の高い売上高が減少する一方、継続性と収益性の高いサービス収入が伸びており、売上高の「質」は改善したと評価できます。
GAAPベースの純利益は前年同期比22.9%減の39億ドル、希薄化後EPSは前年同期の1.18ドルから0.92ドルへ低下しました。ただし、これには税引き前で18億ドルの特別損失が含まれています。主な内訳は、国際有線通信・マネージドネットワークサービス事業の売却に関連する7億4,600万ドルの損失、資産合理化費用2億5,800万ドル、退職関連費用3億9,700万ドルなどです。
これらの特殊要因を除いた調整後EPSは前年同期比6.6%増の1.30ドルとなり、市場予想の1.28ドルを上回りました。見かけ上は減益決算ですが、本業の収益力を示す調整後ベースでは増益を確保した形です。

過去最高の調整後EBITDA、利益率は40%台へ

利益面で特に目立ったのが、調整後EBITDAの大幅な改善です。
第2四半期の調整後EBITDAは前年同期比7.2%増の137億ドルに達し、ベライゾンとして過去最高を記録しました。調整後EBITDAマージンも前年同期の37.1%から40.1%へ3ポイント上昇し、こちらも過去最高となりました。
売上高が減少したにもかかわらず利益率が大幅に上昇した背景には、端末補助金の抑制、販売促進費の効率化、顧客獲得・維持コストの削減、組織や資産の合理化があります。
ベライゾンによると、前年同期と比べて、販促による顧客獲得コストを約15%、既存顧客の維持コストを約17%削減しました。それでも加入者数は改善しているため、安売りで顧客数を積み上げたのではなく、収益性を守りながら契約を伸ばしている点が重要です。
通信株は一般に成長力が乏しく、設備投資負担が重い一方、安定配当を期待する銘柄と見られがちです。しかし今回の決算は、ベライゾンがコスト構造を改善しながら再び利益成長を目指せる可能性を示した内容といえます。

携帯電話純増数18万4,000件、5年ぶりの好内容

投資家が最も注目していた指標の一つが、ポストペイド携帯電話契約の純増数です。
第2四半期のポストペイド携帯電話純増数は18万4,000件となり、前年同期から19万3,000件改善しました。コンシューマ部門の第2四半期としては、過去5年間で最も高い純増水準です。市場では約10万6,000件程度の純増が予想されていたため、実績は予想を大きく上回りました。
顧客の解約状況も改善しています。コンシューマ向けポストペイド携帯電話の解約率は0.84%となり、前年同期から0.06ポイント低下しました。解約率は2四半期連続で改善しており、顧客流出に歯止めがかかりつつあります。
今回の決算前には、加入者増加のために高額な端末補助や値引きを拡大すれば、利益率が悪化するとの懸念がありました。しかし実際には、獲得・維持コストを削減しながら加入者数と利益率を同時に改善しています。この組み合わせは、ベライゾンの顧客戦略が構造的に変化し始めた可能性を示します。
一方、競合との比較では慎重な見方も必要です。報道によると、同四半期のポストペイド携帯電話純増数はAT&Tが43万2,000件、TモバイルUSが27万7,000件で、ベライゾンの18万4,000件を上回りました。ベライゾンは明確に回復していますが、米通信市場で競争優位を取り戻したと判断するには、今後も加入者増加を継続できるかを確認する必要があります。

「Simplicity」と「Verizon One」が新規顧客を獲得

加入者回復を支えたのが、2026年6月中旬に導入された新たな料金・サービス体系です。
月額45ドルの無制限プラン「Simplicity」、月額70ドルで携帯電話とブロードバンドをまとめた「Verizon One」、キャッシュバックやアクティベーション手数料無料などを含むロイヤルティプログラムが、社内計画を上回る滑り出しとなりました。
会社側によると、新サービス開始後の総加入者数は計画を16%上回り、新規口座純増数は予測を31%上回りました。さらに、既存顧客による新プランへの移行は想定の約3分の1にとどまりました。
これは、新プランが既存顧客を低価格プランへ移動させただけではなく、これまでベライゾンが取り込めていなかった新規顧客を獲得していることを意味します。特に、1~2回線の小規模契約、若年層、より多様な顧客層からの流入が増えているといいます。
「Simplicity」は端末補助金を原則として伴わないため、アカウント当たり平均収入を押し上げるとともに、顧客獲得コストを抑える効果があります。加入者数を増やしながら単位当たり採算も改善できれば、短期間のキャンペーン効果ではなく、中長期的な利益率向上につながる可能性があります。

