東京海上ホールディングス<8766>は5月20日、「2026年3月期決算」を発表するとともに、大規模な株主還元策を打ち出しました。今期の連結純利益は前期比7.1%減の9804億円となったものの、年間配当の引き上げに加え、最大2000億円規模の自社株買いを実施する方針を示したことで、市場では「利益成長鈍化を株主還元で補完する姿勢」として注目が集まりそうです。
同社は2027年3月期からIFRS(国際財務報告基準)へ移行する予定で、IFRSベースの次期純利益見通しは8300億円としました。もっとも、配当については前期実績218円からさらに27円増額し、年間245円を計画。加えて発行済み株式数の6.9%に相当する1億3000万株、総額2000億円を上限とする自己株取得も決議しており、資本効率改善への強い意思を鮮明にしました。
最終利益は9804億円、4Qは大幅減益
2026年3月期の連結経常収益は前期比5.1%増の8兆8722億円となった一方、親会社株主に帰属する当期純利益は7.1%減の9804億円となりました。保険引受収益の拡大や海外事業の伸長が寄与したものの、有価証券関連損失の増加や営業費用の拡大が利益を圧迫しました。
特に直近1-3月期(第4四半期)は、連結最終利益が前年同期比49.3%減の811億円と大きく落ち込みました。自然災害リスクへの備えや投資関連費用の増加、国内損保事業の利益減少などが影響したとみられます。
決算資料によると、経常利益は前期比1113億円減の1兆3486億円となり、国内損害保険事業の経常利益は1488億円減少して7444億円となりました。一方、海外保険事業は705億円増益の5590億円と堅調さを維持しており、海外事業がグループ全体を下支えする構図が鮮明となっています。
海外事業が成長牽引、M&A戦略も加速
東京海上HDは近年、海外保険事業を成長ドライバーとして位置付けています。2026年3月期も海外保険事業の経常収益は4兆5998億円まで拡大し、グループ全体の収益成長を牽引しました。
同社は米国市場を中心としたM&A戦略も積極化しています。決算資料では、米国のコレクターカー向け保険代理店事業「Ignyte Insurance」の取得や、農業向けリスクソリューション企業「Agrihedge, Inc.」の買収について詳細が開示されました。
特にAgrihedge買収では約1500億円を投じており、保険以外のリスクソリューション事業の拡充を進めています。これにより、従来型保険だけに依存しない収益源の多様化を図る狙いがあります。
市場関係者の間では、「国内損保市場の成熟を背景に、海外およびソリューションビジネスへのシフトがさらに進む」との見方も出ています。
配当は245円へ、株主還元姿勢を鮮明化
今回の決算で最も投資家の注目を集めたのが、積極的な株主還元策です。
同社は2026年3月期の年間配当を従来予想の211円から218円へ増額修正しました。さらに2027年3月期については年間245円配当を計画しており、前期比27円の増配となります。
加えて、5月21日から12月23日までの期間で、最大1億3000万株・2000億円を上限とする自己株取得を実施します。これは発行済み株式総数の約6.9%に相当する大型還元策です。
同社は「2026年度を通じて4000億円規模の自己株買いを行う方針」に基づく施策であることも明らかにしており、今後も継続的な株主還元が期待されます。
保険業界では近年、政策保有株式の縮減や資本効率改善への圧力が強まっており、東京海上HDもROE重視の経営を一段と進めている格好です。
IFRS移行後は利益減少見通しも、資本効率改善に期待
一方で、2027年3月期のIFRSベース純利益見通しは8300億円と、実質的には減益予想となりました。
もっとも、同社は会計基準変更による影響も大きいとしており、単純比較には注意が必要です。IFRS導入によって国際比較可能性が向上する一方、保険契約評価や投資資産評価の考え方が変化するため、利益水準にも一定の変動が生じます。
また、同社は来期想定として国内自然災害損失1050億円、海外自然災害損失950億円を織り込んでいます。近年の異常気象リスクを踏まえると、保守的な前提を置いた可能性もあります。
市場では、「利益成長の鈍化懸念はあるものの、安定したキャッシュ創出力と高水準の株主還元が株価を支える」との見方が優勢です。実際、2026年3月期末の自己資本比率は17.0%へ改善し、純資産も5兆4575億円まで増加しました。
国内損保最大手としての安定収益基盤に加え、海外成長戦略と積極的な資本政策を両立できるかが、今後の東京海上HD株の評価を左右することになりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」では、今後も最新情報を発信してまいります。
ぜひ、STOCK EXPRESS トップページをブックマークしてご購読くださいませ。
▼記事更新通知は 私のXにて♪
https://x.com/shun699
【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Tokio Marine Boosts Shareholder Returns Despite Profit Decline
TOKYO — Tokio Marine Holdings (8766.T) reported a 7.1% decline in net profit for fiscal 2025, while unveiling stronger shareholder return measures including higher dividends and a large-scale share buyback.
The Japanese insurer posted net profit attributable to shareholders of ¥980.4 billion for the year ended March 2026, down from the previous year, as higher investment-related costs and weaker domestic non-life insurance earnings weighed on results.
Fourth-quarter profit dropped sharply, falling 49.3% year-on-year to ¥81.1 billion.
Despite the earnings decline, Tokio Marine raised its annual dividend for FY2025 to ¥218 per share from ¥211 previously announced. The company also plans to increase the FY2026 dividend to ¥245 per share, signaling confidence in its capital position.
In addition, the insurer approved a share buyback of up to 130 million shares, or roughly 6.9% of shares outstanding, with a total value of up to ¥200 billion. The repurchase program will run from May 21 to December 23.
Tokio Marine said overseas insurance operations remained a key growth driver, with overseas segment profit rising during the fiscal year. The company also continued expanding through U.S. acquisitions, including deals in specialty auto insurance and agricultural risk solutions.
Looking ahead, Tokio Marine forecast FY2026 net profit of ¥830 billion under IFRS accounting standards, which the company will adopt starting next fiscal year.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





コメント