― 政治不透明化で外国人マネーが一時退避する可能性も ―
2025年10月9日(東京)——
自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出されたことを受け、東京市場では“高市ラリー”が鮮明になっています。
財政拡張や成長重視の政策への期待を背景に、日経平均株価は最高値を更新し、為替は1ドル=150円台と円安が進行しました。市場関係者の間では新たなリーダー像に対する期待感が強く、特に防衛、半導体、AI関連銘柄を中心に買いが集まっています。
一方で、もし高市氏が次期首相に就任できなかった場合、政策の一貫性が崩れ、“期待相場の反動”が起こる可能性もあるのではないでしょうか。確かに自民党の総裁にはなりましたが、少数与党であるため、このままイコール総理大臣就任ではないのです。長年連立を組んできた公明党が離脱する可能性もありますし、その他の政党とも連立を組めない可能性もあります。もちろん、私も株主としてこのまま高市総理大臣になっていただくことが理想ではありますが、万が一のシナリオも考えて対策を練っておきたいものです。
以下にて考えていきましょう。
高市ショックと円安ラリーの構図
今回の株高と円安の背景には、「積極財政」と「経済安全保障」への政策期待があります。高市氏は総裁選期間中から、成長分野への大胆な国家投資を掲げており、半導体、AI、防衛産業、再生可能エネルギー関連などが相次いで物色されました。
ただし、為替市場では円安のスピードが速く、財務省が「過度な変動への警戒」を示すなど、為替介入の可能性も意識されています。市場では「期待先行の相場ではないか」との声も聞かれます。
「総理になれなかった」場合の市場シナリオ
政治アナリストの間では、高市氏が総理に就任できなかった場合のリスクを懸念する声も出始めました。
党内の調整が難航したり、派閥間の対立が長引いたりすれば、経済政策の方向性が不明確になり、投資家心理の冷え込みが避けられないという見方です。
「現在の株高・円安は“高市首相シナリオ”を織り込み過ぎている印象があります。
仮に他候補との調整がこじれて政治空白が生じれば、短期的に円高・株安へ反転するリスクが高いでしょう」
(大手外資系証券チーフストラテジスト)
市場では、総理選びが長期化すれば外国人投資家の短期資金が一時的に日本市場から流出し、
日経平均で5〜10%の調整、為替で145円台への円高戻しが起こる可能性を指摘する声もあります。
セクター別の明暗
セクター
(1)期待シナリオ(高市首相成立の場合)
(2)逆シナリオ(総理不成立の場合)
・半導体・電子部品
– (1) 国家投資拡大で上昇継続
– (2) 利益確定売りが出やすい
・防衛関連
– (1) 政策継続で買い優勢(三菱重工、IHI)
– (2) 予算見直し観測で一服
・AI・DX
– (1) 政府主導プロジェクト拡大期待
– (2) 成長支援政策後退で売り圧力
・輸出株
– (1) 円安恩恵で上昇
– (2) 円高反転時に利益圧迫
・内需・ディフェンシブ
– (1) 出遅れ感から資金循環
– (2) 政治不透明時の資金逃避先(食品・通信など)
短期資金が集中しているグロース株や中小型株は、総理選の混迷時に大きく値動きする可能性がありそうです。
一方で、高配当株やディフェンシブ銘柄(NTT、KDDI、JTなど)は、リスク回避先として再評価される動きが出てくる可能性が高そうです。
投資家への示唆:ポジション再点検のタイミング
為替リスクと政治リスクが同時に意識される局面では、ポートフォリオの分散が鍵を握ります。
市場関係者の間では「期待相場のピークを意識すべき」との警戒感が高まっています。
「政策期待だけで上昇している銘柄は、一度ポジションを見直す時期にきています。
政策の実行力や財政バランスが見えなければ、上昇分が剥落する可能性があります」
(国内大手運用会社ファンドマネージャー)
円高方向への反転が見られる場合、外需株中心のポートフォリオは短期的な調整が避けられません。
その一方で、生活必需品や通信、インフラなどのディフェンシブ銘柄を中心とした再構築は、政治不透明期におけるリスクヘッジとして有効とみられます。
為替と債券市場の連動にも注目
円安トレンドの背景には、日米金利差の継続もあります。
ただし、政権不安によって市場がリスクオフに傾いた場合には、
一時的な円買い戻し(円高)と国債利回り上昇が同時に進む可能性があります。
こうした局面では、外国人投資家による債券売りと株売りが重なりやすく、
市場のボラティリティが一段と高まることが懸念されます。
総括:「期待の熱狂」から「現実の調整」へ
高市氏の登場によって、日本市場は久々に“政策期待”という明確なストーリーを得ました。
しかし、市場が最も嫌うのは“方向感の喪失”です。
高市氏が総理に就任できなかったり、政策の軸がぶれたりすれば、
投資家が一斉にポジションを調整する可能性があります。
「期待の熱狂の後に訪れる冷静さこそ、真の投資機会です」
―― 外資系ストラテジストの言葉が、今の東京市場をよく表しているのではないでしょうか。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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公明党の斉藤鉄夫代表が自民党との連立から離脱する方針を明らかにしました。
ちょうど15:30を過ぎており、日中の取引は終了しておりましたが、この報道を受けて、時間外取引で日経平均株価が急落しております。一方、公明党は”首相指名選挙では「斉藤鉄夫」と記し、野党には投票しない。”旨も明言しております。これは高市総理誕生の道を阻むものではない、という見方もできると思います。日経平均の時間外が下落しつつも大幅には落ちていないのは、この点によるものではないでしょうか。
決選投票で野党がどのような動きをするのか、注目が高まります。野党の一本化が難しそうなので、結果的に高市総理が誕生しそうではありますが、果たしていかに!?
政治と株は密接な関係もあり、ウォッチしていきたいと思います。
いや〜、実にドラマティックな展開で、毎日楽しいですよね。
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▼日経平均株価(2025年10月10日 16:10)

日経平均株価(2025年10月10日 16:10)





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