ブロードバンド純増は34万8,000件、光回線が拡大

ブロードバンド事業も好調でした。第2四半期のブロードバンド純増数は前年同期比12.3%増の34万8,000件となりました。
内訳は、5Gなどを利用する固定無線アクセスが19万3,000件、光ファイバーが15万5,000件です。ベライゾンが保有する固定無線アクセスと光ファイバーのブロードバンド契約数は、合計約1,710万件まで拡大しました。
携帯電話とブロードバンドを合わせた第2四半期の純増数は55万件を超え、前年同期から23万件以上増加しました。2026年上半期では100万件を超え、前年同期の2倍以上となっています。
特に注目されるのが、携帯電話と家庭向けインターネットを組み合わせた「コンバージェンス戦略」です。複数サービスの利用により顧客との接点が増えれば、解約率の低下や顧客単価の上昇が期待できます。2026年1月に完了したフロンティア・コミュニケーションズ買収による光ファイバー網の拡大も、この戦略を後押しします。

Googleと10億ドル超の契約、AIインフラ企業へ転身か

今回の決算発表で大きなサプライズとなったのが、Googleとの10億ドル超のAIインフラ関連契約です。
ベライゾンは、Googleのデータセンターを接続するため、未使用状態の光ファイバー回線である「ダークファイバー」を供給します。生成AIの普及に伴ってデータセンター間の通信量が急増するなか、高速かつ大容量で信頼性の高い光回線の需要が急速に拡大しています。
ダン・シュルマンCEOは、米国全土におけるAIインフラ構築を「一世代に一度」の資本投資機会と位置付けました。ベライゾンは北米に広範な長距離・都市圏光ファイバーネットワークを保有しており、ハイパースケーラーが求める通信事業者水準の品質を提供できる点を強みとしています。
同社は、Googleとの契約に続き、2026年末までに複数の追加契約を発表する可能性を示しました。契約総額は今後数年間で数十億ドル規模に達する可能性があります。
また、従来の通信局舎をエッジコンピューティング用データセンターへ転換する取り組みも進めています。試験的に提供した容量が24時間以内に完売したとされ、潜在需要の強さがうかがえます。
AI関連事業をまとめた「AI Connect」構想は、2027年以降に本格的な増収要因となる見通しです。既存事業と同等か、それ以上の利益率が期待されるうえ、顧客との契約獲得を前提に設備投資を行うため、先行投資リスクを抑えやすいモデルと説明されています。
ベライゾンはこれまで、安定的ではあるものの低成長の通信会社として評価されてきました。しかし、保有する光ファイバー網をAIデータセンター向けの基幹インフラとして収益化できれば、企業評価が「高配当通信株」から「AIインフラ関連株」へ広がる可能性があります。

フリーキャッシュフロー64億ドル、株主還元を強化

キャッシュフローも今回の決算の強さを示しています。
第2四半期の営業キャッシュフローは前年同期比16.3%増の104億ドル、フリーキャッシュフローは24.4%増の64億ドルとなりました。四半期のフリーキャッシュフローとしては、同社史上でも有数の高水準です。
2026年上半期の営業キャッシュフローは前年同期比9.9%増の184億ドル、フリーキャッシュフローは16.0%増の102億ドルとなりました。設備投資を継続しながら、配当、自己株式取得、債務削減に回せる資金が増えていることになります。
ベライゾンは第2四半期に10億ドルの自己株式を取得し、上半期の取得額は35億ドルに達しました。これを受け、2026年通期の自社株買い目標を最大45億ドルへ引き上げています。上半期に配当と自社株買いを合わせて株主に還元した総額は94億ドルでした。
四半期配当は、前年同期より増配し、1株当たり0.7075ドルです。年間換算では2.83ドルとなり、ベライゾン株は引き続き米国市場を代表する高配当株の一つです。フリーキャッシュフローの増加と利益見通しの上方修正は、配当の持続性を重視する投資家にとっても安心材料となります。

