日本の個人投資家が米国株を売買できる時間が、大きく広がろうとしています。(※詳しくは7月17日の記事参照:米国株が23時間取引へ!日本時間の日中でも売買可能に)。米国市場で2026年12月から予定されている株式取引時間の延長を受け、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など国内の主要ネット証券が、米国株の23時間取引への対応を進めています。
これまで日本の投資家が米国株をリアルタイムで売買できる時間は、原則として日本時間の夜間から翌朝に限られていました。しかし、23時間取引が実現すれば、東京証券取引所で日本株が取引されている昼間にも、米国株を売買できるようになります。
日本株の取引時間と米国株の取引時間が本格的に重なることで、個人投資家のお金が日本株と米国株の間を、これまで以上に素早く移動する可能性があります。証券会社にとっては利便性を競う新たな局面となる一方、日本の株式市場にとっても大きな転機になりそうです。私自身、今までは深夜に米国株をコツコツ買っていたのですが、これからは1日中取引できることになり、忙しくなりそう(汗。
米国株23時間取引への日本のネット証券各社の対応状況を以下にて詳しく解説していきます!!
2026年12月、米国株の取引時間が大幅に延長へ
米国では、株価情報や約定情報を市場参加者へ配信する証券情報処理システムの稼働時間延長を背景に、2026年12月6日の米国現地取引から、米国株の取引時間を最長23時間へ拡大する計画が進んでいます。
新たなオーバーナイトセッションが設けられることで、米国東部時間の日曜日夜から金曜日夜まで、平日は原則として1日1時間程度のシステム休止時間を除き、ほぼ終日取引できる環境が整う見通しです。
日本時間では、標準時間の場合、午前11時ごろから翌朝10時ごろまで米国株を売買できる形となります。夏時間には、これよりおおむね1時間早い時間帯となる見込みです。実際の対応時間や対象銘柄、注文方法は証券会社によって異なる可能性があるため、投資家は各社の正式発表を確認する必要があります。
現在、米国株の通常取引は日本時間の深夜に始まり、早朝に終了します。会社員や日中に活動する投資家にとっては、相場を見ながらリアルタイムで注文することが難しく、指値注文を事前に出しておくか、夜遅くまで起きて取引する必要がありました。
23時間取引が始まれば、日本の投資家は昼休みや夕方など、自分の生活時間に合わせて米国株を取引しやすくなります。米国企業の決算発表や経済指標、国際情勢に関するニュースが伝わった際にも、従来より迅速に対応できるようになります。
マネックス証券と松井証券は制度開始初日からの対応を表明
国内ネット証券では、マネックス証券が2026年12月6日の米国現地取引から、米国株の23時間取引に対応する予定です。日本時間では12月7日午前11時から新たな時間外取引が始まり、従来は取引できなかった昼間にも米国株をリアルタイムで売買できるようになります。
松井証券も、2026年12月6日から取引時間を23時間へ拡大する方針を示しています。標準時間では、現在の午後6時から翌朝6時までを中心とした取引時間に、新たな日中セッションやアフターマーケットを加える形となり、利用可能時間が大幅に延びる見通しです。
両社が制度開始初日からの対応を打ち出したことで、米国株サービスをめぐるネット証券間の競争は一段と激しくなりそうです。今後は取引時間だけでなく、対象銘柄数、取引手数料、為替手数料、注文方法、投資情報、スマートフォンアプリの操作性なども、証券会社を選ぶ重要な基準になります。
SBI証券は2026年内の提供を予定、楽天証券もサービスを拡大
SBI証券は、米国で予定されている取引時間延長に対応し、2026年内に米国株の23時間取引を提供する方針です。標準時間では午前11時から午後6時までの新セッションを追加し、プレマーケット、通常取引、アフターマーケットとつなげる計画を示しています。
対象については、ニューヨーク証券取引所、NYSE Arca、NYSE American、ナスダック、Cboeに上場する銘柄のうち、SBI証券が選定した銘柄とする予定です。特定口座や一般口座に加え、投資可能枠の範囲内でNISA口座にも対応する計画で、幅広い個人投資家の利用が見込まれます。
楽天証券も米国株の取引時間拡大を段階的に進めています。同社は2026年1月にプレマーケットへ対応し、同年6月にはアフターマーケット取引を開始しました。これにより、夏時間では午後5時から翌朝9時まで、最大16時間のリアルタイム取引が可能となっています。
