総務省が進める「日本版スターリンク」構想の中核事業者として、楽天グループ連合が選定される見通しとなりました。衛星との直接通信を実現する低軌道衛星(LEO)ネットワークの整備に対し、3年間で総額1500億円を補助する大型プロジェクトです。
日本の通信インフラはこれまで米スペースXの「スターリンク」への依存度を高めてきましたが、政府は経済安全保障の観点から「国内で運用・管理できる衛星通信網」の構築を重視し始めています。
この国家プロジェクトの中心に楽天グループが立つことは、同社のモバイル事業のみならず、中長期的な企業価値にも大きな意味を持つ可能性があります。
楽天といえば、KDDIが楽天モバイルへ提供しているローミング契約が2026年9月末に期限を迎えることに伴い、従来の協力関係を縮小する可能性が高まっていますが(関連記事:【KDDI×楽天モバイル】7年続いた“共存関係”が転換点へ!)、衛星通信による通信が可能になれば、一気に情勢が変わってくる可能性もありますよね。
以下にて深堀りしていきましょう!!
総務省が「楽天連合」を支援へ 1500億円の国家プロジェクト始動
総務省は、日本企業が主体となって運営する衛星直接通信網の整備を目的に、新たな補助制度を創設しました。
対象となるのは、低軌道衛星を多数連携させる「衛星コンステレーション」の構築で、衛星の製造・打ち上げ、地上局の整備、運用設備など幅広い費用を補助します。
事業者には楽天グループが出資する米AST SpaceMobileとの連合が採択される見通しとなっており、他に有力な応募事業者はなかったとみられています。
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、AST SpaceMobileとの共同出資による日本法人を2026年中に設立する方針を明らかにしており、日本国内で衛星通信インフラを自律的に運営する体制づくりが本格化します。
これは単なる通信設備への補助ではなく、日本が独自の宇宙通信インフラを持つための国家戦略の第一歩と位置付けられています。
「日本版スターリンク」が必要とされた理由
今回の政策の背景には、経済安全保障上の強い危機感があります。
現在、日本の携帯各社では衛星通信サービスの多くを米スペースXのスターリンクに依存しています。
2026年にはNTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3社が相次いでStarlink Directサービスを開始し、日本の通信インフラは事実上、一つの海外企業に大きく依存する構造となりました。
しかし、海外企業への依存にはリスクも存在します。
2025年にはスペースXのイーロン・マスクCEOがウクライナ向けスターリンクの利用制限に言及したことが世界的な議論を呼びました。国家間の政治情勢や企業判断によって通信サービスの継続性が左右される可能性が浮き彫りとなったのです。
さらに、2024年の能登半島地震では、通信網の復旧までスターリンクが重要な役割を果たしました。一方で、日本独自の衛星通信網が存在しなかったことも課題として認識されました。
政府はこうした状況を踏まえ、「海外依存から脱却し、日本企業が主体となる通信インフラを構築する必要がある」と判断した形です。
楽天が描く「宇宙からの通信革命」
楽天モバイルが採用するAST SpaceMobileの技術は、従来の衛星通信とは一線を画します。
最大の特徴は、市販されているスマートフォンをそのまま利用して高速通信が可能になることです。
ASTの大型衛星「BlueBird」は巨大なアンテナを搭載しており、通常のLTEスマートフォンと直接通信できます。
2025年に国内で実施された実証実験では、福島県と東京都を結んだ市販スマートフォン同士によるビデオ通話に成功し、約14Mbpsの通信速度を記録しました。
これは単なる緊急時のテキスト通信にとどまらず、動画視聴やビデオ通話も視野に入るブロードバンド通信です。
楽天は2026年第4四半期から「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」の商用サービス開始を目指しており、山間部や離島、海上など基地局整備が難しい地域でも高速通信を実現しようとしています。
技術仕様も整備 700MHz帯で全国展開へ
総務省は今回、700MHz帯を利用する非静止衛星通信システムの技術条件についても答申を受けました。
利用する周波数は携帯電話向け700MHz帯で、FDD方式を採用します。
資料によれば、248基の衛星を活用し、高度520~690kmを飛行、衛星ビームは約48km、最大4基の衛星が同時通信を担当する、といった構成が想定されています。
また、既存の地上デジタル放送や他の無線システムとの共用も概ね可能と判断されており、日本全国で衛星通信サービスを実現する制度整備が進みつつあります。
今後は高速通信を実現する高周波帯への対応も検討される見込みで、日本の衛星通信市場は本格的な拡大局面を迎える可能性があります。
他社はスターリンク、楽天だけが独自路線
現在、日本の通信業界ではKDDI、NTTドコモ、ソフトバンクの3社がスペースXのスターリンクを採用しています。
KDDIではすでに400万人を超える利用実績があり、北海道で遭難者救助につながった事例も報告されるなど、災害対応インフラとして一定の成果を挙げています。
一方で、3社が同じプラットフォームを採用したことで、「通信インフラの単一障害点(Single Point of Failure)」という新たな課題も浮上しています。