巨額債務は残るものの、レバレッジは改善

一方で、ベライゾンを評価するうえでは巨額の有利子負債を無視できません。
2026年6月末時点の無担保債務は1,365億ドルでしたが、3月末の1,425億ドルから60億ドル減少しました。ネット無担保債務も1,301億ドルから1,287億ドルへ減少しています。
ネット無担保債務の調整後EBITDAに対する倍率は2.5倍となり、第1四半期の2.6倍から改善しました。同社は2027年中に目標とするレバレッジ水準へ到達できるとの見通しを示しています。
ただし、金利上昇が続けば借り換えコストが増える可能性があり、AIインフラや光ファイバー網への投資、自社株買い、増配、債務返済のバランスが今後の重要な論点となります。キャッシュフロー成長が計画を下回った場合、株主還元や債務削減のペースに影響が及ぶ可能性があります。

通期予想を全面的に上方修正

好調な第2四半期を受け、ベライゾンは2026年通期見通しを2四半期連続で引き上げました。
調整後EPSは4.99~5.04ドルとし、前年比6~7%増を見込みます。モビリティ・ブロードバンドサービス収入の成長率は2.5~3.0%へ引き上げられました。
同サービス収入の成長率は、第2四半期の2.8%から第3四半期には約3%、第4四半期には約4%まで加速する見通しです。第2四半期に減少した無線サービス収入についても、過去の販促費償却や価格改定の影響が一巡することで、下半期にはプラス成長へ転じると予想しています。
営業キャッシュフローは前年比2~4%増、フリーキャッシュフローは9~10%増を見込みます。設備投資予想は160億~165億ドルを維持しました。
ポストペイド携帯電話の年間純増数については、75万~100万件という従来レンジの上半分を見込んでいます。これは2025年実績の約2~3倍に相当し、会社側が下半期も加入者獲得の勢いが続くと判断していることを示します。

投資家として注目すべき3つの焦点

今後の最大の焦点は、携帯電話加入者の回復が一時的なものではなく、下半期以降も継続するかです。新料金プランの本格的な効果が表れるのは第3四半期以降となるため、加入者純増数、解約率、顧客獲得コストの3項目を同時に確認する必要があります。
第2の焦点は、モビリティ・ブロードバンドサービス収入が会社予想通り、第4四半期に約4%成長まで加速するかです。端末販売の減少によって総売上高が伸び悩んでも、継続的なサービス収入と利益率が上昇すれば、企業価値にはプラスと考えられます。
第3の焦点は、Googleとの契約に続くAI Connectの追加案件です。2026年末までに複数の大型案件が発表されれば、2027年以降の利益成長に対する市場の期待が一段と高まるでしょう。反対に、契約獲得が遅れたり、大規模な先行設備投資が必要になったりすれば、AI関連事業に対する評価は慎重になる可能性があります。

ベライゾン株は「高配当・低成長」から脱却できるか

今回の決算は、ベライゾンの事業再建が加入者数、利益率、キャッシュフローという複数の指標に表れ始めたことを示しました。
売上高は0.7%減少しましたが、その主因は採算性の低い端末販売の減少です。中核サービス収入は増加し、調整後EBITDAと利益率は過去最高を更新しました。ポストペイド携帯電話の純増数は市場予想を上回り、解約率も改善しています。
さらに、Googleとの10億ドル超のダークファイバー契約は、ベライゾンの膨大な通信網がAI時代の戦略資産になり得ることを示しました。AI Connectが2027年以降の高利益率事業へ成長すれば、長年続いた低成長イメージを覆す材料となります。
一方、競合2社との加入者獲得競争、1,000億ドルを大きく超える債務、AI事業の収益化時期など、不確定要素も残っています。したがって、現時点では「完全復活」と断定するより、構造改革が明確な転換点を迎えたと捉えるのが妥当でしょう。
高配当と自社株買いによる株主還元に、携帯・ブロードバンドの回復とAIインフラという新たな成長シナリオが加わったことで、ベライゾン株は従来とは異なる評価局面に入りつつあります。2026年下半期にサービス収入の伸びが加速し、AI関連契約がさらに積み上がるかが、今後の株価を左右する重要なポイントになりそうです。

私自身、ベライゾンの株主として長年に渡り保有してまいりました。さらに、6月下旬から7月上旬にかけて、株価が急落した際には、買い増ししました。今回の決算発表内容を見ると、これは正解だったかもしれないな、と実感しております。株価も上昇に転じており、今後の動向にも注目していきたいと思います。

なお、先日開催されていたサッカーワールドカップ中継でも、ベライゾンのロゴが映し出される場面も多く、嬉しかったです。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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