【住友金属鉱山 決算発表】純利益3.2倍のロケットスタート!銅・金高と円安追い風に通期予想を55%上方修正

【住友金属鉱山 決算発表】純利益3.2倍のロケットスタート!銅・金高と円安追い風に通期予想を55%上方修正 住友グループ

第1四半期の純利益は879億円、前年同期比3.2倍に急拡大

住友金属鉱山株式会社(5713、東証プライム)が2026年8月10日後場(14:30)に発表した「2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結決算」は、銅や金を中心とする非鉄金属価格の上昇と円安が大きな追い風となり、売上高、税引前利益、純利益のいずれも前年同期を大幅に上回りました。併せて、「2027年3月期の通期連結業績予想」を大幅に上方修正しており、投資家にとってサプライズ感の強い決算となりました。

国際会計基準(IFRS)に基づく第1四半期の売上高は、前年同期比42.3%増の5,401億1,000万円となりました。税引前利益は同211.4%増の1,180億4,000万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同220.5%増の879億3,500万円に達しています。1株当たり四半期利益も、前年同期の100.27円から326.62円へ大きく増加しました。

前年同期の親会社帰属利益が274億3,800万円だったことから、今期第1四半期の純利益は約3.2倍に拡大した計算です。単なる増収にとどまらず、金属価格や為替の変動が利益に強く反映され、売上高の伸び率を大きく上回る増益率を記録した点が今回の決算の特徴です。

銅・金価格の上昇と円安が利益を押し上げ

業績を押し上げた最大の要因は、主要な非鉄金属価格の上昇です。第1四半期の平均銅価格は前年同期の1トン当たり9,519ドルから13,324ドルへ上昇しました。金価格も1トロイオンス当たり3,280.3ドルから4,516.4ドルへ上昇し、ニッケル価格は1ポンド当たり6.88ドルから8.24ドルへ上昇しています。

銅については、各地の銅鉱山で発生した生産トラブルからの復旧の遅れによって銅精鉱の供給が不足したことに加え、AI向けデータセンターをはじめとするインフラ投資需要が旺盛だったことが価格上昇につながりました。電力網、送配電設備、データセンターなどでは大量の銅が使用されるため、AI関連投資の拡大は半導体だけでなく、銅を供給する資源企業にも波及しています。

ニッケル価格については、インドネシア政府による鉱石採掘量割当の削減や、中東情勢の混乱を背景とした硫黄価格の高騰、それに伴う生産減少が相場を下支えしました。金価格も前年同期の平均を大きく上回り、住友金属鉱山が保有する国内外の金鉱山の採算改善に寄与しました。

為替も重要な増益要因です。第1四半期の平均為替レートは前年同期の1ドル=144.60円から159.50円へ円安が進みました。ドル建てで取引される銅や金などの販売収入は、円換算時に円安の恩恵を受けます。資源価格の上昇と円安が同時に進行したことで、同社の利益には二重の追い風が吹いた格好です。

海外鉱山の安定操業で資源事業の利益はほぼ倍増

資源セグメントの売上高は前年同期比58.8%増の915億6,800万円、セグメント利益は同98.7%増の712億7,500万円となりました。銅や金の市況上昇に加え、チリのケブラダ・ブランカ銅鉱山やカナダのコテ金鉱山など、同社が権益を保有する主要鉱山がおおむね安定的に操業したことが寄与しました。

米国のモレンシー銅鉱山では、順調な操業を背景に生産量が前年同期を上回る7万3,000トンとなりました。ペルーのセロ・ベルデ銅鉱山は前年同期並みの9万5,000トンを生産し、ケブラダ・ブランカ銅鉱山の生産量は前年同期を上回る5万4,000トンとなりました。

カナダのコテ金鉱山は前年同期並みの2.3トンを生産しました。国内の菱刈鉱山も年間販売金量3.5トンに向けた操業を継続し、第1四半期の販売金量は1.1トンとなっています。

資源価格が上昇しても、鉱山の生産トラブルや品位低下などによって販売数量が伸びなければ、十分な利益を確保できない場合があります。今回の決算では、市況の追い風を受ける一方、主要鉱山が概ね順調に稼働したことで、価格上昇のメリットを業績に取り込むことができました。

