東京メトロ、上場初日の過熱ぶりは一段落!今後の展望について考える

東京地下鉄(東京メトロ)銀座線 渋谷駅改札/2024年4月6日 撮影:STOCK EXPRESS(Photographer: SHUN) IPO
東京地下鉄(東京メトロ)銀座線 渋谷駅改札/2024年4月6日 撮影:STOCK EXPRESS(Photographer: SHUN)

東京を中心に地下鉄を運営する東京地下鉄東京メトロ)の上場初日から、3日めの今日。上場初日の記事で、その過熱ぶりをお届けしましたが、だいぶ落ち着いてきましたよね。株価は1,600円台前半まで下落し、終値 1,609円となり、初値 1,630円を下回りました。まあ、初値以下とはいえ、公開価格の1,200円より大幅に高い水準ではありますが。これにて、一時は1兆円を超えた時価総額も、9,000億円台へ。

東京地下鉄(東京メトロ)上場初日から3日めまでの株価チャート. STOCK EXPRESS

東京地下鉄(東京メトロ)上場初日から3日めまでの株価チャート. STOCK EXPRESS

上場初日の記事でもお伝えしたように、初日の株価 1,700円台で計算すると、PERが19倍にもなり、やや割高感が感じられていましたから、現在は適正価格に近づいている途上かもしれません。選挙前ということもあり、リスク回避で、市場全体のが下落している土壌でもありますが。

今後、東京メトロ株の株価を考える上で、その事業展開について考察してみます。

既存の鉄道事業について

現状、鉄道運輸業が東京メトロの売上の約91%も占めています。この鉄道事業自体が、とても価値の高いものですが、さらに拡大(延伸計画)が予定されています。
東京メトロが拡大を計画している路線は、南北線と有楽町線。南北線は、白金高輪駅から分岐して品川駅へ、有楽町線は、豊洲駅から分岐して住吉駅へ、それぞれ到達する区間を新設する計画。約1年以内に着工し、2030年代半ばの開業を目指しています。品川から南北線に乗れると、東川口などの埼玉東部から新幹線へのアクセスなどが便利になりそうですよね。

まあ、現状でも膨大な乗降客数を誇り、利益率も高い鉄道事業は、当面は安泰でしょう。なにしろ、年間輸送客数は23億人強もあり(24年3月期)、これは2位 東急の約2倍あり、国内ダントツ1位。ニューヨークの地下鉄の2倍もの乗降客数があり、営業利益率 19.6%は国内私鉄大手の2倍近くもあるのですから。

一方、数年前に起きたようなパンデミックなどがあった際のリスクがあることも否めません。あの時は、そもそも電車に乗る人が極端に減少しましたからね。実際、2021年3月期の東京メトロは529億円の赤字でした。それに、現在は為替が円安傾向なので、訪日外国人が多いですが、将来的に円高傾向になった際には、今ほどは訪日客が多くなくなる可能性もあり、想定されるリスクです。

ということで、東京メトロの鉄道事業以外の事業構想について、以下にて考えてみます。

不動産関連等の新規事業の可能性

現状は、鉄道運輸業以外の東京メトロの売上は、すべてあわせても9%程と、少なめです。
(売上高に占める鉄道事業以外の割合は、同業他社では大幅に高く、小田急電鉄 69%、東武鉄道 77%、西武 79%、京王 81%、東急 85%。東京メトロの鉄道事業以外の割合が極端にすくないことがわかります。)

しかし、上場を機に、鉄道事業以外の事業を増やす意向が表明されています。山村明義社長は上場初日に「鉄道一本足では危機に対して強靭な経営とは言えないので、鉄道事業以外の柱も持っておくべきだというのは痛感しています。具体的には不動産とか流通とか。駅がたくさんあるので、駅を中心とした不動産事業・流通事業・広告事業などに注力したいです。」と語り、多角化への意欲を見せています。

中でも不動産事業は、東京メトロ成長のエンジンとなり有力な事業の柱の一つとなる可能性を秘めていると思います。日本の場合、鉄道の駅を軸として街が形成される傾向があり、鉄道の不動産への影響は強いですしね。
東京メトロは現状でも、不動産事業は展開しており、沿線を中心にオフィスビル、ホテル、住宅、ゴルフ練習場、レンタル収納スペースを運営しています。オフィスビルの事例ではメトロシティ西池袋や、渋谷マークシティ(共同開発)、住宅ではメトロステージ上野などが知られています。が、上場を機にこの事業規模を増やしていくことを構想されているのでしょう。首都圏で不動産開発が活発化するでしょうね。今後は、株主優待としてホテル宿泊券なども検討してほしいところです。

ということで、現在の東京メトロの株価はやや割高感がありますが、今後の鉄道事業以外の展開も考えると、妥当な価格かもしれませんし、割安とも思える未来が来るかもしれませんね。IPO抽選にはずれて悔しかった私ですが、購入する機会を虎視眈々と狙っております。

いずれにせよ、現在は選挙を控えた特殊な頃合い。明後日10月27日は衆院選投開票。自民が過半数割れなどすれば、政局不安が高まり、翌日の28日 月曜日に大暴落するリスクがあります。令和のブラックマンデー再びの可能性も。。なので、週末を迎える本日金曜日は静観し、月曜の様子を見て、判断するのが賢明でしょうね。とはいえ、たとえ自民公明で過半数割れしたとしても、足りないのは5議席程度でしょうから、無所属議員を取り込めば解決できそうです。本日は、週末直前の金曜日ということもあり、リスクヘッジの観点から売りが目立ちましたが、10月28日 月曜日は、安心感から株価は上昇する可能性も高いと思います。

コメント

PROFILE

【STOCK EXPRESS(ストックエクスプレス)】(略称:STOCK.EX)株主視点の経済ニュース考察を発信してまいります!
語り手は、SHUN
渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

▼お問い合わせ

REQUEST(お問い合わせ)

▼Privacypolicy

Privacy policy (プライバシーポリシー)
私達のサイトアドレスは です。 当サイトは、個人情報の保護に関する法令及び規範を遵守するとともに、以下のプライバシーポリシーに従い、ご提供いただいた個人情報を適切に取り扱い、及び、保護に努めます。また継続的な見直し、改善を行ないます。 【個…

PVアクセスランキング にほんブログ村

タイトルとURLをコピーしました