楽天証券の親会社である楽天証券ホールディングスは、米国株の長時間取引を手がける米フィンテック企業にも出資しており、23時間取引の早期実現を目指しています。すでに長時間取引へのシステム対応を進めていることから、米国市場の制度変更に合わせた一段のサービス拡充が注目されます。
三菱UFJ eスマート証券についても、顧客需要やシステム面を確認しながら、段階的に対応する方向で検討が進められています。大手ネット証券各社がそろって長時間取引へ向かえば、米国株の取引時間は証券会社選びの差別化要因ではなく、標準的なサービスへと変わっていく可能性があります。
PayPay証券はすでに原則24時間365日の取引環境を提供
PayPay証券は、米国株について原則24時間365日取引できるサービスを提供しています。同社の取引は、顧客の注文を市場へ直接取り次ぐ一般的な委託取引とは異なり、PayPay証券が相手方となる国内店頭取引を中心とする仕組みです。
そのため、米国市場が閉まっている時間帯でも、同社が提示する価格で取引できることが特徴です。ただし、システムメンテナンスの時間や一部銘柄、休場日前後など、取引できない場合もあります。市場価格との違いやスプレッドを含め、取引ルールを事前に確認することが重要です。
今回の米国市場における23時間取引開始に際しても、既存システムを改修しながら対応する見通しです。長時間取引という分野で先行してきたPayPay証券に対し、主要ネット証券がどのような手数料や注文機能を打ち出すかが焦点となります。
対面証券はコストと需要を見極める慎重姿勢
ネット証券が積極的に対応を進める一方、店舗や電話で注文を受け付ける対面証券では慎重な姿勢が目立ちます。岡三証券、東海東京証券、水戸証券などは対応する方向で検討しているものの、大手を含む多くの対面証券は、対応の可否を引き続き見極めています。
SMBC日興証券やいちよし証券は、現時点では対応しない予定としています。野村證券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などは、対応するかどうかを含めて検討を続けています。
対面証券にとって、取引時間の延長は単なるシステム改修にとどまりません。顧客から電話や店頭で注文を受ける場合、昼夜を通じた人員配置や管理体制、法令順守体制を整える必要があります。売買代金や顧客損益を集計する基幹システムの改修にも、相応の費用と時間がかかります。
対面証券の顧客には、長期運用を重視する富裕層や法人、機関投資家も多く、個人の短期売買を中心とするネット証券ほど長時間取引への需要が明確ではありません。追加コストに見合う収益を確保できるのか、各社は慎重に判断することになりそうです。
日本株と米国株を同じ時間帯に比較できる時代へ
23時間取引が日本の投資家にもたらす最大の変化は、日本株と米国株を同じ時間帯に比較しながら売買できるようになることです。
例えば、東京市場で半導体株が大きく上昇した際、その材料が米国のエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ、マイクロン・テクノロジーなどにどのような影響を与えるかを考え、日中のうちに米国株へ注文を出せるようになります。反対に、米国株のオーバーナイトセッションで示された値動きが、東京市場の関連銘柄へ波及する場面も増えると考えられます。
アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、テスラ、エヌビディアといった世界的企業を、日本株とほぼ同じ感覚で取引できる環境が整えば、若年層を中心に米国株を選ぶ投資家が増える可能性があります。
NISAの成長投資枠を活用して米国の個別株やETFへ投資する人にとっても、注文可能時間の拡大は利便性向上につながります。これまで投資信託を通じて米国株へ投資してきた人が、個別株やETFの直接投資に関心を持つきっかけになることも考えられます。
海外株へ向かう個人マネー、証券会社の競争も新段階
日本の個人投資家による海外株投資は、すでに拡大傾向にあります。世界の株式へ分散投資する投資信託や、米国の主要株価指数に連動するインデックスファンドが普及したことで、海外企業への投資に対する心理的なハードルは大きく下がりました。
米国企業は決算や事業内容に関する情報開示が充実しているほか、1株単位で購入できる銘柄が多いことも個人投資家に支持される理由です。日本株は原則100株単位での売買が基本となるため、株価の高い銘柄では数十万円から数百万円の資金が必要になることがあります。
