先日、仲良くさせていただいている企業の社長と食事をしている際、株の話で盛り上がりました。そして、「なぜ株を売ると株価が上がり、買うと下がるんですかね?」との質問をいただきました。
確かに、持ち株を利確して売却した後に その企業の株価が上がり続け、「あ〜、まだ売らずに持っておけばよかった!」と思った経験は私にも多々あります(汗。
それから、株を買った直後に その企業の株価が下がり続け、「もう少し待ってから買えばよかった!」と思う場面もしばしば。私もつい最近、三菱商事株を保有した後も下がり続けて冷や汗をかいております(汗。
なぜ株を売ると株価が上がり、買うと下がるのでしょうか?
私はその理由をいろいろと考えていたのですが、本日、見えてきた気がします。
きっかけは、野村修也さんという弁護士の著書「説得力を高めたい人のための法的思考入門」を読んでいた際に出会った「プロスペクト理論」という考え方。
–
野村先生によると、
–
とのこと。
確かに、この話を株で考えてみると、ピンときます。
株を買ったあとに株価が上がって1万円の含み益が出ることは多々ありますが、それよりも、買ったあとに株価が下がって1万円分の含み損が出た時の方が印象に残りますよねw
やはり、太古の昔から危機防衛本能が今でも受け継がれてきているのでしょうか。
もうすこし具体的な株取引の場面(三菱商事株の事例)で考えてみると…
人は損失の方が気になるので、株価が上昇している際に「そろそろ下がるかも」という考えが脳裏をよぎってしまい、防衛本能が働き、利確してしまうのかもしれません。
今年の春先、三菱商事の株を売ってしまった方は、その後もあれよあれよという間に上昇してく様子を見て、空高く飛んでいってしまった糸の切れた凧を見上げる気持ちだったのではないでしょうか?w
一方、5月2日をピークとして右肩下がりで下落曲線を描き始めた段階で、「そろそろ上がるかも」と思い、保有し始めて冷や汗をかいてしまった方も多いのではないでしょうか?
人は、自分が手間ひまかけた物や人に対して「きっと価値があるはずだ」と思い込んでしまい、引くに引けなくなってしまう傾向があるようです(コンコルド効果)。また「正常性バイアス」(異常事態が起こっているのに想定の範囲内だと思い込もうとすること)がかかってしまう傾向も。
そして、人は危機感を感じたときほど、リスクをおかしてしまう傾向もあるようなのです。そこで、「そろそろ上がるはずで、今はお得なのだから、今のうちに買い増ししていこう!」と思い、ナンピンしてしまう… 現状の三菱商事のような”落ちているナイフ”状態の株は、買えば買うほど損失が大きくなっていきますから、ドツボにハマってしまう展開に。
人の感情とは難しいものですね…
株を売ると株価が上がり、買うと下がるような展開にならないようにするにはどうすればよいか?
そのコツは、自分の中にある「プロスペクト理論」に沿った感情をいかにコントロールするか、ということなのかもしれません。
早くも明日から12月を迎えます。波乱含みな展開も予感させられる東京株式市場ですが、なんとか気持ち良い年越しができるよう、精進していきたいと思います。
コメント