トランプ政権「TACO理論」との賢い付き合い方とは・・・

トランプ政権「TACO理論」との賢い付き合い方とは・・・ 政治と株価

いやぁ、今朝の寝起きで知った株価暴落には驚きました(今朝の記事参照:日経平均先物 株価暴落、政局混迷と米中対立が直撃)。主な要因は、米国トランプ大統領が対中関税引き上げの警告するとともに、米中首脳会談の中止に言及したことによるものです。ところが、先程、トランプ大統領は米中首脳会談を「中止していない」 と語り、大きく報じられています。また、いつものパターンですかね(笑。ウォール街や国際金融界で最近話題となっている用語に、「TACO理論(Trump Always Chickens Out:直訳すれば“トランプ大統領はいつも尻込みする”)」があります。これは、トランプ大統領が大幅な関税や強硬な通商政策を打ち出した後、市場や関係国からの反発や逆風を前に方針を軟化・撤回する傾向を皮肉をこめて表現したもの。このネーミングを最初に用いたのは、英紙「Financial Times」のコラムニスト、ロバート・アームストロング氏で、2025年5月付けのオピニオン記事中で登場しました。彼は、トランプ政権が「関税を引き上げると脅す → 市場混乱 → 政策を引き下げる」というパターンを繰り返していると指摘し、その構図を「TACO理論」として定式化しました。トランプ大統領自身は、この「TACO」という呼称に対して強い反発を示しており、記者会見で「そんな呼び方は二度と言うな」「交渉と呼ばれるものだ」などと述べています。

TACO理論の典型的パターンと実例

TACO理論が指摘する典型的な流れは、以下のようなサイクルです:
・1.大統領が強硬な関税政策や相互主義的通商政策を発表
・2.市場や企業、輸出相手国などから反発が強まり、株価の急落や為替の変動が生じる
・3.プレッシャーを受けて、政権側が関税案の延期、削減、修正といった「軟化措置」を公表
・4.市場がそれを好感して反発し、株価などが戻す局面が出現

このようなパターンを過去の通商政策発表・撤回事例で紐解くことで、TACO理論が現実に投資家心理や市場動向に影響を与えていることが観察されます。

具体的な例としては:
・中国に対する報復関税の提案を「145%」と非常に強硬に打ち出した後、交渉の余地を残して30%程度に下げる軟化を示した動き
・EU向け50%関税案を掲げた後、直前に発効を延期することで実際には強硬さを後退させたこと
・「解放の日(Liberation Day)」関税として全世界へ10%、中国へは30%という大規模な関税政策を発表したものの、発効を10%に縮小する方向に舵を切った事例

これら一連の政策転換は、TACO理論を表す“典型例”としてしばしば引用されます。

投資家としての含意と戦略的視点

TACO理論が投資家に与える示唆は、単なる風刺や揶揄にとどまらず、実際に市場行動や戦略に組み込まれつつあります。

含意その1:政策リスクの反応を先読みする

トランプ政権が関税や通商政策を打ち出した際、投資家はただ「強硬路線かどうか」に反応するだけでは不十分です。むしろ、政策の実効性や持続性、撤回リスクを織り込むことが重要になります。TACO理論はそのような“逆張りの可能性”を念頭に置く視点を提供します。

含意その2:TACOトレードの可能性

一部のトレーダーはこれを「TACOトレード(TACO Trade)」と呼び、次のような戦略を取ることがあります:
・強硬政策発表直後に、警戒で売りポジションを取る
・政策軟化や撤回が出始めた段階で買い戻し、または反発を期待してロングに転じる

このようなサイクルを戦略的に利用することで、政策発表をきっかけにした短期的な利益機会を捉えようとする動きがあります。
ただし、これはあくまで短期志向のトレード戦略であり、制度変更や長期投資を目的とするポートフォリオ運用とは異なるリスクも伴います。

含意その3:過度な楽観は禁物

TACO理論が広まり始めたこと自体、ある種の“予測可能性”を市場にもたらす可能性がありますが、それが過信につながると危険です。日本の大手シンクタンクのレポートでも、「TACO理論に基づく過度な楽観の落とし穴」が指摘されており、政策の揺らぎと不確実性は残り続ける点に警戒を促しています。
また、TACO理論を用いることで、トランプ政権の政策姿勢を単純化しすぎ、裏にある戦略的・構造的な思惑を見落とすリスクもあります。たとえば、保護主義的な方向性自体は一貫しており、強硬なポーズこそ撤回するが、譲歩させるための交渉戦略である可能性も、一部のアナリストは指摘しています。

見通しと留意点

TACO理論は、トランプ政権下における通商政策の揺れ動きや市場反応を理解するうえで興味深い枠組みを提供します。ただし、以下の点には注意が必要でしょう:
普遍性の限界:全ての政策発表・転換がTACO理論で説明できるわけではなく、強硬姿勢が貫かれるケースも存在し得ます。
先読みの難しさ:市場の反応予測や政策転換時期の判断は容易ではなく、短期トレード戦略には高い情報収集能力が求められます。
構造的変化の可能性:TACO理論がマーケットに広く認知されたことで、政権側も逆手をとってこの予測を“誘導”しようとするかもしれません。

とはいえ、投資家視点からは、通商政策や関税発表が市場に与えるショックを “出尽くし型” の反発を念頭において観察するという視点を持つことは、有益な補助線となるでしょう。

ということでですね、現在の株価暴落についても、TACO理論で説明のつく要素が大きいかなと思っており、週明けの相場が始まる頃にはある程度回復していそうですよね。もし回復していなければ、私は買い増しをしようかと思っておるところです。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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【続報】
(2025年10月13日)
今回も案の定、TACO理論で説明できる展開となりそうです(笑。
トランプ大統領がSNSで下記投稿をしてくれました。「Don’t worry about China, it will all be fine! Highly respected President Xi just had a bad moment. He doesn’t want Depression for his country, and neither do I. The U.S.A. wants to help China, not hurt it!!! President DJT」

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【STOCK EXPRESS(ストックエクスプレス)】(略称:STOCK.EX)株主視点の経済ニュース考察を発信してまいります!
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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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