株式劇場

なぜ円安なのに株安になるのか?

ここ最近、為替(ドル円)は円安方向に動いていて、今日は152円台まで進んでいます。今までは、為替が円安方向に進むと株高になる傾向がありました。円の価値が下がるわけですから、株価を円で計算した時に「ゲタを履く」構図で高くなる傾向があったのと思います。企業価値が高まったわけではないのに、株価が上昇している状態。それでも、株価が上がっていたので、すこしは救われた感があったものです。しかし、今回は、円安方向へと進んでいるにもかかわらず、株価が上がるどころか下がっているのです。今までの「円安=株高」という方程式が崩れ、「円安株安」状態になってしまっているのです。なぜ、円安なのに株安になっているのでしょうか?円安なのに株安になっている理由は、「円安が進むと日本銀行が追加利上げを早めに実施するであろう」という憶測が世界的になされるから、というものが最も強い理由として考えられます。業種にもよりますが、利上げは、基本的には株価に逆風になる場合が多いですよね。なので、日経平均株価としては、下落方向に進みがちなのかと。では、なぜ円安が進むと、日銀が追加利上げを早める可能性が高まるのでしょうか?これは、ちょうど7月末頃にそうであったように、「円安を抑えるために利上げに踏み切る」という意味合いもあると思います。円安への牽制。ただ、もっと強い理由として、「円安が進めば物価上昇率が高まるため、追加利上げ実施のための条件が整うから」というものがあると思われます。ましてや、現政権の総理 石破茂氏は、もともと追加利上げに積極姿勢をお持ちの方ですし。石破氏は総理就任後、「今はまだ利上げする環境にはない」と発言して柔軟な姿勢を見せているものの、逆に言えば「環境が整えば利上げする」という意味でもあります。
IPO

東京メトロ、遂に本日上場!気になる初値は 1,630円!その後、1,700円台を突破し公開価格の500円以上の利益

東京地下鉄(東京メトロ)が2024年10月23日、東京証券取引所プライム市場に上場しました。東京近隣で暮らしている人にとっては慣れ親しんだメジャーな鉄道網。世界最大級の地下鉄網運営会社の上場とあって、話題となり、競争倍率は15倍超えの人気ぶりを見せていた企業。遂に上場初日を迎え、注目の初値は、 1,630円。初値騰落率は、+35.83%と非常に高い上昇率となりました。直近10年間の大型IPOの中では、第3位の高騰ぶり。その後も東京メトロの株価は グングン上昇し、1,700円台を突破!! やはり、超人気銘柄だけのことはありますね。これで東京メトロの時価総額は1兆円の大台に乗ったことになります。
流通小売業界

セブン&アイ、分離か統合か!?買収提案社CEOが来日し「全事業統合に関心」と発言

セブンイレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスが最近、ニュースを賑わせておりますよね!きっかけは、8月にカナダのコンビニエンスストア最大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けたこと。これに経営陣も危機感を感じたのでしょう、10月10日には「コンビニ(セブンイレブン)に経営資源を集中させ、それ以外の非中核事業の分離計画」を発表したのです。 一方、買収提案主である、カナダのコンビニエンスストア大手「アリマンタシォン・クシュタール」のアレックス・ミラーCEOは現在来日しており、10月17日、セブン&アイHDへの買収提案について「全事業の統合に関心がある」と言及したのです。 このアリマンタシォン・クシュタール社 CEOの発言を聞いた時、私は思ったことがあります。それは、セブン&アイHDがつい最近発表した「中核事業(セブンイレブン)以外の分離方針」は、グループまとめて買収されることへの警戒感からではないだろうか?ということ。もちろん、経営の効率化を進めていることを株主に示す意図もあると思いますが、同時にまとまった買収への防御策でもあるのではないでしょうか?
株式劇場

セブン銀行、7iD 小売り購買データとの連携が好感!一方、セブン&アイHD持ち分低下の懸念も。

このセブン銀行が昨日10月16日、興味深い発表をしました。セブン&アイHDによる共通会員ID「7iD」が持つ小売りの購買データと、セブン銀行が持つ金融データを組み合わせて、個人向けローンサービスの与信審査に活用するというのです。これには市場も好感を持たれ、ニュース報道も好意的なものでした。グループならではのシナジーですよね。一方で、セブン銀行は、最近世間の関心を集めているセブン&アイHD傘下の銀行です。大株主は、セブン‐イレブン・ジャパン。10月12日の記事でもお伝えしたように、セブン&アイHDはコンビニ特化の方針を打ち出していることもあり、その動向も気になるところです。米国の民間格付け会社 S&P Global Ratingsが10月16日、気になる発表をしました。それは「セブン銀行の格付けが、セブン&アイHDの中で中核の位置づけでなくなり、持ち分低下となると、セブン銀行への信用力への下方圧力になる可能性がある」との見解を示したのです。現状、セブン銀行の格付けは、A。この高評価は、セブン&アイHDの中核であるがゆえ。何かあれば特別な支援がされるという安心感があるからであって、これがなくなれば、懸念材料になるという判断は頷けます。 いずれにしても、セブン銀行にとって、セブン&アイHDとの関係次第で良くも悪くも影響を受けますね。
IPO