日本でも単元未満株サービスが広がっていますが、リアルタイム取引への対応や注文方法は証券会社によって異なります。米国株の長時間取引と1株単位の売買が組み合わされば、少額投資のしやすさという面で、米国株の存在感がさらに高まる可能性があります。
証券会社にとっては、米国株の売買手数料だけでなく、為替取引、信用取引、米ドル建てMMF、投資情報サービスなどを含めた総合的な顧客獲得競争につながります。取引時間の長さに加えて、為替コストや注文機能、アプリの使いやすさが競争力を左右することになりそうです。
長時間取引には流動性や価格変動のリスクも
取引時間が長くなることは、必ずしも投資家にとって利点ばかりではありません。米国の通常取引時間外は、通常取引と比べて市場参加者や注文数が少なくなりやすく、売値と買値の差であるスプレッドが広がる場合があります。
流動性が低い時間帯では、少ない注文で株価が大きく動くことがあります。希望する価格で売買できない可能性や、表示されている株価と実際の約定価格に差が生じる可能性にも注意が必要です。成行注文を利用できず、指値注文だけに制限する証券会社もあるとみられます。
決算発表や重要ニュースの直後には、通常取引が始まる前に株価が急騰・急落することもあります。情報を早く得られることと、その情報を正確に評価できることは別の問題です。短時間での売買判断を繰り返せば、取引回数が増え、損失が膨らむ恐れもあります。
また、米国株投資では株価変動だけでなく、円と米ドルの為替変動も損益に影響します。米国株が値上がりしても円高・ドル安が進めば、円換算した利益が減少する場合があります。長時間取引を利用する際も、時間帯ごとの流動性、注文方法、為替コストを確認し、冷静な資金管理を行う必要があります。
米国株への資金流出は東京市場にも課題
日本の投資家が日中も米国株を売買できるようになれば、東京市場の取引時間中に、国内株から米国株へ資金を移す動きが活発になる可能性があります。特に成長性や流動性を重視する投資家が、世界的なテクノロジー企業や新規上場企業へ向かうことが考えられます。
米国市場では、人工知能、宇宙開発、半導体、フィンテックなどの分野で大型上場が相次いでおり、世界の投資マネーを引きつけています。日本企業が資金調達先として米国市場を選び、日本に住む投資家も米国上場株を昼間に売買できるようになれば、企業にとって東京市場へ上場する必要性が相対的に低下する可能性もあります。
一方、東京証券取引所の現物株取引は、前場と後場を合わせて1日5時間30分です。米国株の23時間取引が定着すれば、投資家の利便性という点で、日本市場との違いが一段と鮮明になります。
政府は家計の金融資産を成長投資へ振り向ける「資産運用立国」を掲げていますが、国内の投資資金が米国市場へ流れ続ければ、日本の資本市場の活性化という政策目標には逆風となりかねません。東京市場でも、取引時間、売買単位、企業の成長力、株主還元、情報開示などを総合的に見直す必要性が高まりそうです。
投資家は取引可能時間だけでなく「条件の違い」を確認
米国株の23時間取引は、日本の投資家に大きな自由をもたらします。しかし、すべての証券会社で同じ銘柄を、同じ条件で23時間売買できるとは限りません。
証券会社によって、取引できる銘柄、現物取引と信用取引への対応、NISAの利用可否、注文の有効期限、指値・逆指値などの注文方法、手数料、為替コストが異なる可能性があります。メンテナンス時間や米国の祝日、夏時間と標準時間の切り替えにも注意が必要です。
投資家にとって重要なのは、単に「23時間いつでも売買できる」と考えるのではなく、自分が取引したい銘柄を、どの時間帯に、どの条件で売買できるのかを確認することです。特に通常取引時間外は流動性が低下しやすいため、指値注文を活用し、想定外の価格で約定するリスクを抑えることが求められます。
日本のネット証券による米国株23時間取引への対応は、個人投資家の選択肢を広げるだけでなく、日本株と米国株の競争を同じ時間軸へ移す大きな制度変化です。2026年12月に向けて各社から対象銘柄や注文方法などの詳細が発表されるとみられ、投資家はサービス内容を比較しながら、自身の運用方針に合った証券会社と取引方法を選ぶことが重要になります。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

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