もしスターリンク側で障害やサービス変更が発生した場合、日本の主要通信網が同時に影響を受ける可能性も否定できません。スペースXといえば、超大型IPOをして話題となっており、スターリンクは世界的に意義のあるインフラですが、何かあったときのために代替となるインフラも持っておくことは大切です。
こうした状況の中で楽天だけが独自衛星網を構築することは、競争戦略であると同時に、日本全体の通信インフラを多様化する役割も担うことになります。
一方で財務面には依然として課題
もっとも、楽天グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況です。
グループ全体では7期連続の最終赤字となり、有利子負債も高水準にあります。2026年以降は1兆円を超える社債償還が控えており、大規模な設備投資との両立が課題となります。
一方で、楽天モバイルは契約数1000万回線を突破し、EBITDA黒字化や四半期営業黒字を達成するなど、収益改善は着実に進んでいます。
今回の1500億円補助金は、衛星ネットワーク構築に伴う資金負担を大きく軽減する可能性があり、市場では楽天の財務面にも一定の追い風となるか注目されています。
投資家として注目すべきポイント
今回の総務省による支援決定は、単なる補助金採択ではありません。
楽天グループが国家インフラを担う企業として位置付けられたことを意味する重要な出来事と言えます。
もっとも、衛星打ち上げの進捗やAST SpaceMobileの技術開発、商用サービス開始時期、さらには楽天グループ全体の財務改善など、不確実性も依然として残されています。
2026年第4四半期に予定される商用サービス開始が計画通り実現し、高速ブロードバンド衛星通信が普及すれば、日本の通信勢力図は大きく変わる可能性があります。
楽天モバイルはこれまで基地局整備では後発組でした。しかし、宇宙を活用した次世代通信では「追う側」ではなく「ゲームチェンジャー」となる可能性があります。
総務省による1500億円支援は、その挑戦を後押しする国家プロジェクトとして、今後の楽天グループ株を占う重要な材料となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Rakuten Selected for Japan’s Billion Satellite Communications Initiative
Rakuten Group is expected to become the key partner in Japan’s new government-backed satellite communications project, with the Ministry of Internal Affairs and Communications planning to provide up to ¥150 billion (about $1 billion) over three years to support a domestic low-Earth orbit (LEO) satellite network.
The project aims to reduce Japan’s reliance on foreign satellite providers such as SpaceX’s Starlink and strengthen national communications infrastructure from an economic security perspective.
Rakuten will work with U.S.-based AST SpaceMobile to launch a direct-to-smartphone satellite service in Japan, targeting commercial operations in the fourth quarter of 2026. Unlike current satellite messaging services, the platform is designed to support broadband connectivity using standard smartphones.
For investors, the government subsidy could ease Rakuten’s capital burden while reinforcing its long-term mobile strategy. However, execution risks remain, including satellite deployment, commercialization, and the company’s broader financial recovery.
The initiative positions Rakuten at the center of Japan’s next-generation telecommunications infrastructure, making its satellite business a key growth story to watch.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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