最終利益は52.8%増、通期計画に対する進捗率は37%
SOMPOホールディングス(東証プライム 8630)は8月14日大引け後(15:30)、「2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結決算」(国際会計基準=IFRS)を発表しました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比52.8%増の1,811億円となり、通期計画4,900億円に対する進捗率は37.0%に達しました。前年同期時点の通期実績に対する進捗率18.5%も大きく上回る、力強い立ち上がりです。
保険収益は前年同期比28.0%増の1兆6,169億円、税引前四半期利益は同59.3%増の2,403億円、四半期利益は同52.4%増の1,819億円となりました。海外保険事業の拡大などを背景に保険収益が大きく伸びたほか、保険引受の採算改善と金融損益の増加が利益を押し上げました。
保険サービス損益は前年同期から234億円増加し、1,215億円となりました。投資損益から保険金融損益を差し引いた金融損益も、前年同期から798億円増加して1,463億円に拡大しています。保険本業の改善に加え、資産運用面も大幅増益に寄与した格好です。
もっとも、IFRSベースの当期利益には市場変動や保険負債の割引率変動などの影響が含まれます。このため、SOMPOホールディングスの基礎的な収益力を確認するうえでは、会社が重視する「修正連結利益」の動向も併せて見る必要があります。
本日の決算発表内容について、以下にて詳しく見ていきましょう!!
修正連結利益は1,197億円、第1四半期として過去最高
市場変動や一時的な損益などを調整した修正連結利益は、前年同期比20%増となる1,197億円でした。増加額は199億円で、第1四半期として過去最高益を更新しています。通期予想5,000億円に対する表面上の進捗率は24%です。
同社によると、IFRSでは保険事故が発生する季節性を考慮して保険収益を認識するため、事故が比較的少ない第1四半期は、通期と比べて保険収益が低くなりやすい傾向があります。この季節性を除いて算出した修正連結利益は1,390億円となり、実質的な進捗率は28%に上昇します。会社側が「通期予想に対して順調な進捗」と評価しているのは、この会計上の季節性を考慮しているためです。
事業別では、損害保険を中心とする「SOMPO P&C」の修正利益が前年同期比244億円増の1,126億円となりました。このうち国内損保事業は99億円増の440億円、海外保険事業は145億円増の686億円です。一方、国内生命保険と介護を含む「SOMPOウェルビーイング」の修正利益は5億円増の171億円でした。
修正連結利益とIFRSベースの連結当期利益には614億円の差があります。国内損保における市場変動や、海外保険における保険負債の割引影響、国内生保の市場変動などがIFRS利益を押し上げました。1,811億円という最終利益の伸びは評価できますが、持続的な収益力を判断する際には、過去最高となった修正連結利益1,197億円を中心に見るのが妥当でしょう。
国内損保は料率適正化が奏功、ベース収支が約200億円改善
今回の決算で最も注目されるのは、国内損保事業の収益力改善です。料率の適正化とアンダーライティングの強化が効果を発揮し、自動車保険、火災保険、新種保険を合わせたベース収支は、前年同期から約200億円改善しました。
改善額の内訳は、自動車保険が約60億円、火災保険が約95億円、新種保険が約45億円です。自動車保険や企業分野の商品改定が保険収益の増加につながったほか、火災保険では商品改定と引受条件の見直しが採算改善に寄与しました。国内損保事業の保険収益は前年同期比115億円増の6,566億円、IFRSベースの四半期利益は379億円増の704億円となっています。
国内損保の中核会社である損害保険ジャパン単体では、修正利益が前年同期比94億円増の437億円となりました。通期予想1,786億円に対する進捗率は24%ですが、IFRS特有の季節性を除いた修正利益は630億円、進捗率は35%となり、実態としては順調な水準です。
保険サービス損益は前年同期比125億円増の326億円となりました。2026年6月に発生した台風6号などにより国内自然災害の影響が約109億円悪化したものの、自然災害を除く収支は約235億円改善しました。自然災害という外部要因を吸収しながら増益を確保した点は、国内損保の基礎収益力が高まっていることを示しています。
国内損保の保険収益は、再保険調整後で前年同期比272億円増の5,365億円でした。火災、海上、傷害、自動車、その他のすべての種目で増収を確保しており、特に自動車保険は商品改定を主因として155億円増えています。単純な保険料収入の拡大だけでなく、採算を意識した増収になっている点が重要です。
国内損保のコンバインド・レシオは93.9%へ改善
国内損保の収益改善を象徴する指標が、保険金と事業費が保険収益に占める割合を示すコンバインド・レシオです。自賠責保険と家計地震保険を除く第1四半期のコンバインド・レシオは93.9%となり、前年同期の96.1%から2.1ポイント改善しました。
内訳を見ると、損害率は前年同期の61.6%から60.1%へ1.5ポイント低下し、事業費率も34.5%から33.8%へ0.7ポイント改善しています。自然災害による悪化影響が2.0ポイントあった一方、ベース損害率の改善が3.5ポイント、手数料率の低下が0.6ポイントの改善要因となりました。
コンバインド・レシオが100%を下回る状態は、保険引受が黒字であることを意味します。今第1四半期は自然災害の負担が増えたにもかかわらず、93%台まで低下しました。料率適正化による効果が保険金支払いの増加を上回り、引受採算に反映され始めたことは、中期的な利益成長を考えるうえで前向きな材料です。
ただし、会社が見込む国内損保の通期コンバインド・レシオは92.9%で、前年度実績91.0%からは1.8ポイント上昇する計画です。第1四半期の改善だけで年間の採算向上を断定するのではなく、今後の台風や豪雨などによる自然災害、自動車保険の修理費上昇、インフレによる保険金単価への影響を継続して確認する必要があります。
海外保険は大幅増収、Aspenの連結効果が表面化
海外保険事業も利益成長をけん引しました。海外保険事業の保険収益は前年同期比3,318億円増の8,947億円、IFRSベースの四半期利益は163億円増の928億円となりました。修正利益は145億円増の686億円です。