製錬事業は赤字から365億円の黒字へ転換

製錬セグメントの売上高は前年同期比44.1%増の4,143億1,700万円となり、セグメント損益は前年同期の37億7,600万円の赤字から364億8,800万円の黒字へ大幅に改善しました。

円安の進行と非鉄金属価格の上昇によって、在庫評価損益などが好転したことが主な要因です。製錬事業は資源価格や為替の変動が在庫評価を通じて損益に反映されやすく、今回の市場環境が収益改善に強く作用しました。

一方で、主要製品の生産量自体は前年同期を下回っています。銅の生産量は前年同期の10万9,383トンから10万6,560トンへ減少し、金は3,227キログラムから2,621キログラム、電気ニッケルは1万6,469トンから1万5,113トン、フェロニッケルは1,292トンから1,047トンへそれぞれ減少しました。

このため、製錬事業の急回復は数量の拡大よりも、金属価格と為替、在庫評価損益の改善による部分が大きいとみられます。今後の投資判断では、製品生産量の回復に加え、現在の市況と為替水準がどこまで持続するかを見極める必要があります。

材料事業にもAIデータセンター需要の追い風

材料セグメントも好調でした。売上高は前年同期比28.9%増の896億1,900万円、セグメント利益は同263.9%増の91億7,000万円となっています。

電池材料の販売が底堅く推移したほか、電子部品向け部材では、AI向けデータセンター用途の粉体材料やデバイス材料を中心に販売が好調でした。住友金属鉱山というと銅、金、ニッケルなどの資源・製錬事業が注目されやすいものの、今回の決算では材料事業も利益成長に貢献しています。

車載用電池材料については、一部の国や地域における政策見直しなどから市場の成長に不透明感が残りますが、会社側は中長期的には需要が緩やかに拡大すると予想しています。また、生成AIの普及に伴うデータセンター投資は引き続き拡大が見込まれ、電子部品向け部材が市況依存度の高い資源・製錬事業を補完できるかが今後の注目点となります。

通期純利益予想を1,390億円から2,160億円へ55.4%上方修正

住友金属鉱山は、第1四半期の好調な実績や足元の非鉄金属価格、為替動向、生産・販売計画を踏まえ、2027年3月期の通期連結業績予想を引き上げました。

売上高予想は従来の1兆8,830億円から2兆650億円へ1,820億円増額されました。税引前利益予想は2,290億円から3,240億円へ950億円増額され、当期利益予想は1,560億円から2,370億円へ引き上げられています。

親会社の所有者に帰属する当期利益予想は、従来の1,390億円から2,160億円へ770億円、率にして55.4%の大幅な上方修正となりました。前期実績の1,762億9,000万円に対して22.5%の増益を見込むことになり、従来の減益予想から一転して増益予想へ転換しています。基本的1株当たり当期利益の予想も518.08円から803.95円へ引き上げられました。

参照情報にあるQUICKコンセンサスと比較すると、会社側の親会社帰属利益予想2,160億円は市場予想平均の2,084億1,100万円を上回ります。売上高予想2兆650億円も市場予想平均の2兆382億200万円を上回り、税引前利益予想3,240億円についても市場予想平均の2,983億5,800万円を上回っています。会社計画が市場予想を上回ったことは、株価評価を考えるうえで重要なポイントになりそうです。

資源・製錬・材料の全事業で利益計画を引き上げ

今回の上方修正は、一部事業だけに依存したものではありません。通期のセグメント利益予想について、資源事業は従来の1,960億円から2,560億円へ、製錬事業は240億円から630億円へ、材料事業は40億円から180億円へそれぞれ引き上げられました。

資源事業では銅・金価格の上昇と鉱山の安定操業、製錬事業では円安や金属価格上昇に伴う在庫評価損益の改善、材料事業ではAIデータセンター向け需要などが寄与する見通しです。特に製錬事業と材料事業の修正率が大きく、資源価格だけでは説明できない利益改善も盛り込まれています。

第1四半期の進捗率は、修正後の通期予想に対して売上高が約26.2%、税引前利益が約36.4%、親会社帰属利益が約40.7%です。上方修正後の計画に対しても、純利益は第1四半期の段階で4割を超えており、非常に力強いスタートを切ったと評価できます。

