前記事でもお伝えしたように、最近活発な動きが見られる大手コンビニチェーン「セブンイレブン」。世界的にも大きな動きがあり、10月11日には四半期決算報告の中で「北米の店舗のうち、444店舗も閉店する」ことが発表されました。「北米」ということですから、米国とカナダですが、この二国でのセブンイレブンの店舗は、約1万3,000。その約3%の閉店です。その閉鎖される444店舗が、どの店舗かまでは明らかになっていませんが、閉鎖の対象店舗は「業績不振」の店舗。
「閉店する理由」と「今後の打開策」について以下に考察してみます。
中低所得者層の消費への慎重姿勢
米国労働省が10月4日に発表した「9月の雇用統計」は、予想よりも上振れし、米国経済の堅調ぶりが報じられています。一方、その経済を牽引しているのは、高所得者の消費による影響が強いと思われます。インフレが続き、金利が上昇している米国及びカナダでは、多くの割合を占める中低所得者層は、生活に余裕がなく、消費へは慎重な姿勢を取っています。そして、その中低所得者層こそが、セブンイレブンのようなコンビニのメインユーザーでもあるのです。
前記事でもお伝えしたように、日本でも、私の身の回りやSNSの方々の声に耳を傾けてみると、「最近、セブンイレブンの値上げがすごくて、もっと安いお店で買っている」という旨のことを聞くことも多い今日この頃。米国でも同様の消費慎重姿勢が見られるのではないでしょうか。
実際に、北米地域での来店客数は、6ヶ月連続で減少しており、2024年8月には前年同月比 7.3%減という状況に。不採算店舗を閉店するのは当然の動きなのかもしれません。
セブンイレブンの今後の打開策
ということで、不採算店舗は閉店するとして、残った既存店舗をどのようにテコ入れしていくのでしょうか。
セブン&アイHDの発表を見ると、「食品重視」の店舗展開を志向しているようです。かつて、日本マクドナルド創業者 藤田田氏も語ったように、食事は常に必要とされるもので、これなしには我々の生活は語れません。実際に、セブンイレブンで現在最も売れているカテゴリーも「食品」であり、米国での食品への投資を強化していくのでしょう。日本で人気の、おにぎり、サンドイッチ、味噌ラーメンなどを米国でも販売強化していくようです。
また、今後の方針として、「デジタル化」と「デリバリーの強化」もあげられています。セブン&アイの鈴木会長語録の本に書かれていた「顧客の立場で」という視点で考える時、「便利さ」「快適さ」というものを追求していくと、やはり、「デジタル化」と「デリバリー」は極めて重要な点ですよね。特にネットが発展した今だからこそ、強く求められるもの。UberEATSが流行っていることが、その需要の表れでもあるでしょう。
「食品重視」「デジタル化」「デリバリーの強化」という方向性を合わせて考えてみると、「セブンイレブンのUberEATS化」という未来も想像してしまいます。実際、北米のセブンイレブンは、「セブンNOWサービス」を拡大し、20分以内の配達を目指しています。
そして、この傾向は、近未来の日本のセブンイレブンの店舗にも言えることなのではないでしょうか。まあ、あとは、どんな食品をいくらで販売するか、という点が重要ではありますが。
現在、カナダのコンビニエンスストア最大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受け、もがいているセブン&アイHD。私の好きなコンビニでもあり、多くの日本人も愛用しているだけに、生き残りをかけて頑張って欲しいところです。
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