東京メトロ IPO、競争倍率は 15倍超え!! その人気の理由とは…

東京地下鉄(東京メトロ)の新規株式公開(IPO)の抽選結果が、いよいよ10月15日の夕方発表となりました。SNSでは当選した方々が喜びの投稿をされており、その人気ぶり、盛り上がりを実感します。競争率も高かったようで。個人分が約10倍超、国内機関投資家分が20倍以上、海外機関投資分は30倍超えで、トータル 15倍超えの競争率だったそうです。人気の理由について考えてみると、6年ぶりの大型上場ということで話題性もありましたし、東京メトロという多くの方々が利用する知名度の高さもありますし、鉄道事業の安定性・成長性もあります。さらに、東京メトロが配当性向目標 40%以上を掲げていて、配当利回りは 3.3%程が見込まれるので、高配当であることも人気の理由でしょう。通常の鉄道各社と比べても高いですよね。また、株主優待として、駅構内で運営するそば店のかき揚げ無料券がつくこともSNSで話題になておりました。そばに入れて食べるかき揚げって美味しいですよね。
NTT

NTT株価の横ばいが続く中、今後の展望を考えてみる。

私も株主として応援させていただいている企業・NTT(日本電信電話株式会社)。今年の春は、毎日のようにニュースやSNSを賑わせていましたが、最近では落ち着いてきておりますよね。株価も安定して 150円近辺で横ばいが続いております。 振り返って...
流通小売業界

セブンイレブンの北米展開 今後の打開策について考えてみる

最近活発な動きが見られる大手コンビニチェーン「セブンイレブン」。世界的にも大きな動きがあり、10月11日には四半期決算報告の中で「北米の店舗のうち、444店舗も閉店する」ことが発表されました。「北米」ということですから、米国とカナダですが、この二国でのセブンイレブンの店舗は、約1万3,000。その約3%の閉店です。その閉鎖される444店舗が、どの店舗かまでは明らかになっていませんが、閉鎖の対象店舗は「業績不振」の店舗。「閉店する理由(中低所得者層の消費への慎重姿勢)」と「今後の打開策(食品重視、デジタル化、デリバリー強化)」について以下に考察してみます。
流通小売業界

セブン&アイ、コンビニ特化の方針を発表!これに株主の反応は。

セブンイレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスが最近、話題になっています。きっかけは、カナダのコンビニエンスストア最大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けたことでしょう。これを機に経営陣も危機感を感じたのか、経営改革に乗り出しており、10月10日には「コンビニ(セブンイレブン)に経営資源を集中させ、それ以外の非中核事業の分離計画」を発表したのです。イトーヨーカ堂を始めとするスーパーや専門店などの事業については、これらを束ねる中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」が設立されます。この方針に対し、セブン&アイHDの株価は10月11日(金)続落。一時前日比4.6%安の2,218円をつけ、8月20日以来の日中大幅下落率となりました。現在の株主の期待に応えるようにとった行動が、逆に市場の失望に繋がってしまうとは意外ですが。これは、10月10日(木)に発表された今期の営業利益見通しが従来計画から減額していたことの影響も大きいと思います。(従来計画から1,420億円減額の4,030億円)。強化するはずのセブンイレブンのコンビニ事業の不調も響いているようです。今後のイトーヨーカ堂の行方が気になるとともに、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案の行方も気になるところです。
自動車株

日産自動車、PBR0.2倍に!しかし、復活の兆しも見えてきた

日本を代表する自動車メーカー「日産自動車株式会社(NISSAN)」。最近の株価下落でPBR(株価純資産倍率)は、ついに0.2倍に。しかし、復活の兆しはあります。円安方向に読みすぎた「想定為替レート」は戻りつつある点。ルノーとの関係が対等に改善した点など。
三菱HCキャピタル

三菱HCキャピタルが海上コンテナへの大規模投資!経営に与える影響は?

三菱HCキャピタルが10月5日、大きな発表をしました。その内容は、リース用の海上コンテナ船に約2000億円を投資するというもの。リース業界の中で、この発注規模は今年最大クラス。その大規模投資の理由は、コンテナ船の需給が逼迫していることをあげています。なにしろ、中東地域での緊張感の高まりの中、コンテナ船は紅海・スエズ運河の通航を回避して航行しなければいけないため、輸送日数が長期化する傾向がありますから、どうしても船数が足りなくなりますよね。さらに、海上貿易量は順調に増えているわけですから、今後もコンテナ船需要は増えていくことを考えると、ますます必要ですよね。的確に市場の需要をとらえた発表だと思います。一方、気になるのが、これほどの大規模投資をして経営状態は大丈夫なのか?という点。経営に与える影響について調べてみました。三菱HCキャピタルの有利子負債比率(計算式:有利子負債 ÷ 自己資本 × 100)は、2024年6月の時点で464%でした。通常の企業ですと、「有利子負債は総資産のうちの60%以内に」という基準がよく語られるものなので、三菱HCCの この数字だけ見ると、”多すぎるな”と感じがちですが、リース会社は そのビジネスモデル上、どうしても多くなる傾向はあります。今回の三菱HCCのコンテナ船への大規模投資、リース会社の特性上、”この資産をどれだけ有効活用できるか”に勝負がかかっていると思います。期待しながら、動向を見ていきたいと思います。