スクイーズアウト(squeeze-out)とは
スクイーズアウトとは、企業が完全子会社化を目的として、少数株主から株式を強制的に取得する手続きのことをいいます。英語で “squeeze out”(締め出す・押し出す)という言葉の通り、上場企業がTOB(株式公開買付)などを経て発行済み株式の大半を取得したあと、残る少数株主の持ち株を買い取り、最終的に全株式を取得して非公開化する際に行われます。
なぜスクイーズアウトを行うのか
企業がスクイーズアウトを実施する主な目的は次のとおりです。
1.経営の一体化と意思決定の迅速化
株主が一社(親会社)に集中することで、経営判断を迅速に行えるようになります。グループ内の再編や戦略転換を進めやすくなる点が大きなメリットです。
2.上場維持コストの削減
上場企業である場合、IR(投資家向け広報)や監査対応などに多くのコストが発生します。完全子会社化により、こうしたコストを削減できます。
3.グループ経営の最適化
親会社の意向をより直接的に反映できるようになるため、事業ポートフォリオの整理やシナジー効果の最大化を図ることができます。
どのように実施されるのか
スクイーズアウトの具体的な方法はいくつかありますが、主に次の2つが代表的です。
1.株式併合方式
既存の株式を一定の比率で併合し、端数となる少数株主の株を現金で買い取る方法です。親会社が議決権の3分の2以上を保有していれば、株主総会の特別決議で実施できます。
2.特別支配株主による株式等売渡請求制度
議決権の90%以上を保有する株主(特別支配株主)は、残りの株主に対して株式の売却を請求できます。この制度を使うと、比較的スムーズに完全子会社化を進められます。
投資家にとっての影響
スクイーズアウトが行われると、少数株主は強制的に株式を売却することになります。売却価格は一般的にTOBで提示された価格、またはそれに準じる水準に設定されます。
そのため、TOB期間中に応募しなかった株主も最終的には現金化されることになります。
ただし、投資家として注意すべき点は、
・提示価格が「公正な水準」かどうか(独立した第三者評価機関の意見が参考になります)
・スクイーズアウト後は株式が上場廃止となり、流動性を失う点
などです。
まとめ
スクイーズアウトは、企業がグループ経営の一体化を進めるための最終ステップです。
少数株主にとっては選択の余地が限られる一方で、企業全体の効率化や再編の加速につながる動きでもあります。投資家としては、TOB発表時点で提示される条件や今後のスケジュールをしっかり確認し、公正な価格かどうかを判断することが重要です。