営業キャッシュ・フローも629億円の黒字に改善

利益の拡大に加え、キャッシュ・フローも改善しました。第1四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは629億7,200万円の黒字となり、前年同期の6億1,700万円の赤字から大きく回復しました。税引前利益の増加や、棚卸資産の増加幅が前年同期より縮小したことなどが寄与しています。

投資活動によるキャッシュ・フローは194億4,600万円の支出となったため、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを差し引いた単純計算のフリーキャッシュ・フローは約435億円のプラスとなります。利益だけでなく、実際の現金創出力が改善した点は投資家にとって評価材料です。

一方、同社は第1四半期に自己株式の取得で約200億円を支出しました。2027年3月期の年間配当予想は、中間103円、期末104円の合計207円で据え置かれています。今回の業績上方修正に伴う増配は発表されていませんが、業績の進捗や資源価格の動向によっては、今後の株主還元方針にも関心が集まりそうです。

会社想定は第2四半期以降の市況をやや慎重に設定

好決算である一方、会社側は第1四半期の好環境がそのまま年間を通して続くとは想定していません。通期予想の前提は、銅価格が1トン当たり12,706ドル、ニッケル価格が1ポンド当たり7.68ドル、金価格が1トロイオンス当たり4,204.1ドル、為替が1ドル=159.87円です。

第2~第4四半期の想定価格は、銅が1トン当たり12,500ドル、ニッケルが1ポンド当たり7.50ドル、金が1トロイオンス当たり4,100ドルです。いずれも第1四半期の実績を下回る水準に設定されており、少なくとも商品市況については一定の慎重さを残した計画といえます。

銅需給について会社側は、インドネシアにおける銅鉱山の復旧による供給増加と、中東情勢が景気や需要の伸びに与える悪影響を考慮し、通期では供給過多で推移する可能性を見込んでいます。一方、ニッケルについては、インドネシア政府の鉱石採掘量割当制限や硫黄の調達難などにより、供給過多が解消に向かうと予想しています。

投資家が注視したい資源価格・為替・AI需要の持続性

今回の決算は、純利益が前年同期の約3.2倍に拡大し、通期予想も大幅に引き上げられたという点で、非常に強い内容です。資源、製錬、材料の3事業すべてが利益成長に貢献し、営業キャッシュ・フローも大きく改善しました。

ただし、業績拡大に占める銅・金価格と円安の寄与は大きく、市況や為替が反転した場合には利益予想が変動する可能性があります。特に製錬事業では主要製品の生産量が前年同期を下回っており、今回の利益改善には在庫評価損益などの影響も含まれています。

今後は、銅や金の価格が会社想定を上回って推移するか、海外鉱山の安定操業が続くか、円相場が業績の追い風となる水準を維持するかが焦点です。それに加えて、AIデータセンター向け材料の需要拡大が継続し、資源市況に左右されにくい収益源へ成長できるかも、中長期的な企業価値を評価するうえで重要になります。

第1四半期の高い利益進捗率は、今後の業績上振れ余地を意識させるものです。一方、会社側が第2四半期以降の金属価格を第1四半期より低く設定していることから、投資家には、市況の持続性と会社計画に織り込まれた慎重さの双方を見極める姿勢が求められます。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

Sumitomo Metal Mining Posts 3.2-Fold Profit Growth and Raises Full-Year Forecast by 55%

Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. (TSE: 5713) reported strong results for the first quarter of the fiscal year ending March 2027. Revenue increased 42.3% year on year to ¥540.1 billion, while profit attributable to owners of the parent surged 220.5% to ¥87.9 billion.

The performance was driven by higher copper, gold and nickel prices, a weaker yen, and generally stable operations at major overseas mines. The Resources segment nearly doubled its profit, while the Smelting segment recovered from a loss to a profit of ¥36.5 billion. The Materials segment also benefited from strong demand for components used in AI data centers.

The company raised its full-year revenue forecast from ¥1.883 trillion to ¥2.065 trillion. Its forecast for profit attributable to owners of the parent was lifted by 55.4%, from ¥139.0 billion to ¥216.0 billion. This represents expected year-on-year growth of 22.5%.

First-quarter attributable profit has already reached approximately 40.7% of the revised full-year forecast. However, future performance remains sensitive to metal prices, foreign exchange rates, mine operations and geopolitical developments. The company also assumes somewhat lower copper, nickel and gold prices for the remaining three quarters than the levels recorded in the first quarter.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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