海外保険の中核であるSompo International Holdingsの保険収益は、米ドルベースで前年同期比42.4%増の55億4,900万ドルに拡大しました。コマーシャル部門は31.2%増、再保険部門は91.8%増、コンシューマー部門は13.4%増となり、すべての事業区分で増収を確保しています。
増収の大きな要因となったのがAspenの連結効果です。専門職業人向け保険やカジュアルティ、再保険などで買収効果が加わりました。海外保険の修正利益も、Aspenの連結効果と投資損益の改善に支えられ、米ドルベースで前年同期の3億7,200万ドルから4億2,300万ドルへ増加しました。
SOMPOホールディングス全体の海外保険事業では、運用資産の拡大による投資損益の改善が約200億円の増益要因となりました。一方、ポートフォリオミックスの変化や大口事故などが約55億円の減益要因となっています。海外保険の利益成長は鮮明ですが、その相当部分を投資収益が支えていることには注意が必要です。
同社は2026年7月に、Service Insurance Companies社とFator Seguradora社に関するボルトオンM&Aも公表しています。Aspenの統合に加え、地域や商品分野を補完する買収を重ねることで、海外保険をグループの成長エンジンとして拡大する方針がうかがえます。
海外の引受採算は悪化、コンシューマー部門に注意
海外保険事業については、増収増益という表面的な数字だけでなく、保険引受の採算を慎重に確認する必要があります。割引影響を含むコンバインド・レシオは前年同期の85.7%から87.6%へ1.9ポイント上昇しました。なお、数値が低いほど保険引受の採算が良いことから、これは収益性の悪化を意味します。
事業別では、コマーシャル部門が前年同期の88.0%から88.4%へ、再保険部門が75.2%から77.1%へ上昇しました。特にコンシューマー部門は97.3%から117.9%へ20.6ポイント悪化し、100%を大きく上回っています。トルコの自動車保険におけるインフレの影響が主因です。
海外保険全体では、ポートフォリオミックスの変化や大口事故も損害率の上昇要因となりました。割引影響を除くコンバインド・レシオは前年同期の94.0%から97.4%へ3.4ポイント上昇しています。現時点では全体として保険引受黒字を維持していますが、投資損益の改善を除いた場合の収益力については、今後の四半期で見極める必要があります。
投資家にとっては、Aspenの連結による規模拡大と利益貢献が続くかだけでなく、買収後の統合効果、保険料率の動向、大口事故、インフレ影響、コンバインド・レシオの推移が重要な確認項目となりそうです。
国内生保は修正減益、介護事業は増収増益
国内生命保険事業では、保険収益が前年同期比1億円増の644億円、IFRSベースの四半期利益が93億円増の149億円となりました。一方、市場変動などを除いた修正利益は、前年同期比4億円減の138億円でした。
修正利益では、保険契約サービスマージン(CSM)の償却益減少や事業費の増加が負担となり、投資損益の改善で一部を補いました。IFRS利益は市場要因によって大きく増加したものの、基礎利益の面では小幅減益であり、生命保険事業の成長性を評価する際には契約価値や新契約動向を含めた確認が必要です。
介護事業は、その他の営業収益が前年同期比12億円増の467億円、四半期利益が10億円増の28億円となりました。修正利益は9億円増の32億円です。売上高の増加などが利益を押し上げ、国内生保の減益を補いました。
国内生保と介護などを合わせたSOMPOウェルビーイングの修正利益は171億円で、前年同期比5億円増となりました。損保事業と比べれば利益規模は小さいものの、保険以外の収益源を育成し、グループの事業構成を多様化する役割を担っています。
政策保有株式は746億円を削減、年間計画の30%まで進捗
資本効率の改善に向けた政策保有株式の削減も進展しました。第1四半期の削減額は746億円となり、年間計画である2,500億円以上に対する進捗率は約30%に達しています。
政策保有株式の売却は、株価変動リスクの縮小と資本効率の向上につながります。売却で得た資金を成長投資や株主還元に振り向ける余地も広がるため、投資家にとって重要な資本政策です。政策株式の削減は経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)を約3ポイント押し上げる要因となりました。
2026年6月末のESRは276%で、2026年3月末の270%から6ポイント上昇しました。会社が示すターゲット資本水準200%を十分に上回っており、資本の健全性には余裕があります。利益の積み上げがESRを約5ポイント押し上げたほか、為替などの市場変動もプラスに寄与しました。
年間配当予想は、前期の1株150円から200円へ増配する計画を据え置きました。中間配当100円、期末配当100円を予定しており、年間では50円、率にして約33%の増配となります。高水準の資本余力、政策保有株式の売却、安定した利益創出が、今後の株主還元を支える構図です。
通期予想は据え置き、上方修正余地を見極める段階
SOMPOホールディングスは、2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。保険収益は前期比19.3%増の6兆4,100億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同23.4%減の4,900億円を見込んでいます。修正連結利益の予想も5,000億円で変更ありません。
前期の利益には国内外の自然災害・大口事故の減少など一過性のプラス要因が含まれていたため、今期の修正連結利益予想は前期実績5,352億円を下回ります。ただし、平年値ベースで比較すると、今期予想5,000億円は前期の4,375億円に対して625億円程度の増益となります。国内損保のベース収支改善やAspenの連結効果を考慮すれば、実質的には収益力の向上を見込む計画です。
第1四半期の最終利益は通期計画の37%に達しましたが、修正連結利益の進捗率は24%、季節性調整後では28%です。この段階で通期予想を引き上げなかったことは、台風シーズンを前に自然災害リスクを慎重に見積もっているためと考えられます。海外での大口事故や市場変動、為替、金利の影響も大きいため、会社側としては上方修正を急がず、今後の動向を見極める姿勢なのでしょう。
