ソフト99、MBO vs. エフィッシモの対抗TOBで揺れる —MBOの株式公開買付価格引き上げ、期間も延長

カーケア用品大手の ソフト99コーポレーション（証券コード：4464、以下ソフト99）を巡るMBO（経営陣参加型買収）をめぐり、旧村上ファンド出身者が率いる エフィッシモ・キャピタル・マネジメント（以下、エフィッシモ）が対抗TOB（株式公開買付け）を仕掛け、公開市場では緊張感が高まっています。

この攻防の焦点は、「提示価格の妥当性」と「少数株主保護」の観点です。ソフト99側が提示するMBO価格は当初 2,465円でしたが、10月17日に 2,680円 へ引き上げを発表。これは創業家・経営陣側による非公開化の動きを背景としています。

一方、エフィッシモは 4,100円 を買い付け価格として提示。ソフト99側のMBO提案を「著しく割安」と批判し、少数株主により有利な条件を提示する形で対抗しています。

ソフト99側は、MBOに賛同を促す立場でしたが、最近では「最終判断を株主に委ねる」というスタンスに転じ、対抗TOBへの意見表明を留保するような姿勢を示しています。特別委員会も、MBO価格が公正とする従来の評価を保持しながら、株主選択の自由を尊重すべきとする議論を示しているようです。

市場的には、ソフト99株は9月中旬以降、対抗TOBの材料をきっかけにストップ高買い気配などを演じる場面もみられました。

現在、ソフト99の株価水準は 3,200円台前後で推移しており、MBO・対抗TOB双方の価格提示と比較すると、投資家心理が揺れ動いている状況です。

▼ソフト99株価推移（2025年8月〜10月17日）

ソフト99株価推移（2025年8月〜10月17日）

エフィッシモが対抗TOBを開始して以降、ソフト99の株価は急騰。最近はすこしおさまっている状況です。

キー・プレーヤー：KeePer技研と「みさき投資」の動き
投資家として注目すべきタイミング

キー・プレーヤー：KeePer技研と「みさき投資」の動き

このMBO戦争の中で、重要な鍵を握るのが第2位株主のKeePer技研（キーパー技研）です。KeePer技研はソフト99株を一定割合保有しており、その動向がMBOの帰趨を大きく左右し得ます。
投資会社みさき投資の関与も注目されます。同社はKeePer技研株を 5％超保有しており、エンゲージメント投資ディレクターである吉原正淑氏は、以下のような見解を示しています：
・「株価水準から見れば、エフィッシモの 4,100円提示への応募が合理的だが、KeePer技研はソフト99のMBO応募契約を締結している可能性がある」
・「違約リスクを考慮しつつ、最終的には株主利益最大化の視点から慎重に対応すべき」
・「ソフト99側が用いた割引率（ディスカウント率）に強い疑義がある。現時点では、説明責任は十分果たされているとは言えない」

このように、投資家視点では、KeePer技研がどちらに傾くかが最大の分岐点となる可能性があります。
過去にKeePer技研は、ソフト99株を 1,582円で取得したとされるエピソードも報じられており、今回のMBO騒動をきっかけにその保有株価が大きく跳ね上がる“お宝化”の可能性も語られています。

なお、「非公開化後の価値創造力」が問われる点は見逃せません。MBO側が上場維持を目指すのではなく非公開化する意図には、より自由な再編や事業戦略の抜本的見直しを行いたい意図があると見る向きもあります。一方、エフィッシモはコーポレート・ガバナンスや経営透明性の強化を掲げており、その実行力が投資家の信頼獲得に直結するでしょう。