投資家視点では「国内損保の質」と「海外保険の採算」が焦点
今回の決算は、最終利益の大幅増加に加え、修正連結利益が第1四半期として過去最高を更新した点で、総じて強い内容でした。特に、国内損保で料率適正化とアンダーライティング強化が機能し、ベース収支が約200億円改善したことは高く評価できます。
国内損保のコンバインド・レシオが93.9%へ改善し、自然災害によるマイナス影響を吸収して増益を確保した点は、利益の質という観点でも前向きです。政策保有株式の削減や年間200円への増配計画と合わせ、資本効率と株主還元の改善も進んでいます。
一方、海外保険はAspenの連結効果と投資損益の改善によって大きく伸びたものの、コンバインド・レシオは悪化しました。特にトルコの自動車保険を含むコンシューマー部門の採算低下は、今後のリスク要因です。海外保険の利益拡大が、投資収益だけでなく保険引受の改善を伴うものになるかが、次の焦点となります。
全体としては「強い第1四半期ながら、通期上方修正は温存」という評価が適切でしょう。今後は、国内損保の料率改定効果の持続性、自然災害の発生状況、海外保険のコンバインド・レシオ、Aspenの統合効果、政策保有株式の削減ペースが、株価評価を左右する重要な材料となりそうです。
さてさて、8月12日の東京海上、本日のMS&AD、そして、SOMPO。大手保険会社の1Q決算が出揃ってまいりましたが、どこも好調なスタートを切ったようですね。2Qでの動向もチェックしてまいります。
▼東京海上 1Q決算発表内容はこちら♪
https://stockexpress.jp/tokiomarine20260812/
▼MS&AD 1Q決算発表内容はこちら♪
https://stockexpress.jp/msad20260814/
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
SOMPO Holdings Posts 52.8% Rise in Q1 Net Profit as Domestic Underwriting Improves
SOMPO Holdings, Inc. reported a strong start to the fiscal year ending March 2027. Profit attributable to owners of the parent rose 52.8% year on year to ¥181.1 billion, reaching 37.0% of the company’s full-year forecast of ¥490.0 billion. Insurance revenue increased 28.0% to ¥1.617 trillion.
Adjusted consolidated profit, which excludes market fluctuations and other special factors, rose 20% to a record first-quarter level of ¥119.7 billion. After adjusting for IFRS-related seasonality, the figure was ¥139.0 billion, equivalent to 28% of the ¥500.0 billion full-year target.
The domestic P&C business was a major positive. Rate increases and tighter underwriting improved the underlying balance by approximately ¥20.0 billion. Its combined ratio improved by 2.1 percentage points to 93.9%, despite higher losses from natural disasters.
The overseas insurance business also delivered higher earnings, supported by Aspen’s consolidation and improved investment income. However, its combined ratio deteriorated from 85.7% to 87.6%. The consumer segment was particularly weak due to inflationary pressure on Turkish motor insurance.
SOMPO sold ¥74.6 billion of strategic shareholdings during the quarter, completing approximately 30% of its annual reduction plan of at least ¥250.0 billion. Its economic solvency ratio remained strong at 276%. The company maintained its full-year earnings forecasts and annual dividend forecast of ¥200 per share.
The results indicate a clear improvement in the quality of domestic underwriting. Investors should nevertheless monitor natural-catastrophe exposure, the profitability of overseas underwriting, Aspen’s integration and the sustainability of investment gains.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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